なりふり構わぬ金バラマキ
安倍政権が慌てる
新元号大不況
2018/12/06 日刊ゲンダイ
本当に「増税対策」だけが目的なのか。
来年10月の消費増税による景気冷え込みの緩和策として、安倍政権が狂ったような大盤振る舞いだ。
中小小売店でキャッシュレス決済した買い物客へのポイント還元率は当初、経産省などは増税幅と同じ2%で検討していたが、安倍のトップダウンで「5%還元」に拡大。
その結果、必要な予算は1000億円強から3000億円程度に約3倍も膨らむ見通しだ。
加えて公明党が要望した「プレミアム商品券」の発行や、自民党が要望したマイナンバーカードにたまる「自治体ポイント」の加算も丸のみ。
消費増税とは関係の薄い「国土強靱化」のための公共事業の執行も、増税開始の来年10月以降に集中させるというから、もう何でもアリ。
本来なら、低所得者ほど負担が重くなる「逆進性」が消費税の大きな課題なのに、ポイント還元は高い買い物をすればするほど恩恵が大きくなる。
そんな金持ち優遇の矛盾もお構いなしで、安倍政権はなりふり構わず金をバラまく。
自動車の排気量に応じて毎年かかる自動車税を恒久的に引き下げ、2020年末までに住宅を購入した人の住宅ローン減税の控除期間を現行10年間から13年間に延長と、さらなる金持ち優遇策を盛り込む予定だ。
日銀の試算によると、今回の増税による家計の負担増は5.6兆円だが、すでに「軽減税率」や「教育無償化」などで事実上、税収増は2.2兆円でしかない。
さらにブレーキ役不在のバラマキ策の予算規模は2兆円を超え、増税に伴う実質増収分の2.2兆円すら上回る可能性もあるという。
税金を使った赤字覚悟の出血セールもどきとは、ムチャクチャだ。
「来るべき高齢化時代を見据えた社会保障の安定財源の確保に、財政健全化という消費増税の本来の目的を大きく逸脱しています。
過去の統計では消費税率が上がると、必ず実質賃金は低下するのです。
それなのに、安倍政権は実質賃金の低下に苦しむ庶民から増税で吸い上げたカネを、金持ちにだけ大盤振る舞いする。
徹底した庶民イジメです」(政治評論家・本澤二郎氏)
4年前に消費税率を8%に引き上げた際、安倍政権は年8.2兆円の家計負担増に対し、5.5兆円規模の対策を実施したが、景気は腰折れした。
そのトラウマだけで、増税対策に名を借りた常軌を逸したバラマキに走るものなのか。
そもそも消費増税に難色を示していたとされる安倍が、早くから引き上げを表明し、拙速にバラマキ策を打ち出すのも、不自然だ。
ドタバタ景気対策の裏側に一体、何が隠されているのか。
「外交のアベ」の無策が招く
4重苦景気の惨状
来年10月の消費増税の前には、夏に参院選が実施される。
与党は危機感を強めており、安倍の周辺では野党に不利となる衆参ダブル選案もささやかれている。
むろん、無節操なバラマキ策は選挙対策の側面もある。
「結局、この政権は国民を愚弄しているのです。
カネさえバラまけば喜んで票につながるとナメ切っています。
参院選の前には新天皇の即位もあり、トランプ米大統領まで招いて祝賀ムードをあおる。
そうしてモリカケ疑惑など、あらゆる不正にフタをし、選挙を乗り切るハラでしょう。
勝てば官軍の意識で、バラマキと天皇の政治利用によって3分の2議席を制圧すれば、あとは好き勝手できると、国民をバカにしきっているのです」(本澤二郎氏=前出)
その上、アベノミクスのイカサマ政策も色あせ、すでに化けの皮が剥がれている。
先月発表の今年7〜9月期の実質GDPは前期比0.3%減。
年率換算でマイナス1.2%と、市場予想の中心値(年率1%減)を大幅に超える落ち込みようだ。
個人消費も民間の設備投資も輸出も全滅で、そろってマイナス。
住宅投資のみ5四半期ぶりにプラスに転じたとはいえ、前年同期と比べると、6.4%減というマイナス幅のすさまじさだ。
7〜9月期のGDPは速報値から、さらに下方修正されるとの見方も出ており、日本経済は目もあてられない状況である。 GDPの落ち込みについて、政府は7月の西日本豪雨や、9月の北海道地震など自然災害のせいにしているが、もはやアベノミクスの崩壊は明らか。
加えて年明けから本格化する日米通商交渉、事実上のFTA交渉が重くのしかかってくる。
■対米自動車輸出の削減で
日本経済は大打撃
「安倍政権は国民には明らかにしていませんが、日米通商交渉で日本経済が大打撃を受けると覚悟しているのではないか。
その危機感の裏返しが、無節操な大盤振る舞いなのだと思います」と言うのは、経済評論家の斎藤満氏だ。
こう続ける。
「トランプ政権が日本に対米輸出約7兆円の黒字削減を迫ってくるのは、間違いありません。
総額1兆円をかけてステルス戦闘機『F35』を100機追加購入しても穴は埋まらず、米国の農産品を市場開放しても、その額はタカが知れています。
必ずターゲットになるのは、日本の対米貿易黒字のうち4兆円を占める自動車輸出です。
すでに自動車輸出を最大100万台減らせ、と迫っていますが、昨年の対米輸出台数は174万台です。
100万台も削減すれば、日本のGDPは約1%ほどダウンします。
自動車産業は裾野が広いだけに、日本経済に与えるダメージは計り知れません。
とても自動車税の恒久減税くらいでは穴埋めできない大きな痛手となります」
さらに米中貿易戦争のリスクもつきまとう。
先の米中首脳会談では「一時休戦」で合意したが、火種はくすぶったまま。
トランプが関税引き上げ猶予の条件に挙げた中国の「不公正」な貿易慣行の見直しを巡る交渉期限は、たったの90日。
交渉は難航必至で物別れに終われば世界経済に深刻な影響を与え、日本経済ものみ込まれていく。
まさに「新元号大不況」の到来だ。
「来年秋の消費増税の頃には、東京五輪に向けた公共事業の需要もピークアウトします。
増税、対米FTA、貿易戦争と合わせた4重苦で、日本経済は手に負えない惨状となりかねません。
その大きな要因は安倍首相の外交姿勢です。
“外交のアベ”といっても、世界中にカネをバラまくだけで尊敬はされていない。
トランプ大統領を散々もてなしても、相手は『金づる』くらいにしか思っていないでしょう。
安倍首相の外交無策が日本経済を直撃し、庶民の生活を苦しめるとは、本当に怒りが込み上げてきます」(斎藤満氏=前出)
経済アナリストの菊池英博氏の試算によると、2013〜17年の5年間の実質賃金は年平均15.8万円もダウン。
5年間の累計で79.2万円もガタ減りした。
ただでさえ、アベノミクスの失敗で実質賃金の低下に苦しむ庶民にとって、消費増税はまさしくトドメだ。
来年には前回の増税時に続き、2番底のような惨憺が待っている。
カーポートは どちらにしても必要。
雪害を減らす工夫は、高齢化に入る雪国にとっては死活問題ですね。
今年は 他の人の力も借りて乗り切ってくださいね。