2020年01月13日

医師が教える「病院で円滑に診察を受けるコツ」

医師が教える「病院で円滑に診察を受けるコツ」
どうすれば「症状」をうまく伝えられるのか
2020/01/12 東洋経済オンライン
上原 桃子 : 医師・産業医

冬到来のこの時期、風邪やインフルエンザなどで医療機関を受診される方が多くなると思います。
しかしいざ診察が終わってみると、思うように自分の症状が伝えられなかった経験はありませんか?
 今回はそうなってしまう原因と、その対策についてお伝えしたいと思います。

医師と話すのは緊張するもの
初対面の人と1対1で話すのは、誰でも緊張するものです。
さらに病院の診察室は医師からすればおなじみの空間ですが、患者にとっては非日常の空間です。
しかも自分の症状を伝えて判断を下されるわけですから、さながら面接室のように捉える方もいるかもしれません。
また、近年は電子カルテの普及によって、パソコンの入力画面ばかり見て患者のほうを見ない医師もいます。

人は自分の話をするとき、相手の表情や仕草、いわゆるリアクションを見ながら話をします。
仏頂面でノーリアクションの人と、うんうんと笑顔でうなずいてくれる人、どちらが話しやすいかといえばきっと後者でしょう。
画面のほうを向いて無表情でうなずくような医師に対して話すとき、私たちはより一層圧迫感を覚え、何を話せばいいのかわからなくなってしまうのです。
これは医師側の問題ではありますが、一方で、患者から聞いた情報を正確に書き留めておくのもまた、医師にとって必要な仕事です。

患者側も、矢継ぎ早に、とりとめもなく話すのではなく、伝え方に工夫をすることでお互い余裕をもって話ができるのではないでしょうか。
例えば、自分なりに伝えたいことのメモを事前に作っておく。
これだけでも自分の中で話題が整理され、伝え忘れもぐんと少なくなると思います。
発熱を伝えるときの体温の変化など、言葉で表しにくいことは、メモを直接医師に見せてもよいでしょう。

そうは言っても、何をどうやって伝えたらいいのかわからない。
そんな声を多く聞きます。
その原因の1つは、診察のはじめに聞かれるお決まりの質問、「今日はどうされましたか?」にあると思います。

「はい、いいえ」や「AかBか」で答えられない、この答えの幅が広い質問はOpen Questionと呼ばれます。
患者が話したいことを自由に話せるように、という趣旨の質問ですが、何を話せばいいのか、かえって混乱してしまうのです。

そんなときは、今自分が一番困っている症状を話しましょう。
そのまま自分が話し続けるか、医師から質問が来るかはその状況次第ですが、ここで診察の流れを知っておくとスムーズです。
医学生は診察のトレーニングをする際、症状を聞く基本的な流れをOPQRSTという語呂合わせで覚えます。

O(Onset)はいつから症状が出たのか、
P(palliative/provocative)は症状がよくなる(悪くなる)行動、
Q(quality/quantity)は症状の様子、
R(region/radiation)は症状の場所、
S(associated symptom)はその他の症状、
T(time course)は時間の経過です。

頭痛を例にしますと、「2週間前から痛い・眠ると頭痛がおさまる・ズキズキ痛む・頭の後ろが痛い・発熱と鼻水もでる・これらが2週間続いている」といった具合です。
経過についてはなるべく時系列に沿って伝えるといいでしょう。

このように、症状を伝えるときには、一番困っている(気になる)症状を主にして伝えるようにしましょう。
すべての医師がこれに沿うとは限りませんが、少なくとも自分から症状を伝える際は参考になるかと思います。
情報の過不足は医師が決めることで、もし足りなくても追加で質問されるので問題ありません。

多くの症状を伝えることに遠慮してしまう
とはいえ、熱もある、鼻水も出る、腰もちょっと痛いかも……と次々に症状が浮かんでくると、こんなに多く情報を伝えるとかえって医師を混乱させてしまうのでは?と思ってしまう方もいらっしゃいます。
その結果、「よく考えると、たいしたことないかも」と自分で勝手に決めつけてしまい、本来重要であるかもしれない症状を伝えずに診察を終えてしまうのです。

「聞かれなかったからそれ(症状)は言わなかった」という話もよく聞きます。
しかしながら、先程も申し上げましたように、情報を集めて過不足があるか、重要かどうか判断するのは医師です。
いくら診察に慣れた医師でも、顔を見た瞬間に相手の生活状況や隠れた症状、病気の名前がわかるわけではありません。
幾つかのキーワードを繋ぎ合わせて、知識と経験則から診断するのです。
少しでも気になることがあれば遠慮せず伝えましょう。
もしかしたらそれが、診断につながる重要なキーワードになるかもしれません。

対策をまとめると、
@必要ならばあらかじめメモを作っておき、
A自分がいま一番困っていることから時系列に沿って詳しく話すこと。
Bその際に、一番気になることを主軸に伝えること。
➃どんなに小さなことでも、気になることは医師に伝えること。

診察は、医師と患者のコミュニケーションです。
医師が患者に話しやすいと思われるよう努力するように、患者側からも医師へ歩み寄る姿勢が医師との信頼関係を築きます。

これらを1つでも心に留めておくことで円滑な診察を受けられると思いますので、ぜひ実践してみてください。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
小だぬきさん、お久しぶりです。
私は、家族の付き添いも含めて、病院に行く事が多いです。
よく忘れますが、メモをして受診するように心がけてます、
私は、睡眠時間と気分の調子を記録するようにしてます。
Posted by ちゃいね at 2020年01月16日 16:37
ちゃいねさん
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

私も 通院科目が増え 平均1週間に 1診療科目です。
相手がストップをかけるまで、身体の具合と原因になりそうなものを説明します。

どのサイトか 今では不明ですが、うつ発症の時に、1日の生活を表にするものをダウンロードして使用したことがあります。
わんさんの状態、子ども達の様子、ちゃいねさんの心身と気にかかりますが、今年も通院・服薬で 少しでも改善をお互いに目指していきましょうね。
Posted by 小だぬき at 2020年01月16日 17:09
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