新年早々ウソ連発 安倍首相の年頭会見をファクトチェック
2019/01/05 日刊ゲンダイ
新年の初めから大ウソ連発だ。
4日、伊勢神宮での安倍首相の年頭会見は「ファクトチェック」が必要なほど虚偽にまみれていた。
「社会保障制度を全ての世代が安心できるものへと改革していく。
本年はその力強いスタートを切る『全世代型社会保障元年』であります」
こんな大仰な言葉を、社会保障費をカットしまくる政権のトップがよくぞ言えたものだ。
安倍政権は18年度まで6年連続で社会保障費の「自然増分」を削り、その総額は1.6兆円に上る。
19年度予算案でも約1200億円の自然増分を圧縮し、4800億円に抑えた。
16〜18年度の数値目標5000億円を超える削減額を示しておいて、どこが「全世代型社会保障元年」なのか。
10月予定の消費増税について「全て国民の皆さまにお返しするレベルの十二分な対策を講じる」と表明したが、これもウソ。
目玉のキャッシュレス決済によるポイント還元は、クレジットカードなどを持たない人には恩恵ゼロ。
自動車・住宅購入支援策で優遇するのもサイフに余裕のある人だけだ。
■「ライバル不在の慢心」
北方領土問題も「今月下旬にロシアを訪問し、交渉を前進させる」と強がったが、プーチン大統領が返還に応じる気配はない。
むしろ、振り回されっぱなしで1ミリも前進しない可能性が高い。
安倍首相は日中関係の発展や、北朝鮮による日本人拉致問題の解決に努める方針を示し、「今こそ戦後日本外交の総決算を行っていく」と息巻いたが、もう聞き飽きた。
過去6年、金正恩委員長にちっとも振り向いてもらえない安倍首相に拉致問題の解決は不可能に近い。
改憲についても「与党、野党といった政治的な立場を超え、できる限り広範な合意が得られることを期待したい」と訴えた。
唐突に改憲私案を打ち出し、国会論議をまぜ返した自分自身が「広範な合意」を邪魔していると気付いていないのか。
「これまで大言壮語で国民をけむに巻いてきたとはいえ、今年も年頭から場当たり発言ばかり。
6年以上も首相の座にいながら、彼の口から日本をどうするのかという大局的見地に立った発言を聞いた試しはない。
政治的ライバル不在の慢心こそが、言いたい放題の原因だと思います」(政治評論家・山口朝雄氏)
こんなホラ吹き首相が、夏の参院選に合わせた衆参同日選について「頭の片隅にもない」と2度も会見で否定したところで、誰もその言葉を信用しない。