まず「信念」がなければどんな夢もかなわない
2019年01月14日 SPA!
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。
自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。
自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か?
そのヒントをつづる連載第84回 信念は主観的です。
自分の体験に基づいて、「これはこういうものだ」と定義します。
だからそれは必ずしも「正しい」とは言い切れません。
他の人にとっては、そうではない場合もあります。
かといって誤りでもなく、客観的な正誤の天秤では量れないのが信念です。
時には一人の信念が大多数の常識を覆して、広まることもあります。
それが発明や発見、あるいは夢です。
「人間が空を飛べるはずがない」のに飛行機が生まれ、「ただの神話のはず」のトロイア遺跡が見つかり、「お前がなれるわけないだろ」と馬鹿にされていた人間がミュージシャンになります。
言葉は事実を表すだけではありません。
赤信号を見て「赤い」と形容するだけでなく、「赤」からりんご、口紅、フェラーリ、あるいは形のない「情熱」などを連想できます。
そして、それが人を動かします。
言葉はラベルの貼られた空き箱です。
「夢」と言えば、そこに自分の夢が入り始めます。
信念が未来を引き寄せるのです。
もちろんそのためには自分の過去と結びついてなくてはなりません。
信念に客観的な正しさはありません。
たとえ誰かが同意しくれたとしても、全員が同意することはありえません。
だからこそ過去の体験を根拠にすることが、信念の必須条件になります。
ギターを触ったこともないのにいきなりギタリストにはなれません。
漫画を描いたことがないのにいきなり漫画家にはなれません。
投資の経験がないのにいきなり全財産を注ぎ込んだら、その結果は明白です。
何かを成し遂げるのはとても不安定な道のりです。
上手くいくかもわからないし、上手くいかないかもわかりません。
上手くいくとわかっているなら安心できますし、上手くいかないとわかっているなら諦められます。そのどちらでもないから、人はああでもないこうでもないと悩みます。
いわゆる紆余曲折です。
その曲がりくねった道を歩む拠り所は、自分の周囲を照らす信念という揺らめくローソクの炎だけ。
それは時に強い風に吹き消されてしまうこともありますが、再び灯すこともできます。
そのためにあるのが自分の信念を発見するメンタルレコーディングです。
「どうすればうまくいくのか?」を考えるのが思考の役割です。
そうした思考も大切ですが、その前に信念をはっきりさせる必要があります。
◆魔法のステッキはいつか夢になる
初代iPhoneのプレゼンで、スティーブ・ジョブズは「電話を再発明する」と言いました。
電話とカメラと音楽プレーヤーとネット端末を一台に集約するというコンセプトです。
日本では既に同様の機能を持つiモードやezwebが普及していて、「iPhoneは流行らない」と言われていました。
しかし今ではiPhoneが提案したタッチパネル式のスマートフォンがスタンダードになっています。
ビジネスではこうした例がたくさんあります。
セブンイレブンはおにぎりを売り始めた時、「売れるはずがない」と言われていました。
セブン銀行を始めた時も、「ATM手数料が収入の銀行など成り立たない」と言われていました。
誰かの反対を間に受けていたら、何も始められなくなってしまいます。
自分の行く手を遮るのがロジックとは限りません。
現実は理性よりもむしろ心を折ろうとしてきます。
ある男の子が木の棒を振りかざしながら、「これは魔法のステッキだ!」と言いました。
それを隣で見ていた女の子は「違うよ」と返しました。
客観的なのは女の子です。
しかし男の子の主観では、それは魔法のステッキだったのです。
そこには幼いながらにして、信念が芽生えています。
人間は嘘を本当にしようとする時に強く輝きます。
それが夢です。
【佐々木】 コーチャー。
自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。
カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。
現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」