2018年09月04日

なぜ消費増税が悪なのか。10%への増税、来年10月から地獄が始まる

― 連載「倉山満の言論ストロングスタイル」―
なぜ消費増税が悪なのか。
10%への増税、
来年10月から地獄が始まる
日刊SPA! 2018/09/03(倉山満)

◆なぜ、消費増税が悪なのか。
日本経済のみならず、
日本を破壊するからである
 凄惨な光景だった。
’13年10月1日、安倍晋三首相は消費増税8%を発表した。
 時の財務事務次官木下康司の号令一下、政官財界のみならず労働界やマスコミまでが、安倍首相に8%増税を迫った。
その圧力に安倍首相は、屈した。
 デフレ脱却前の消費増税など、自らの生命線であるアベノミクスを腰折れさせるに決まっている。

 実際に施行された’14年4月1日以降、日本経済は落ち込み、10月に日銀が追加緩和を行って事なきを得たが、いまだに後遺症に苦しめられている。
 そしてまた来年’19年10月1日、再び悪夢が近づいている。
今度は10%への増税だ。
これまでは緩やかながら景気回復を続けてきたが、それも来年9月で終わり、10月からは地獄が始まるのだ。
既に財務省の準備は終わり、軽減税率の書類を目にする向きも多いだろう。

 なぜ、消費増税が悪なのか。
日本経済を破壊するのみならず、日本を破壊するからである。
 デフレに対する、金融緩和を中核とするアベノミクスの効果は、本連載でも再三再四説いてきた。

デフレとは、通貨が希少品である状態だ。
つまり、日本人が汗水流して働いた結晶である商品は溢れているのに、しょせんは紙切れにすぎない通貨が足りない状態だ。ならば、お札を刷ればいい。これが金融緩和だ。

 さらにもう一つ。アベノミクスでは、インフレターゲット(インタゲ)を導入し、経済成長率を2%まで引き上げるとの目標を掲げた。
失われた20年と呼ばれたデフレ状態では、成長率は1〜-1%に見事に収まっていた。
それを、健全な成長率にまで引き上げるとの目標を掲げる、これがインタゲである。
 インタゲの意味は、「景気が回復するまでお札を刷り続ける」とのメッセージを市場に送ることにある。
仮に日銀がお札を刷っても、一時的ならば消費者はお金を使わないで貯金する。
市場にお金は出回らないし、景気は回復しない。

しかし、インタゲにより具体的数字を挙げ、「2%の経済成長率を達成し、景気が回復するまでお札を刷り続ける」とのメッセージを送ると、消費者は安心してお金を使える。
だから経済が回る。
今の安倍内閣も、これをやって最初の半年は見事に景気を回復軌道に乗せた。
しかも、爆上げだった。

◆当たり前の話で、
わざわざ税金が高いときに
買い物するバカはいない
 ところが、安倍内閣も6年になろうとするのに、緩やかな景気回復で2%の目標が達成するめどが立っていない。
’13年10月1日の消費増税8%の悪影響だ。
今のところ1回の増税に対し2回の金融緩和を行ったので、何とか増税の悪影響を抑えている。
しかし8%増税は、当初の爆上げしたアベノミクスを破壊し尽くさんばかりの威力だったのだ。
 消費増税は、アベノミクスの中核であるインタゲの効果を破壊する。
当たり前の話で、わざわざ税金が高いときに買い物するバカはいない。
増税実施直前に駆け込み需要は起きるが、その後の反動で景気は落ち込む。
また、金融緩和で市場に流したお金も、増税で回収して回る結果となる。
だから、金融緩和がアクセルと呼ばれるのに対し、増税はブレーキなのだ。
しかも、消費全体に対するブレーキだ。

 8%増税当時、財務省は「一時的に落ち込むがすぐに回復する」などと説明し、安倍首相は愚かにも信じた。
むしろ、信じ込んだと言うべきか。
日本中から増税を迫られて、戦う勇気がなかったからか。
 今回、既に安倍首相は去年の総選挙で「増税の延期はしない」と公約し、今年に入って閣議決定もした。
破滅は近づいている。
 良識ある日本国民は、この危機を認識しつつ、誰が敵かを見極めるべきだ。

敵は大別して3つある。
 第一は、言うまでもなく増税派だ。
財務省内の原理主義的な増税派、何も考えていないが財務省が怖くて賛成している者、あるいは安倍首相その人まで様々だが、いずれにしても日本人の敵であることは間違いない。
 私はこれまで安倍内閣に消極的支持を続けてきたが、本当に増税をやるなら積極的不支持に回る。
今の安倍内閣の唯一の価値は、緩やかでも景気を回復させていることのみだからだ。
それを捨てるなら、「他よりマシ」という理屈は成り立たない。

 第二は、それでも「安倍首相を信じよ」と吹聴する連中だ。
確かにこの連中の主張には一理ある。
安倍首相は行き当たりばったりの“ちゃらんぽらん”な性格だからだ。自分で決めたレールしか走れないが、いざ決断するとなれば急に怖くなるし、痛い目に遭えば引き返す。
これは政治家として、決して悪いことではない。
その意味で、今からでも考え直すなら構わない。

 だが、「安倍首相を信じよ」と吹聴する連中が自分の言論に責任を負うことは絶対にない。
嘘だと思うなら、安倍御用を自任して恥じない保守系雑誌をめくってみよ。
雑誌と呼ぶのもおこがましい紙の束だ。
2、3人の良識的な例外を除けば、自分の言論を翻すことが仕事のような輩がズラリと並んでいる。
2年前や2か月前に言ったことと逆のことを言うのはまだ可愛げがある。
2日前と逆を言うのは日常茶飯事、中には2分前と逆を言って恥じない輩もいる。
そういう連中に「安倍首相を信じよ」と言われても断るし、「安倍首相を無条件で応援するのが保守だ」と言うなら、私は保守でなくて結構。

 第三は、口では増税反対を唱えながら、条件闘争を企んでいる連中である。
条件は決まっていて、軽減税率と財政出動である。
軽減税率は「自分には税金を負けてくれ」、財政出動は「予算をつけてくれ」である。
業界ごとの軽減税率の陳情はすさまじい。
また、財務省から予算をつけてもらって“転んだ”連中がどれほどいるか。
 今も増税反対を唱えながら財政出動を求める政治家はいる。
では、その人たちが財務省に「予算をつけてやる」と言われた場合でも、本気で増税に抵抗したら認めよう。

 だいたい、金融緩和抜きの財政出動などすべて失敗している。
小渕内閣の空前の財政出動、リーマンショックの麻生内閣、そして8%増税時の安倍内閣である。
なぜ財政に拘るのか。
そうした人たちに限って、金融緩和の徹底は言わない。

ところで、10月1日は中華人民共和国の建国記念日だと御存知か。
海の向こうから高笑いが聞こえてきそうである。

倉山 満】 憲政史研究家 
’73年、香川県生まれ。
’96年中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。
在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員として、’15年まで同大学で日本国憲法を教える。
’12年、希望日本研究所所長を務める。
同年、コンテンツ配信サービス「倉山塾」を開講、翌年には「チャンネルくらら」を開局し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を展開。
ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』など著書多数
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☁| Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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