2020年07月11日

豪雨リスク激増を日本人に気づかせない、「3つのタブー」の存在

小だぬき→大雨の被害を目の当たりにして、今一つモヤモヤしている点が、山や地面の保水・治水能力が 過去と比べて 大幅に低下しているのではないかという点です。山林伐採・植林などの林野行政が災害を誘発していないのか、土という治水・保水能力が アスファルト、コンクリート化のためにやせ細っていないのか、宅地化認可基準に問題はないのか、昭和28年生まれで多くの台風などで 床上浸水も經驗した小だぬきには この国の国土計画そのものに問題点が潜んでいないか気になるのです。今、土木関係・林野関係の論考を探しています。素人の小だぬきでも解るものがあれば教えてください。
豪雨リスク激増を日本人に気づかせない、「3つのタブー」の存在
2020.7.10 ダイヤモンドオンライン
鈴木貴博:百年コンサルティング代表

日本で前例のない豪雨災害が多発 なぜとっさの時に動けないのか
 相次ぐ自然災害に、日本各地で特別警報が続出しています。
7月7日に九州を中心に豪雨が発生し、熊本県南部に甚大な被害をもたらしました。
そしてその翌日には岐阜、長野県に大雨特別警報が発令され、岐阜県では飛騨川が氾濫。
下呂市、高山市などで浸水し、およそ4000人が孤立状態になっています。
 多くの被害が出ている災害のさ中に迷うところはありますが、このタイミングだからこそ世間に警鐘を鳴らすことができるという意味で、本稿を書いています。

 前例のない豪雨災害が日本では急増しています。
ところが被災者となった方々の話を聞くと、「雨足が激しくなってきたとは思ったが、そのとき、まさかこれだけの被害になるとは考えなかった」という話が実に多いのです。
本当は直ちに命を守る行動をとるべきときに、動けない。
結果として、「これはマズイ」と気づいたときにはすでに逃げる場所がなくなり、災害に巻き込まれてしまうという人が、実に多いのです。

 背景として、「2020年代は豪雨災害が激増する時代になる」という科学的に根拠のある予測が、きちんと国民に伝わっていない状況があります。
 たとえば、次のような質問を投げかけてみると、よくわかるかもしれません。

「気候災害の中でより怖いのは、巨大台風と集中豪雨のどちらですか?」
 この問いに、私のような昭和世代は「台風」と答えるものですが、現実には21世紀以降、圧倒的に人命が奪われている災害は集中豪雨のほうです。
 気象庁は災害の教訓を後世に残す目的で、大きな気象災害については「伊勢湾台風」や「洞爺丸台風」のように命名することを定めています。
この制度ができた当初、1950年代から60年代にかけては、甚大な気象災害といえば台風が圧倒的に多かったものです。
その後、日本家屋の強靭度が上がったことで、台風が気象災害として命名されるケースは減ります。
そして80年代から90年代の20年間は、台風と豪雨を合わせても、わずか3つしか気象災害の命名はなされませんでした。
かつては、「気象災害はそれほど怖くはない」と日本人が錯覚する時代が存在していたのです。

 ところが21世紀に入って、甚大な気象災害が激増します。
過去20年間で(今週の2件の集中豪雨災害を除いて)命名された気象災害は14件と、再び日本列島で気象災害が猛威をふるう時代がやってきたのです。  気象庁が命名するほどの甚大災害のうち、21世紀に入ってからの14件の内訳は、豪雨災害が11件、台風が2件(これは、どちらも昨年の台風です)、そして豪雪災害が1件と、集中豪雨の数のほうがずっと多いのが現実です。
そして、死者・行方不明者を合計すると、豪雨災害が542人、台風が92人、豪雪が152人となり、気象災害の中で集中豪雨の危険度が他を圧倒していることがわかります。

気象災害で集中豪雨の被害は圧倒的 リスクを覆い隠す「3つのタブー」
 そして、気象災害が起こるたびに感じることは、こうした事実がうまく国民の間で認知されていないことです。
それはなぜかというと、そのことを広く国民に警告することに対して、3つのタブー、言い換えると3つの経済的な利害関係者が存在するからです。

