「社長は保身しか考えていない」
タクシー会社600人全員解雇は“英断”ではなかった
2020年4月26日 文春オンライン
「悩んだ結果、多くの方にベストだと思い、非常に重い決断をしました。
本日付で全員“解雇”する。
感染のリスクと戦いながら、給料が下がって行くのを見ていられない。休んで命を守ってほしい」
4月7日、都内の公園で、スーツ姿の男性が数十人の社員に切々と訴えた。
“英断”だとの声もあるが……。
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東京のタクシー会社・ロイヤルリムジングループの金子健作社長が、全従業員約600人の解雇を発表した。
「会社側が『休ませて休業手当を支払うより、解雇して雇用保険の失業給付を受けた方がいいと判断した』、『終息すれば再雇用したい』と説明したため、社員のことを考えていると評価する声もあった」(社会部記者)
「社長は自分の保身しか考えていません」
だが、50代女性の現役社員のAさんは憤る。
「社長は自分の保身しか考えていません。
今回の解雇を多くの従業員は、SNSやニュースで知りました」
〈ロイヤルリムジングループ社員の皆様へ〉と題した6日付の通知書が、4月7日にツイッターに投稿されたのである。
そこには、 〈完全復旧した暁には、みんな全員にもう一度集まっていただき、今まで以上に良い会社を作っていきたいと思います。ロイヤルリムジンは永久に不滅です〉
7日から金子社長が、社員への説明行脚を開始。口頭で事実上の解雇を伝えた。
「コロナウイルスの影響で売上が半減。社長は再雇用の可能性も示唆しつつ、あくまでも“従業員のための決断”とことさらに強調していました。
その社長の説明に納得した従業員も少なくなかった」(元社員)
「不当解雇」にあたる可能性も
前出のAさんが続ける。
「8日以降、社長は『解雇』という言葉を一切口にしていません。
その代わり、失業給付をすみやかに申請するためと語り、『退職合意書』へサインさせました。
そうすることで、十数人を除く社員を解雇ではなく、“合意退職”扱いにしたのです」
労働問題に詳しい旬報法律事務所の佐々木亮弁護士が解説する。
「解雇の場合、少なくとも30日前の解雇予告が必要で、行わない場合には30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う義務がある。
ロイヤルリムジンの合意書は、支払い義務を免れるために用意されたと言わざるを得ない。
不当解雇にあたる可能性もあります」
実は、同社は解雇を発表する直前まで新規雇用を続けていた。
こうした経営判断の甘さに、多くの人が振り回されている。
「4月1日に入社したばかりの社員もいました。
これまで東京オリンピック・パラリンピックでの需要拡大を見込んで、タクシーと運転手を増やしてきたのです」
そう語るのは、50代男性の現役社員のBさん。
「私も、採用担当者から何度も連絡をもらって、熱心に説得され、大手タクシー会社から転職して、3月1日に入社しました」(同前)
Bさんの場合、雇用保険の失業給付の対象ではない。
「以前の失業期間に失業給付を消化していたため、今回の給付対象にならないのです」
別の50代男性社員が嘆く。
「私は個人タクシーの資格取得を目指して丸10年ドライバーを続けてきました。
休職状態が続けば受験に不利になりますが、業界全体が苦境に喘ぐ中での解雇です。
即再就職とはいかない。
途方に暮れています」
経営者から「この手があったか」と問い合わせが急増
Bさんは憤りを隠せない。
「計画倒産ではないかと疑っています。
社長は、阪神・淡路大震災での経験を挙げて『私には復活のDNAが流れている』と語っていましたが、私も東日本大震災の被災者。
震災で経営していたパン工場が倒産し、歯を食いしばって生きてきました。
コロナや震災を引き合いに同情を誘う前に、経営責任を果たすべきです」
前出の佐々木弁護士が嘆息する。
「従業員の事実誤認を促して退職に追い込んだ印象で、経営責任を放棄した極めて悪質な事例です。
失業給付の方が一時的に手取りは多くなったとしても、先の見えない混乱状況下で失業という選択肢は賢明ではない。
経営者には助成金を活用するなど、雇用維持の方策を尽くす義務がある。
従業員が解雇を不当として法的手段に訴えれば、代表取締役個人の損害賠償責任をも問われうる事態であることを自覚すべきです」
ロイヤルリムジンに取材を申し込んだが、「応じられない」と話すのみだった。
Aさんはこう語った。
「いま労働局には、全員解雇のことを知った経営者から『この手があったか』と問い合わせが急増しているそうです。
私には2人子どもがいます。
彼らのためにも、こんなことが許される社会には絶対にしたくない」
コロナを理由にすれば、“無法”が許されるわけではないのだ。
(※4月22日、ロイヤルリムジングループの運転手など80人あまりが、解雇の無効などを求めて東京地方裁判所に仮処分を申し立てた)
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年4月23日号)
『半沢直樹』、『アキラとあきら』、『陸王』、『空飛ぶタイヤ』
『下町ロケット』、『民王』、『花咲舞が黙ってない』、『ようこそ、わが家へ』
『ルーズヴェルト・ゲーム』 、『七つの会議』で
『民王』以外、全部観てました♪
首相と息子の脳が入れ替わる、ドタバタ喜劇のようですが
なかなかどうしてウィットがきいた政治批判になっています。
ドラマより小説の方が 良かったですが・・・。
「半沢直樹」より「花吹舞」の方が 銀行ドラマとしては優れていると思っています。
「臨店班」の女性の目線が 視聴者に近く「庶民版水戸黄門」的痛快さで銀行のあり方を問うていました。
「空飛ぶタイヤ」、半日かけて視聴終わりました。
重いテーマですが、善悪・良心の揺れなど登場人物に感情移入しながら 真実・事実を明らかにして欲しいと時間を忘れて 一挙に観てしまいました。
何度みても 飽きさせないのは、原作の良さでしょうね。