元2等海佐が語る自衛隊の上位下達バカぶり
2019年08月10日 PRESIDENT Online
■「少年マガジン」が防弾チョッキの代わりだった
1999年3月24日6時7分、海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」の航海長だった著者は、複雑な思いで「面舵一杯」を下令した。
日本人が拉致されているかもしれない北朝鮮工作船を警告射撃で停止させ、隊員が立入検査に乗り込もうとした矢先、その船は再びフルスピードで逃走。
「みょうこう」も急加速して追走したが、そこで日本政府から作戦中止命令が出たからだ。
あっという間に日本海の波間に消えていく船影は今も目に焼きついているという。
「能登半島沖不審船事案」と呼ばれるこの出来事が、防衛庁(現防衛省)初の特殊部隊「特別警備隊」を海上自衛隊内に創設するきっかけとなった。
あの日、立入検査ができたとしても成功する可能性は極めて低かった。
そもそも法令を遵守しているかどうかをチェックする“立入検査”で日本人を奪還できるわけもなく、防弾チョッキさえ装備されていなかった。
出撃を控えた彼らの胴体には「少年マガジン」がガムテープでぐるぐる巻きにされていたそうだ。
著者は、この体験後、特殊部隊を志願し、創隊準備から8年間、特殊戦の現場責任者を務めた。
「私は、防衛省や自衛隊は日本人のよくない国民性が出やすい組織だと思っています。
あの事件でもそれがあぶり出された。
命令による統制が愚直なまでに徹底される日本の組織の特徴が如実に表れています。
大して発令の理由を説明されないまま、生きて帰ってこられるかわからない命令を受けた隊員らは、短時間のうちに出撃を覚悟しました。
日本人が想像する以上に、この国では恐ろしいほど上意下達の文化がある。
そういう一面があることを政治家はもちろん、多くの日本人に知っておいてほしい」
■「防衛省や自衛隊は日本の縮図だと思う」
一般的に、海軍ではすべての判断が艦長に委ねられるため、事実を寸分たがわず報告することを隊員に徹底させる文化がある。
いわば、戦艦の1つの部品になることが求められるわけだ。
一方、「不審船に乗り込んで拉致されている日本人を奪還するために創設された特殊部隊では、現場で判断して自己責任で行動することも必要。
これがネイビーとアーミーの文化の大きな違いです。
ですから、最初は特殊部隊に入ってきた隊員の意識改革に苦労しました」。
自分を押し殺し、上位者の指示に黙々と従おうとする傾向が強いのは自衛官に限らないだろう。
「防衛省や自衛隊は日本の縮図だと思います。
この本を読んで、こんなことが起きてしまう組織なんだって思いつつ、似たような経験があるという人も多いのではないでしょうか」。
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伊藤祐靖 1964年生まれ。
日本体育大学から海上自衛隊へ入隊。
海上自衛隊「特別警備隊」創設に携わる。
2007年、2等海佐の42歳のときに退官。
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