読みやすく伝わりやすい文章を書くコツ、才能やセンスはいらない!
『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』
山口謠司著 ワニブックス刊 1400円+税
2020.8.10 ダイヤモンドオンライン
本書の要点
(1)読みやすい文章は、要点のみを押さえたシンプルで短いものである。
だらだらと長い文章を書いてしまう人は、不要な情報や言葉を適切に削ったムダのない文章を書けるようになろう。
(2)シンプルな文章を書くためには、まず自分の頭の中で書きたいことを整理する必要がある。
文章が上手く書けない原因のひとつは、「書くことが明確になっていない」ことである。
(3)文章に触れる習慣をつくり、テクニックを身につけていけば、書くこと自体が楽しくなっていくだろう。
要約本文
◆「何を書くか」決まらない
◇伝えたいことをまず明確に
文章を書くためにはまずその内容が必要となる。
これは当たり前のことのように思えるだろう。
実は、多くの人は書くべきことを明確にできていないために、文章作成に苦労しているのだ。
文章の質を上げるための第一条件は、思考が明確になっていることである。
「伝えるべきこと」「伝えたいこと」が自分の中ではっきりと整理できている人は、思考を上手く文章化することができるだろう。
「何となくこういうことを伝えたい」という漠然とした考えで文章を書き始めてしまうと、何を言っているのかよくわからない内容になってしまう。
わかりやすく納得できる文章には、短くシンプルな文が集まっている。
一方で、整理されていない人の文章はだらだらと冗長になりがちだ。
文章を書く前に、漠然とした思考をしないようにする。
これを怠ってしまうと、「自分はこれが言いたい」と思うことを的確に言語化することができない。
◇2つの軸を使う
思考を整理するために最適な方法は、2つの軸を立てて考えを明確にすることだ。
軸の内容は人それぞれ異なっているが、その2つの軸が交差するところに、「あなたが伝えたいこと」がある。
たとえば、あなたが「新しい洋服を買いたい」と思ったとき、「シャツ」の軸と「好きなブランド」の軸の2つを設定すれば、欲しい商品を明確にすることができる。
それと同様に、自分が書くべき文章の要素を2つ軸に当てはめるとよい。
商品開発の企画書であれば、「自分が興味関心を寄せている商品」と「お客様のメリット」の2つを交差させる。
そこで浮かび上がった商品をプレゼン資料の文章に落とし込む。
こうした2軸の考え方を日ごろから行なうようにしたい。
これだけでは具体性がないため文章化がしづらいという人は、2つの軸を設定した上で「それを形にするための情報を集める」作業をしよう。
営業職の人であれば、他社の商品のアフターケアの内容など、何でもよいので間口を広くして情報を集める。
キーワードを設定して具体化することも効果的だ。
そうして伝えたいことについて詳しくなるにつれて、あなたの思考はより明確なものとなるだろう。
◇それでも書けない
そもそも書く習慣のない人は、1つの軸だけでもいいから思考を全部書き切る練習をしてみよう。
そうして書いているうちに、文章を書くことに慣れていく。
そのあとに、2軸で思考を明確にして書く段階をふむ。
それから、書いた内容を推敲してみよう。
その際、「同じことを何度も言っていないか」「文から文への流れがスムーズか」「不必要な情報が入っていないか」「論旨は明快か」「スムーズに速く読めるか」の5つのポイントをチェックしてみよう。
【必読ポイント!】
◆型を知れば、文章は短くできる
◇一文一要素が原則
そもそもどのように文章を書き始めればいいのかわからないという悩みを持っている人は、文章には型があることを知るのが克服の近道になるだろう。
文章がだらだらと長くなってしまう人も同様に、文章の型や最低限のルールを知ると改善されるはずだ。
文章が長くなる原因として、一文にいくつかの要素を入れてしまうということが挙げられる。
これによって、その情報がまったく読み手の頭に残らない可能性がある。
