12年前「消えた年金」再び?
「2000万円不足」参院選は...
FNN.jpプライムオンライン 2019/06/10
「老後の資金が、2,000万円足りない」
突然の発表に動揺や不安が広がる中、10日、安倍首相が、初めてこの問題に答えた。
安倍首相の脳裏には、12年前のあの「悪夢」がよぎったのか。
立憲民主・蓮舫参院幹事長「総理、日本は、一生懸命働いて、退職金をもらって、年金をいただいて、それでも65歳から30年生きると、2,000万円ないと生活が行き詰まる、そんな国なんですか」
安倍首相「これは不正確であり、誤解を与えるものであったと」
立憲民主・蓮舫参院幹事長「不正確でも誤解もしていません」 10日の参議院決算委員会。
立憲民主党の蓮舫副代表が、やり玉に挙げたのは、「老後に2,000万円が不足する」とした、金融庁のあの報告書。
95歳まで生きるには、年金だけでは足りず、65歳からの30年で、金融資産などおよそ2,000万円を取り崩す必要があると試算した。
立憲民主・蓮舫参院幹事長「この報告書は読みましたか?」
麻生財務相「冒頭の一部を読ませていただいた。全体を読んでいるわけではない」
一方、安倍首相は、この質問に...。
立憲民主・蓮舫参院幹事長「足らざる部分のために、もっと働け、節約しろ、ためろ。公助から自助に、いつ転換したのか」
安倍首相は、「これは、高齢期の生活は多様であって、それぞれの方が望ましいと考える生活水準や働き方の希望、収入、資産の状況などもさまざま」などと、長々と答弁。
安倍首相「『とめろよ』とか、『やめろよ』とか、大きな声を出すのはやめましょうよ」
実際の年金生活者は、どのように暮らしているのか。 訪ねたのは、千葉県に住む須賀田さん夫妻。
須賀田貞彦さん(79)「蓄えも、もうわずかですので、これから100歳の時代、わたしどもは、あと20年あるわけで、それをどんなふうに過ごしていくか心配になっています」
1カ月の収入は、25万円余り。
しかし、1カ月の生活費は29万円ほどで、毎月およそ4万円の赤字になっているという。
須賀田貞彦さん「2つ、3つあるエアコンを1つにして、2人で、1つの部屋で生活をするように心がけている」
妻の恵美子さん(74)は、新聞の折り込みチラシを見てから買い物に行くという。
妻・恵美子さん「必要なものを見て、『きょうは、ちょっとお安いのがあるな』と思うと出かけます」
しかし、そうした節約だけでは足りず、退職金や貯蓄を切り崩しながら生活しているという。
今回の“年金じゃ足りない問題”をめぐっては、首相周辺から、参議院選挙への影響を危惧する声が上がっている。
首相周辺「年金2,000万円問題は、軽くみてはいけない」、「われわれは、2007年の参院選で手痛い経験をしたことを忘れていない」
12年前の2007年。
第1次安倍内閣で発覚したのが、「消えた年金問題」と呼ばれた、年金記録のずさんな管理。
自民党は、この年の参議院選挙に惨敗。
その後、安倍首相は、体調不安を理由に辞任した。
あの時のように、「2,000万円不足問題」を参議院選挙の争点としたい野党。
与野党の攻防は、さらに激しくなるとみられる。