日本はもはや国の体をなしていないことを実感した1カ月
2019/11/13 日刊ゲンダイ(斎藤貴男)
この国の社会はもはや、社会としての体をなしていない。
もともと小泉純一郎政権の新自由主義“改革”で危なくなっていたところを、アベシンゾーによって何もかもブチ壊されてしまった。
この1カ月間だけでも――。
菅原一秀経産相が有権者を、河井克行法相が運動員を、それぞれ“買収”した公職選挙法違反容疑で、就任早々の辞任に追い込まれた。
大学入試への英語民間試験導入について萩生田光一文科相が「身の丈に合わせて頑張って」と吐いたかと思えば、河野太郎防衛相は「私は雨男」だと台風被害をウケ狙いのタネにした。
アベは「私の任命責任」だと口では言う。
だが何もしない。
ただ威張る。
国民を腹の底からなめきっていなければ、いや、まともな大人ならできっこない言動ばかりを繰り返して、今月20日にはとうとう歴代最長の首相在職日数になるのだとか。
アベは国会の舞台でも、首相にあるまじき、というより幼児以下のヤジを飛ばしまくる。
この6日には加計学園問題をめぐる文書を取り上げた野党統一会派の議員に、「あなたが作ったんじゃないの」。
8日には立憲民主党の議員に「共産党か!」……。
悲しくて、情けなくてやりきれない。
なんでこんな手合いが首相なのか。
あり得ないだろう、普通。
だが現実である。
この間には例年春の公的行事「桜を見る会」がアベとその側近らに私物化されていた実態さえ暴露された。
以上はみんな、この、たったの1カ月の間に起きたり、わかったりしたクソ話だ。
歴代最長の首相とやらに、この国も私たちも、とうの昔に肥だめに突き落とされている。
幼児性丸出しの支配欲は、そのまま政策にもなっている。
米軍とともにある戦争と、帝国主義へのむき出しの野心はご案内の通り。
低能マスコミが「おトク」かどうかだけを垂れ流し続ける消費税のポイント還元は、イコール超監視社会への起爆剤だし、くだんの英語民間試験は、これも御用マスコミが萩生田発言を遠慮がちに形容する「格差の容認」どころか、あえて積極的に「格差を創造・拡大・固定化する」方便に他ならない事実を、私たちは断じて許してはならない。
日本はアベに破壊された。どいつもこいつも上しか見ないヒラメになり下がり、人心も荒廃しきった。
もう手遅れだ。
私は夢想する。日本の国家そのものをいっぺん解散して、ゼロからやり直せないだろうか。
ここまで来てしまったら、それ以外に道は残されていないのではないか、と。