たとえば商品はいくつかの要素で成り立っているが、それらを一気にお客さんに提示すると、魅力がうまく伝わらない。
ある要素だけを説明したあとに、次の要素に移ったほうがよい。
したがって、ひとつの文章にはひとつの要素しか入れずに書くことを心がけよう。
これを意識することで文章は短くなり、それが読みやすさにもつながっていく。
また、英語で習う5W1Hは、日本語の文章でも重要な型となる。
「いつ」
「どこで」
「誰が」
「何を」
「なぜ」
「どのように」を意識して文章を作ると、伝える情報が明確になると言われている。
簡単に状況や内容を伝えることができるのだ。
◇順番で伝わりやすさが変わる
文章を書くときには、読み手に何をしてもらいたいのかを示すことから始めると伝わりやすくなる。
ビジネスのシーンでは、最も重要な情報となる結論が、最初に来るように文章を組み立てた方がよい。
伝えたい内容ははっきりしていても、情報を出す順番を間違えると自分の思惑通りに相手を動かすことができなくなってしまう。
結論がなかなか出てこない文章は、読んでいて疲れるし、理解させづらい。
だから、文章を書くときには、伝えたいことから書くようにする。
そのあとで、説明を補う文章を続ける。
起承転結という言葉があるが、ビジネスシーンではこれとはもう少し違う方法をとったほうがよい。
すなわち、結論から始まって、話の背景などが続き、再度結論を述べる。
その話を受けて展開しつつ、またさらに結論を強調する。
英語の文章はよくこういう構造になっている。
結論を何度も言われるので、内容が理解しやすいのだ。
◆ムダな言葉を削るコツ
◇削る勘所を知る
文章をすっきりさせたいけれど、どこがムダなのか見極められないという人は多い。
言葉が少なくなると情報不足でわかりにくくなるのではないか、という懸念を持つ人もいる。
しかし一文の中には、たいていムダな言葉が入っているものだ。
削るべき場所が自分でわかるようになれば、要点だけが目立つ、
短い良質な文章が書けるようになるだろう。
文章に書くことに慣れていないと、気づかないうちに不要な言葉を入れてしまうことがある。
断定をつい避けてしまったり、話し言葉の調子が出てしまったり。書いた文章を一度読み直して、「この言葉は本当に必要なのか」と考えてみよう。
不要な言葉の代表的なものとして、「〜の方」「〜かどうか」「〜のような」といったものがある。
読み返してみると、なくても意味が通じる言葉が案外見つかるものだ。
◇すべて改行してみよう
文章自体を短くすることができるようになっても、文の数が多すぎればやはりだらだらとした印象を与えてしまうだろう。それらの中に、一文を丸ごと削除しても差し支えないものはないだろうか。
文章を読み直す前に、句点を基に一度すべて改行してみよう。
そうすることで、前後の文章でつながりがない、あるいは内容が重複している文を見つけ出すことができる。
そうしたムダを削ることで、より要点の伝わりやすい文章に仕上がる。
◆表現を変えて短くする
◇話す口語から書く文語へ
文章の表現には、口語と文語の2種類がある。
口語は会話の中で使われるため柔らかい表現になり、文語は思考を伝えるため硬い雰囲気になる。
普段のコミュニケーションではくだけた表現を使うので、文章においても口語になることが多い。
SNSでもそうした書き方が一般的だ。
一方ビジネスシーンではスマートな表現が好まれる傾向にあるため、文語を使用して文章を短くするテクニックを知っておいて損はない。
同僚に使うような言葉を、社長に対して使うときにはどのように言い換えるか、といった意識を持つことがコツだ。
たとえば「ちょっと」を「少し」に、「かなり多い人数」を「膨大な人数」といったように、案外文語に修正できる部分は見つかる。
◇ネガティブ文はポジティブ文へ
ネガティブな文章は長くなりがちだ。
否定や禁止、拒絶など、マイナスの感情を表す文章を肯定文にすると、内容が理解しやすくなる。
たとえば、「会議が終わるまで参加できません」と言うよりも、「会議が終わったら参加します」とした方が文字数を減らすことができる。
そのうえ、要点が明確になるというメリットもある。
