人はなぜ偶然を軽視するのか? 人生のヒントは偶然にある
2019年04月01日 日刊SPA(佐々木)
いまの仕事楽しい?……
ビジネスだけで成功しても不満が残る。
自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。
人間の能力には限界があります。
自分一人ですべてをこなすことはできません。
実際、私たちは色々な場面で協力し合っています。
しかし、考えることに関しては、一人でやろうとしがちです。
ほかのことと同様に、考えることもまた誰かと協力した方が捗ります。
そのために取り入れるべきなのが「偶然」です。
悩みを解決してくれるのは、「たまたま見かけた出来事」や「たまたま人から聞いた話」といった偶然のヒントです。
多くの発明や発見はこうした偶然をきっかけにしています。
アルキメデスはお風呂に入っている時に、アルキメデスの原理を発見しました。
スイスの発明家ジョルジュ・デ・メストラルは衣服に貼りついたオナモミの実から、面ファスナー(マジックテープ)を発明しました。
誰にでも、知らないことや経験していないことは山ほどあります。
それ故にすべてを必然として考えるのは不可能です。
「こうすれば上手くいくはず」と考えを突き詰めていって、八方塞がりになったことは誰にでもあると思います。
そんな時、答えは偶然という形で見つかります。
しかし、私たちはつい偶然を軽視しがちです。
せっかくヒントをつかんでも、「ただの偶然」で片付けてしまいます。
それだと自分一人で考える「必然」という限界から抜け出せません。
心理療法家の河合隼雄は通勤途中に起きた出来事を、その日の臨床のヒントにしたといいます。
心の世界は複雑で、何が閃きの引き金になるかわかりません。
しかし、それはあらゆるものがヒントになりうるということでもあります。
発明や発見のように物事について考える時は、物事がヒントになります。
同じように人間について考える時は、人間がヒントになります。
つまり、自分のことで悩んだ時は、他人がヒントになるということです。
ですから偶然といっても、それはデタラメではありません。
たとえばお金持ちになりたい時に、宝くじに期待しても仕方ありません。
そうではなく、お金持ちに注目しましょう。
するとその人物が思わぬヒントになってくれます。
このように偶然に目を向けられるようになると、人生の進み方がまったく変わってきます。
偶然がヒントになるのは発明や発見だけではありません。
仕事や家族といった人間的な問題には、他人という偶然がヒントになります。
悩んだ時は、ぜひあちこちへ出かけて、色々な人に会ってみてください。
彼らが、あなたの悩みを解決するヒントになってくれるでしょう。
佐々木
コーチャー。
自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。
カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。
現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。
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