看板倒れ加計学園
獣医学部はコロナ感染症対策で機能せず
2020/02/14 日刊ゲンダイ
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、“世界に冠たる”獣医学部は何をしているのか――。
新型肺炎対策が議論されている国会で、加計学園が設立した岡山理科大獣医学部の名前が浮上。
カケ問題が再燃している。
コトの発端は先週7日の衆院予算委。立憲民主の阿部知子議員が「今般の事案(新型肺炎)に対して、いま加計学園はどんな活動をしているのか」と問うと、萩生田文科相が「今後の感染症、微生物学に関する講義のなかで取り扱うことや、今後、シンポジウムにおいて情報発信・啓発を行うことを検討している」と答弁。
国家戦略特区を通じて“鳴り物入り”で新設された獣医学部が、ほとんど何もしていないことが発覚した。
■つぎ込まれた税金は約186億円
そもそも、獣医学部新設の狙いを安倍首相は「人獣共通感染症対策」「新薬開発」――と強調してきたはずだ。
しかも、〈広域的に(獣医学系大学が)存在しない地域に限り新設を可能とする〉との特区認定の条件を追加し、わざわざ鳥インフルエンザ研究センターを持っていた京都産業大を除外までしている。
それにもかかわらず、新型肺炎が猛威を振るっている、この肝心な時に、ほとんど機能していないのだから話にならない。新薬の開発なんて期待されていないのだ。
さらに、新型肺炎を研究・調査するよう政府から指示を受けた国内の9つの大学にも、岡山理科大は選ばれていない。
その理由を文科省に聞くと、「文科省の補助事業『感染症研究国際展開戦略プログラム』に採択されている大学に指示した」(研究振興戦略官付)とのこと。
学園側にも新型肺炎に関する取り組みについて問い合わせたが、期日までに回答はなかった。
獣医学部新設につぎ込まれた税金は約186億円。
国からの助成金も入っている。
政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「『人獣共通感染症への対策』との説明はしょせん、獣医学部新設のための建前だったということでしょう。
モリカケ疑惑といい、『桜を見る会』といい、いったい血税を何だと思っているのでしょうか。
今回の新型肺炎のような不測の事態にこそ、税金が投入されるべきでしょう」
“世界に冠たる”なんて、看板倒れじゃないか。