肯定文を基本にした方が相手に与える印象も良くなるだろう。
また、伝わりやすい文章にはリズムがある。
日本のリズムの基本は五・七調と七・五調で、この言葉の数で区切って話すとテンポが良く、文章を理解しやすくなる。
和歌や短歌、俳句の文化を考えてみると、その理由は明白だろう。
なお、五・七調は強い印象を、七・五調は優しい雰囲気を人に与える。
◆「意味の文章化」をなくす
◇語彙力で言葉を削れる
知っている言葉が豊富で使いこなせている人は、文章を短くすることができる。
たとえば、「矜持」とは自信や誇りを持って堂々と振る舞うことを意味する。
この言葉を知らなければ、「自信や誇りを持った振る舞い」というようにその意味をすべて文章化することになる。
言葉を知っているかどうかで文章作成力に大きな差が出るのだ。
語彙力を身につけることには、「頭の中にある考えを的確に文章化できる」、「企画書などのビジネス文書で社会人としてふさわしい表現ができる」といったメリットもある。
私たちは、語彙力のレベルによって社会人としての評価を決められてしまう。
使う言葉で頭の良さを判断されてしまうのだ。
能力があっても語彙力がないせいで評価が下がるのはもったいないので、熟語などの知識を身につけるとよいだろう。
類語辞典などに親しむのも効果的だ。
◇文字数を優先!
最近はビジネスシーンで、英語由来の言葉が使われることも多くなった。
英語の言い回しを使うことで文章が短くなるというメリットがある。
リスケジュールの略であるリスケは、「予定を変更する」と書くよりも文章を短くすることができる。
しかし、常に英語を使用したほうがいいというわけではない。
たとえば「フレキシブル」を「柔軟」に、「マイルストーン」を「標識」に置き換えた方が、文章をすっきりと見せることができる。
英語を使うと格好よかったり、賢く感じられたりするが、文章に用いると長くなることが多々ある。
口に出す分には洗練された雰囲気になることもあるが、文面上では雰囲気よりも文字数を優先するべきだろう。
◆要約力が短文づくりを楽にする
◇文章を再構築できる力
文章を短くする力を高めるために最適なのが、要約力を鍛えることだ。
要約によって文章や話の要点を短くまとめることで不必要な情報を削除したり、大事なことを見極めて書いたりする力が養われる。
自分が書いた文章を読み直して要点を確認すると、再構築して短くすることもできる。
要約力を鍛えるトレーニングをすると、文章を正しく読み取り、長い文章を短くまとめられるようになる。
それと同時に論理力や読解力まで身につく。
この要約力は文章だけに限らず、会話の質を上げることにもつながる。
ことビジネスにおいては相手の時間を尊重するために、短くわかりやすく伝えることが求められる。
要約力をつけることで、コミュニケーション時間を短縮することができる。
説明や提案、相談をするときに相手がすぐに理解できるような話し方をすることは、社会人としてのマナーでもある。
◇他人の文章を書き写して音読する
なかなか文章が上手く書けないという人は、人の文章を真似して書いてみるといいだろう。
新書を読んで書き写した上で、余裕がある人は音読もしてみるといい。
自分の好きなテーマや著者の本であれば、楽しみながら文章力を向上させることができる。
書き写して音読することで、文章のリズムが頭に入り、文章のつくりを覚えることができるのだ。
また、新書にはいくつかの構成のパターンがあるので、その構造を覚えることも有益である。
こうして文章に触れる習慣をつくり、テクニックを身につけていけば、書くこと自体が楽しくなっていくだろう。
英文を眺めればいい
■相手に伝えたい内容が初めに書かれている。
let's go home 帰ろう。家に (`・ω・´)ハイ!
相手に読んでもらう、理解してもらう文章ってむずかしいですよね。
学生時代に教授から「ラブレターをたくさん書くことが一番の文章上達法」と教わったことがあります。
必死に言葉を選ぶからとのこと。
組合乗船に長くいたものですから 私の文は アジルような〇〇!!というなものになってしまいます。
注意はしているつもりですが・・・。