きょうの潮流
街の中に、なんとバリアーの多いことか―
2019年6月29日(土) しんぶん赤旗
普段、何気なく歩いている街の中に、なんとバリアーの多いことか―。
病気で歩行が困難になった父親と旅行して、そう痛感しました
▼段差や傾斜、駅の階段、電車とホームの隙間。つえをつき、不自由な体での移動は困難の連続でした。
入場料を払ったものの急な階段を上れず、中まで入れなかった観光地もありました
▼同時に、これほど他人の優しさに触れた旅行は初めてでした。
「お手伝いしましょうか」と声をかけてくれた人、電車から降りる時にさりげなく体を支えてくれた人…。
私たちを気にかけ、手を差し伸べてくれる人の存在はとても心強く、ありがたいものでした
▼以前、話を聞いた車いす生活の女性の言葉を思い出しました。
「道路や施設のバリアーは、もちろんなくしてほしいけれど、それには時間がかかるでしょう。
でも人の心にあるバリアーは、お互いを知り、相手の気持ちを想像することで、すぐにでもなくせるのではないでしょうか」
▼難病で歩けない娘をもつお母さんは「病気や障害は、かわいそうなことでも克服すべきことでもない。
変わるべきは、不便や我慢を強いている社会の方ではないでしょうか」と話し「心のバリアフリーを」と呼びかけました
▼昨年「ユニバーサル社会実現推進法」が成立しました。
互いの人格を尊重し、支え合って共生する社会をめざすものです。
障害者や高齢者、女性も男性もLGBT(性的少数者)も、誰もが尊厳をもって自分らしく生きられる社会へ。
歩みを進めていきたい。