2019年12月03日

“逃げ恥”内閣を続けさせる無意味 末路は嘘の上塗り総辞職

“逃げ恥”内閣を続けさせる無意味
末路は嘘の上塗り総辞職
2019/12/02 日刊ゲンダイ

 TBS系ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」がヒットしたのは、もう3年前。
タイトルはハンガリーのことわざで「自分の戦う場所を選べ」ということを意味し、今いる環境にしがみつかず逃げることも選択肢に入れて、自分の長所が発揮できる場所で戦えということらしい。

 だが、安倍政権にそんな含蓄のある言葉は似つかわしくない。
ひたすら逃げ続け、恥ずかしいだけの“逃げ恥”内閣。
ゴマカシ、偽り、隠し続ければ、そのうち国民は忘れてしまう。
この7年間はその繰り返しだ。

「桜を見る会」を巡る疑惑も、決して「長期政権による驕り」ではない。
息を吐くように平気で嘘をつく人物が首相を務めているからこその当然の帰結で、イカれた首相は本日も反省の色なし。

 今回も嘘を重ねれば逃げおおせる。
その嘘のために官僚たちが情報を隠蔽、廃棄し、ツジツマ合わせに四苦八苦しようが、平気の平左。
当初は「招待者の取りまとめには関与していない」と答弁したが、次から次に矛盾が見つかり、「虚偽答弁だ」と追及されると、「最終的な取りまとめには関与していない」と詭弁を弄する。
集中審議からも逃げまくる。
とことん、ロクでもない“逃げ恥”首相ではないか。

 大嘘つきも筋金入りだ。
政治評論家の野上忠興氏によると、安倍首相の養育係だったウメさんは「宿題を『やったよ』と言うからノートを見ると真っ白だった」と証言。
幼い頃から、その場しのぎのいい加減な嘘を繰り返してきたのだ。

■詭弁を弄し首相をかばえば出世する異常な国
 大体、森友問題で安倍が「私や妻が関係していたということになれば首相も国会議員も辞める」とその場逃れで虚勢を張るから、閣僚も官僚も答弁との整合性を取ろうとし、追い込まれていった。
ついには禁断の公文書改ざんに手を染め、近畿財務局職員は自ら命を絶ったのだ。

 心ある政治家なら、それこそ自らの責任を恥じ入り、進んで総辞職を選びそうなものだが、根っからの大嘘つきにマトモな神経を求めるだけ無駄だ。
安倍は5年前に政治評論家の森田実氏と官邸で昼食を共にした際、「一番やりたいことは何ですか」と聞かれ、開口一番「長くやりたい」と答えたという。
今や「長くやりたいだけ」が自己目的化。
ひたすら権力にしがみつくことしか考えていないのである。

高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)が言う。
「人事権を内閣に握られて以降、官僚の忖度が横行。
森友疑惑で『パソコン上の行政文書のデータも自動的に消去される』とのトンデモ答弁で、首相をかばった佐川宣寿元国税庁長官が象徴的で、首相答弁の嘘に嘘を重ねる官僚が出世してしまう。
その前例があるから、内閣府幹部もシュレッダーを巡るキテレツ答弁で、官邸に顔を売るわけです。

 これだけ嘘や隠蔽、廃棄を重ねれば、政権交代が起きたら『自分たちはエライ目に遭う』と恐れ、ますます政権の“下僕”と化す。
ついには『野党議員の質問通告で忙殺されている』と野党を悪者扱いするありさまです。

官僚機構が嘘に嘘を重ね、一国のトップに降りかかった疑惑を払いのける国は世界中に見当たりません。
あのトランプ政権下の米国でも、トランプ大統領から任命された駐EU大使が、ウクライナ疑惑の解明に率先して協力しています。
日本の内部通報制度がいくらオソマツとはいえ、情けない限りです」

不平等協定にも重なるゴマカシ政権の総決算
 この7年間、安倍政権は内政も外交も何ひとつ成果なし。
そんな政権が、ひたすら首相在任記録の更新のためだけに存続するなんて、無意味だ。
国民の損失と弊害は計り知れないものがある。

