2019年05月27日

終身雇用崩壊なのに「死ぬまで働け」 “働かせ改革”の正体

終身雇用崩壊なのに「死ぬまで働け」
“働かせ改革”の正体
2019/05/25 日刊ゲンダイDIGITAL

「70歳まで雇用」「副業推進」「残業禁止」……と、安倍政権が“働き方改革”を次々に打ち出している。
 とくに力を入れているのが、日本を「70歳まで働く社会」に変えることだ。
安倍首相が議長を務める「未来投資会議」は、先週、希望する人が70歳まで働きつづけられるよう就業機会を確保することを「企業の努力義務」とする方針を示している。

来年の通常国会に「高年齢者雇用安定法改正案」を提出する予定だ。
 法案が成立したら、いずれ日本は「70歳労働」が当たり前の社会になっていくのではないか。
メディアも「70歳まで働き、100歳まで生きる時代」などと、当然のように解説している。
それよりなにより、安倍政権は、年金の支給開始年齢を70歳に延長する方針を固めているだけに、必然的に「70歳まで働く社会」にならざるを得ないだろう。
年金が支給されなければ、生活のために働かざるを得ないからだ。

■正社員として働ける高齢者は一握り
しかし、大手メディアも批判せず、労働者も疑問の声を上げないが、本当に「70歳まで働く社会」がハッピーなのか。

「安倍政権が“働き方改革”を矢継ぎ早に打ち出している理由は、2つあります。

1つは年金制度が持たなくなっていることです。
高齢者に就労してもらい、年金制度を支える側を増やし、支えられる側を減らしたい。

もう1つは、人口減によって人手不足が進み、企業活動が成り立たなくなり始めていることです。
副業が当たり前の社会に変えてでも労働力を確保したい。
要するに“国家の論理”と“大企業の論理”によって働き方改革が進められているのが実態です」(経済評論家・斎藤満氏)

 安倍は「人生100年時代だ。
意欲ある高齢者に経験と知恵を発揮してもらう」などと、調子のいいことを口にしているが、国民を労働者としか見ていないのは明らかだ。
 しかし、安倍政権が進める「働き方改革」は、机上の空論、支離滅裂、その場しのぎもいいところだ。
 70歳までの就労機会の確保を企業の「努力義務」にするようだが、多くの企業は、すでに義務化されている65歳までの雇用継続だって、正社員として継続雇用している企業はほとんどない。

厚労省の調査では「65歳定年」企業は15%超。
8割は、契約社員などとして賃金を大幅にダウンさせて再雇用している。
 そもそも、いまや大企業でさえ「終身雇用」を維持するのが難しくなっている時代である。
トヨタ自動車の豊田章男社長までが「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきたのではないか」と発言している。

50歳を越えたらリストラ予備軍になりかねないのに、はたして、70歳まで雇用が保証されるのかどうか。
しかも、人手不足が深刻化しているのに、働き方改革として「残業禁止」を進めているのだから支離滅裂である。
 その一方、本業で「残業」ができなくなったため、収入増を目的に「副業」をせざるを得ないサラリーマンが増えているのだから本末転倒もいいところ。

筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)が言う。
「副業を推進してまで、安倍政権は『働け、働け』と掛け声をかけていますが、とても労働者のことを考えているとは思えません。
もし、『終身雇用』が完全に維持されていて、正社員として働けるなら、70歳まで働くことは労働者にとっても良いことかも知れない。
でも、終身雇用が崩壊した状態で70歳まで働くのは地獄ですよ。
60歳を過ぎると転職しようとしても条件の良い職場は、ほぼ皆無です。
会社が継続雇用に応じてくれたとしても、身分は契約社員となり、かなりの低賃金になるのは目に見えています。
“70歳まで働く社会”は、低賃金の労働者を大量に生み出すだけです」

賃上げすれば若い労働力がどっと出てくる
 内閣府は65〜69歳の就業率が60〜64歳と同水準になれば、就業者数は217万人増えると試算している。
人手不足に悲鳴を上げる大企業を助けるために、なにがなんでも高齢者を安価な労働力として駆り出すつもりらしい。

 しかし、本当に若い働き手はいないのか。総務省の労働力調査では、2018年の男性就業率は25〜34歳は91%、35〜44歳は94%、45〜54歳は93%だった。
一見、そうに見えるが、低落傾向がつづいているという。

女性にいたっては、25〜34歳でも77%である。
仕事に就いていない労働者が、かなりいるということだ。
現在、25〜54歳の労働力人口は男女合わせて4196万人。
その2%でも新たに就業すれば、80万人の働き手が生まれる計算である。

 また、いわゆる「就職氷河期世代」と呼ばれる35〜44歳(約1689万人)のうち、定職についていないフリーターと無業者は、合わせて90万人もいるという。
 もし、深刻な人手不足が問題となっている介護や保育などの賃金を一気に2倍、3倍にすれば、新たな働き手が次々に生まれてくるのではないか。
「現在、働いていない若者や中高年のなかには、条件が悪いために働くことを断念した人も相当数いるはずです。
介護職や保育士の給料を政府が大幅にアップすれば、労働市場にどっと人が出てくる可能性があります。
高い報酬を目当てに介護や保育の職に就く人が増えるだけでなく、介護や保育が充実すれば、子どもを預ける保育園が見つからないために働くことを断念した人や、介護離職をした人が働きはじめる可能性が出てくるからです。
なのに安倍政権は人手不足を解消する、そうした抜本策に見向きもしない。どうかしています」(小林弥六氏=前出)

■安価な高齢労働者が全体の水準を下げる
「働き方改革」を推し進める安倍政権は、結局、大企業が安く酷使できる労働力を大量につくりたいだけなのではないか。  

安い労働力が手に入る大企業は大喜びだろうが、「70歳」の低賃金労働者が増えたら、全体の賃金水準も上がらず、ますます貧富の格差が拡大するだけだ。
「低賃金の高齢労働者ほど、企業にとって好都合なものはありません。
まず、彼らは黙々と働きますからね。

なにより、安い労働力が大量に確保できれば、他の労働者の賃金を上げなくて済むメリットがあります。
いま、政府と大企業が進めている外国人労働者の大量雇用と同じ発想です。
高齢労働者は外国人労働者と違って日本語も分かるし使い勝手がいい。
国民にとって最悪なのは、その結果、一般の労働者の賃金が上がらないことです。
 本来、深刻な人手不足なら、正社員になれるはずの非正規社員も一生、非正規社員ということになりかねない。

安倍政権が悪辣なのは、“70歳雇用”を“年金の支給開始70歳”と、同時並行で進めようとしていることです。
このままでは、国民は全員、使い捨てにされますよ」(政治評論家・本澤二郎氏)

 生活のために無理をしている高齢者も多いのだろう。
60歳以上の労働者の労災は、現役世代より多く、死亡災害も最多となっている。

 多くの国民は「令和」への改元や、トランプ大統領の来日に目を奪われ、「働き方改革」に抗議の声さえ上げないが、いい加減、目を覚ました方がいい。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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