2019年01月03日

増税による景気後退で「下流2.0」時代到来の可能性

増税による景気後退で「下流2.0」時代到来の可能性
2019/01/01 HARBOR BUSINESS Online

 ’19年10月の消費税増税は、新たな下流社会の幕明け―。
賃金が一向に上がらないままでの増税は、消費が確実に低迷し、企業の収益や税収が悪化、賃金はより下降して、本格的な“デフレ”の再来が懸念されている。
さらに外国人受け入れ問題、急速に活用が進むAI(人工知能)など、誰もが当事者たり得る“下流転落の火種”が忍び寄る
僕らの未来にあるのは希望か絶望か。

◆増税後の景気後退は避けられず世界的不況の波で下流2.0時代へ!
 ’19年の日本経済に訪れる“長い不況”が、データから予言されている。
まず景気を測るバロメーターといわれる「消費者物価指数」の前年比率を見ると、消費税増税のタイミングをピークにし、下降線をたどっている。
増税は物価に直撃し、消費が冷えこみ、’14年時と同じように景気が後退するのは明らかだ。

経済アナリストの中原圭介氏は、「さらに追い打ちをかけるように、’19年は世界的な不況が訪れる」と話す。
「日本企業の利益の多くは、アメリカへの輸出によるものです。
つまり、アメリカ経済の動向は日本経済の要ですが、その雲行きが非常に怪しい。
’17年にはアメリカの自動車ローンの残高が1兆2210億ドルまで膨らみ、学生ローンの残高は1兆3780億ドルにまで増加。クレジットカードローンも前述の2つに匹敵する増加率で、いつ延滞率が上昇し、消費が縮小傾向となってもおかしくない
アメリカの景気後退が始まれば、日本を中心に世界中へ波及、“世界同時不況”となるでしょう。
早ければ東京五輪前の可能性もあります」

 “世界同時不況”が起これば、当然サラリーマンへの影響も大きい。
中原氏が続ける。
アメリカ経済が落ち込むと円高になり、企業収益はさらにマイナスになります。
輸出も減って大企業の収益が落ちると、下請け企業にダブルでしわ寄せがいく。
場合によっては、会社そのものが傾いたり、解雇や賃下げの可能性もあります。
東京五輪までの特需が剥げ落ちる’20年以降は1〜2年の不況が続くかもしれません」

 そうした先行き不透明な経済状況のなか、’19年以降は国民への負担が増える制度の改正が相次ぐ。

2018〜2020年 負担増カレンダー
2018年 1月 配偶者控除の拡大
2018年 4月 介護保険料改定/エコカー減税縮小/タワーマンション課税見直し/妊婦加算開始
2018年 8月 介護保険料の自己負担額引き上げ/70歳以上の高額療養費制度改正
2018年10月 生活保護「生活扶助費」引き下げ/たばこ増税
2018年11月 出入国管理法改正
2019年 1月 国際観光旅客税開始
2019年 7月 定年65歳→70歳に引き上げ/75歳以上の医療費負担引き上げ
2019年10月 消費税10%に引き上げ
2020年 1月 基礎控除改正
2020年 7月 東京五輪開催

◆賃金がほぼ横ばいのなかで国民負担だけが増加
『下流予備軍』の著者で会計士の森井じゅん氏は、「近い将来、一億総下流化の危険性があります」と指摘する。
“取りやすいところから取る”という印象の強い税制などへの変更が予定されています。
介護費や医療費が増え、要介護者やそれをサポートする家族への負担が増大。
さらに消費増税をはじめ、出国税などの新たな税負担も始まります。
’20年には給与取得控除も改正され、基本的に850万円超えのサラリーマン世帯は増税に。
この給与取得控除は年々縮小傾向にあるため、もっと低い年収の人はより苦しくなるでしょう

「男性の所定内給与額の推移」からも、国民の給料が上がってない中で負担が増えれば、中流が下流に落ちてしまうケースは容易に想像できる。

 また、社会学者の山田昌弘氏は、お金だけではなく、“仕事”を奪われる未来を予想する。
「人工知能“AI”による機械の発達が、ホワイトカラーの専門的な仕事を単純労働に、そして低賃金化する流れにある。
また、移民受け入れ拡大で、優秀な外国人労働者が増える。
欧米では上昇意欲の高い2世、3世に仕事を奪われるケースも増えています。
お金の面でも仕事面でも、いつ誰が下流に陥るかわからない、不安が常につきまとう時代がやってきます
 その下流の“ゆがみ”は、すでに国内で表れはじめている。



中原圭介氏】
もっとも予測が当たることで定評がある経済アナリスト。
近著に『AI×人口減少 これから日本で何が起こるのか』(東洋経済新報社)

森井じゅん氏】
公認会計士・税理士。お金にまつわる国家資格を多数取得し、税務申告や企業コンサルも務める。
’17年に初の著書『下流予備軍』(イースト新書)を出版

山田昌弘氏】
社会学者。専門は家族社会学。
「パラサイトシングル」「婚活」の新語を考案。
最新刊に『底辺への競争 格差放置社会ニッポンの末路』(朝日新書) 
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昨年は大変お世話になりありがとうございます。貴重な資料を提供されていただき大変参考になる貴重なブログと感銘しています。これからもよろしくお願いいたします。☆!!!
Posted by 荒野鷹虎 at 2019年01月03日 00:17
荒野鷹虎さん、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

本来は 自分の文で書ければいいのですが、統計や数値、人名を検索できず、読んだ中で賛同できるものを紹介しています。
今の世の中「中立」では 政権や政治の右傾化になってしまいかねません。
これからも「左派」「極左」でいくつもりです。どうか飽きずにお付き合いいただければ幸いです。
Posted by 小だぬき at 2019年01月03日 09:46
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