 アベノミクスのイカサマで、株価だけは絶好調だが、この7年の日本経済は企業の内部留保がぶくぶくと膨れ上がるのみ。消費は伸びず、1人当たりの実質賃金は5%減少した。
トドメが10月からの消費増税で、経済指標はメタメタだ。

 経産省が発表した10月の鉱工業生産指数の速報値は98・9で、前月を4・2%下回った。
指数が100を割り込むのは3年3カ月ぶり。
下げ幅は1年9カ月ぶりの大きさだ。
経産省発表の10月の商業動態統計速報も、小売販売額は前年同月比7・1%減と、実に4年7カ月ぶりの大幅ダウン。
前回14年の消費増税時よりも下げ幅は大きい。

 記録的な景気の低迷で庶民のクビをジワジワと絞め付ける一方、外交もボロボロだ。
日朝間は「内閣の最重要課題」と繰り返す拉致問題が1ミリも進展せず、日ロ交渉もプーチン大統領に手玉に取られ、3000億円の経済協力を約束させられただけ。
北方領土問題で「2島返還」にカジを切っても無駄な譲歩に終わり、プーチンには忖度する安倍はとうとう「北方4島は日本固有の領土」と国会で答弁できなくなる始末である。

 韓国とは徴用工訴訟にクビをツッコみ、無用なケンカを仕掛け、過去最悪の関係が続く。
一方、米国とはトランプに尻尾をフリフリ。
ついには日本側にとって著しく不平等な内容となるWTO違反の日米貿易協定に合意してしまった。
「それでも『ウィンウィン』と言い張る安倍首相の強弁に合わせ、官僚たちは都合の良い恣意的なデータや試算だけを公表し、協定の詳細は伏せ、隠蔽を図ろうとする。
まさに桜を見る会と同じ構図です。

『もっと国会で議論すべき大事なことがある』
『5000万円程度の事業で野党は大騒ぎするな』と、政権寄りのメディアや首相シンパの言論人は問題の矮小化に必死ですが、魂は細部にこそ宿る。

まず公金の私物化はもとより、公職選挙法違反や政治資金規正法違反、財政法違反と数々の法に抵触している疑いがある。
何より、嘘と隠蔽、改ざん、廃棄と澱のように積み上がった7年分の腐敗がギュッと濃縮されています。
桜を見る会の問題を糾弾すれば、安倍政権の本質が解明されるのです」(五野井郁夫氏=前出)
 桜を見る会こそ、7年もの長期に及ぶゴマカシ政権の総決算なのだ。

■失われつつある道義と正義を取り戻す好機
 狂い咲きの「桜」の陰に隠れているが、9月の内閣改造からわずか1カ月半、しかもたった1週間のうちに、菅原一秀経産相、河井克行法相と主要閣僚2人が、揃って公選法違反の疑いで辞任したことも忘れてはいけない。
 第2次安倍政権の発足以降、疑惑や失言を理由に辞任した閣僚は2人の辞任で10人目。
さらにドミノ辞任候補が後に控えている。

「身の丈発言」の萩生田光一文科相を筆頭に、雁首揃えてヤクザ絡みの疑惑を抱える武田良太国家公安委員長、竹本直一IT担当相、田中和徳復興相の「3T」、ポンコツ答弁の北村誠吾地方創生相と、数え上げればキリがない。
ホンの一押しでバタバタと辞任ラッシュが発生しても、おかしくないのだ。

 前出の森田実氏はこう言った。
「古今東西のあらゆる宗教で共通する教えは『人をだましてはいけない』です。
国のトップが嘘をついて権力を維持しようとすれば、国や社会が壊れるのが歴史の教訓でもある。
嘘をつかないことは、それだけ人間社会の成り立ちの根本なのです。
『資料は全部廃棄した』なんて犯罪者の言い分で、安倍首相も表向きは『国会から求められれば説明するのは当然』とカッコつけても、裏では自民の国対委員長に手を回し、逃げ続ける。
まさに組織ぐるみの犯罪です。

桜を見る会の問題は、この国から失われつつある道義と正義を取り戻す好機。
野党もメディアも国民運動を起こし、安倍首相を史上初めて嘘の上塗りで総辞職させなければいけません」

 恐らく末路は「嘘の上塗り総辞職」――。
そうならないと、この国はいよいよ、オシマイだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☔ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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