 1つめのタブーは、地球温暖化を認めたくない巨大利権の存在です。
これは一般には、エネルギー産業と自動車産業の複合体と言われますが、パリ協定で議論された温室効果ガス削減目標に対して、何とかしてこれを先延ばしにさせよう、覆そうとしている勢力が、陰謀論ではなく現実に存在します。
 読者の皆さんの中には、「地球温暖化は嘘だ」という話を耳にしたことがある方も、多いのではないでしょうか。
「温室効果ガスによる地球温暖化などは実は起きておらず、むしろ地球は今氷河期に向かっている」といった科学者の論文が、よくニュースになっています。

「地球温暖化なんて起きていない」 本当にいる不都合な真実を隠す人々
 これは、ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア・元米国副大統領の『不都合な真実』がベストセラーになった頃からの現象で、ロビイストたちが「地球温暖化は嘘である」という主張で、ワシントンDCの政治家たちにアプローチしているのです。
アメリカではロビイストは一大産業で、その動きの背景にはエネルギー産業と自動車産業の利害関係者が強く関与していると言われています。
 現実には、それらのお抱え科学者たちの主張とは逆に、地球の平均気温は過去20年間、上昇傾向にあります。
温室効果ガスの濃度も、今世紀初めは370ppmだったものが、直近の公表数字では408ppmまで上昇しています。
そもそもこの20年間で、夏が以前よりも暑くなったことは、すべての読者の方が気づいているのではないでしょうか。

 温室効果ガスは確実に地球を温暖化させている一方で、テレビなどマスメディアの有力スポンサーの中には、それを積極的に広めたくない人たちが存在する。
だから民放ばかり見ている人は、温暖化により豪雨災害が激増しているという情報に気づきにくいのです。
 ちなみにこの集中豪雨災害は、これからの10年間でさらに増加します。
私の新刊『日本経済予言の書』の3番目の予言は気象災害の増加についての予言をまとめたものですが、その中で集中豪雨災害の増加については、予言ではなく事実であり、現在進行形で急増しています。

 具体的に数字でそれを示すと、先ほどの数字のブレークダウンでは、2000年代の10年間に起きた甚大な集中豪雨災害は5件で、死者行方不明者は91人。
それに対して2010年代の10年間では6件で、死者行方不明者は451人。つまり災害規模は、直近の10年間の方が確実に甚大になっているのです。
 その豪雨災害の増加、甚大化をもたらしている原因が、温暖化に伴う海面の温度上昇です。
温暖化のペースはパリ協定での取り組みにもかかわらず、今でも増加の一途を辿っています。

科学的に考えれば、2020年代の豪雨災害被害は、2010年代よりその数も規模も上回ることが予想されるのです。

気象災害には歴然とした 「地域差」があるという現実
 次に、これもあまり知られていない2番目のタブーがあります。実は、温暖化による気象災害には地域差があるのです。
はっきり言えば、日本の西半分が危ないことが温暖化の研究者によって予測されており、現実に死者の多い豪雨災害は中部地方以西に圧倒的に多いのです。
 本当は、日本の西半分よりももっと豪雨災害が増えるのがお隣の中国の南半分で、そのため三峡ダムが危ないのではないかという別の予言がありますが、この話は本稿では割愛します。
 とにかく、温暖化で海面温度が上昇することにより、前線が従来よりも南に抑え込まれて、結果として豪雨災害は西で起きやすくなります。

ここまでが科学的事実なのですが、そんな話が広まると自治体から不動産業界まで、西日本の関係者はいい気持ちがしないものです。
 地元のメディアが「この場所は危険が高いことを認識したほうがいいですよ」とは言えない事情があるのは、当然でしょう。
そうした事情もあり、気象災害の地域差については語ることがタブー視されているのです。

 そして、3つめのタブーがダムです。
豪雨災害がこれからの10年間で激増することははっきり予測されているのだから、本来であれば集中豪雨の気象予想が出た段階で、ダムの水は早めに下流に放流しておくべきです。
 しかし、ダムは渇水対策優先で建設された経緯があるため、豪雨が予想されるからといって、簡単に水がめを空にすることはできません。
その上、豪雨は特定の場所に集中するので、7月8日のように岐阜・長野が集中豪雨の対象になると予測されていても、どのダムから事前に水を放流すべきかを判断することは難しいのです。
 だからといって、すべてのダムから事前に放流することはもっと現実的ではありません。
そういう状況だと、たとえ先回りした放流で、飛騨川水系のダムが豪雨を上流で食い止められたとしても、他の水系ではダムの水がめが枯渇してしまう事態が起きるかもしれないわけです。

判断が難しいダムの放流タイミング 気象予測の精度向上が頼みの綱  
このように事前の対応が難しい中、ダム建設時には想定していなかったレベルの集中豪雨が発生することによってダム決壊のリスクが発生し、止むを得ず豪雨のさ中に蓄えた水を下流に向けて放流するケースが、これまでの豪雨災害の中で何度か見られています。
 地球温暖化の本格化以降、数時間の間に集中して降る雨の量が想定外の規模になってきたことは事実ですが、ダム建設で生業を立てている人たちにとって、「そこまでは想定していなかったので」とは、口が裂けても言えないわけです。
 ただ、この3つめの問題は、これからの10年間における気象予測シミュレーションの精度向上によって、克服されるかもしれません。
要するに、「どのダムが危なくなるか」がもっと高い精度で判明すれば、関係者は自信を持って水がめから放流することができるようになるからです。
特に世界最高スピードのスーパーコンピュータ「富岳」が誕生したことで、その解決に希望がもてるかもしれないのです。  

さて、話をまとめましょう。
集中豪雨災害は「まさか自分の家が!」と思うようなところで、しかもピンポイントで発生します。
今は遠く離れた隣の県、隣の町の災害だったとしても、次の豪雨は自分の町にやってくるかもしれない。
豪雨自体は広域的でありながら、甚大災害が起きる場所は1カ所に集中するタイプの災害です。
よって、自分がその犠牲になることは想像しにくいわけです。

 心に留めておくべきは、そのような豪雨災害が2020年代の日本では激増すること。
そして過去20年間に被害が起きた被災地は、実は自治体が作成したハザードマップである程度その危険が指摘されてきたということです。
 今回の集中豪雨の被災者に、心からお見舞いを申し上げます。
読者の皆さんには、とにかく日本における集中豪雨災害のリスクが、過去にないほど高いレベルになっている事実を、再確認していただきたいと思います。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(7) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。
良い週末をお過ごしください。
災害にコロナで旅行キャンペーンお国が実施とは?
奇々怪々です。
Posted by oyajisann at 2020年07月11日 09:35
oyajisannさん、ありがとうございます。
睡眠はとれるようになりましたか・・、無理はしないでくださいね。
政府の対策は、国民の命・健康より、スポンサーの大資本保護に感心が移っているようです。
災害・コロナ対策では 思いっきり予算注入が必要なハズなのに国会を閉じてしまう。
被災も「自己責任」などと言いだしかねない。
激甚災害指定も対処療法にはなっても 災害対策にはならない。
狂っているお国に泣かされるのは いつも弱者ですね。
Posted by 小だぬき at 2020年07月11日 11:36
こんにちはー!
いつもありがとうございます。
良い週末をお過ごしくださいね〜
Posted by キャンディまま at 2020年07月11日 16:50
キャンディままさんへ

ありがとうございます。
お互いにいい週末にしたいですね。
Posted by 小だぬき at 2020年07月11日 19:25
未だ更新が出来ないミータワールドに・・
今週もご訪問&応援いただき、感謝しております。
7/11. 本日の応援 完了です ゙(*・・)σ ポチッ♪

今日はミータの月命日・・
ミータパパは今日も、お花を買ってきて
ミータの周りは、お花だらけ^^
ミータがお花畑に居るようで・・
心穏やかに、ワタシもずっと愛でていました。
Posted by ミータママ at 2020年07月11日 23:08
こちら地域のお盆は、8月なんです。
ペット用にも、お盆セットなる物が有って
一応、四十九日の納骨用のハウスも購入しました。
ペットは、この日
『虹の橋』のたもとに行きます。
ペットは、若くて1番元気だった頃の体になって
飼い主が来るまで、元気に過ごし待っているそうです。
Posted by ミータママ at 2020年07月11日 23:21
「虹の橋」を渡り 若くて元気な頃の姿になる、素敵ですね。
ミータとの再会は 早くても30年以上かかりますが 仏教では 人間も一番輝いていた姿になり仏界にいくとされています。
納骨用ハウスがたとえ朽ちても ミータの魂は 若く元気な姿。
毎年の命日、お彼岸・お盆に ミータパパ・ママは、老衰まで生き続けるから ミータも見守っていてね、と報告し続けてくださいね。
現世と來生と生きる場所は違っても 親子の絆は永遠です。
いい月命日の一日が 絆の確認になりましたね。
Posted by 小だぬき at 2020年07月12日 00:41
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