香山リカのココロの万華鏡
ゆるりと生きる
2020年8月4日 毎日新聞 東京地方版
難病にかかった人が医師に安楽死を依頼したとされる事件、そして有名な俳優が自ら命を絶つ事件と大変なニュースが続き、診察室で「生きる意味について考えてしまった」という話を相次いで聞いた。
「私は病気で仕事もできないし、世の中に役に立つこともできません。
こんな私の人生に価値なんてあるんでしょうか」
「ご自分の人生にまじめに取り組んでるんですね」などと言葉をはさみながら、まずはその人の話をじっくり聞く。
そういうときに決まって思い出すことがある。
それは、漫画家・水木しげるさんの妻である武良布枝さんが書いたエッセー集「ゲゲゲの女房」のことだ。
この本を原作とするテレビドラマも大ヒットしたから、名前を聞いたことがある人も多いだろう。
私が診察室で思い出すのは、本の内容のことではなく、表紙の下に巻かれる「帯」に書かれていた、水木さんの言葉だ。
そこにはこうある。
<家内は、「生まれてきたから生きている」というような人間です。
それはそれでスゴイことだと水木サンは思う。>
それ以上の説明はないので、この言葉の正確な意味はわからない。
おそらくは、妻のおおらかさやこだわりのなさを、夫なりにほめたのだろう。
「生まれてきたから生きている」とは、それにしても強烈な言葉だ。
「なぜ生まれてきたんだろう」とか「私の人生にはどういう価値があるんだろう」などとあまり考えることなく、とにかく目の前の生活に一生懸命に取り組む。
先のことを心配しすぎずに、日々の楽しみを大切にする。
「ゲゲゲの女房」にはたしかに武良さんのそんなひたむきさや、くよくよしない一面が描かれており、だからこそテレビドラマも多くの人の共感を呼んだのだろう。
もちろん、「生まれたからには人の役に立てる、意味のある人生を送りたい」と思う気持ちは大切で、そこから夢や目標も
生まれてくる。
しかし、人生は思い通りにはいかない。いろいろなアクシデントもつきものだ。
そんな壁にぶち当たったときは、「生まれてきたから生きている、でいいじゃない」とつぶやいてみるのはどうだろう。
実は、私もときどきこの言葉をおまじないのように唱えている。
たいていは一生懸命。
でもときには「これでいいじゃない」と、思い詰めるのをやめる。
そんなゆるりとした生き方はどうだろう。
(精神科医)
本当にそうでしょうか?
生きているだけで役にたっている証拠
@食べる・家電製品使う(食品・家電を買って、その店の売り上げに貢献を)
A介護サービスを受けている(その介護スタッフの仕事を提供している)
B例えば、自宅から一度も出ない「害虫は殺虫剤等退治する(家族を助けている)」
(`・ω・´)ハイ!
なんかしみますね。
気負わず生きていける気がします。
「生きている」だけでも役にたっている、ですね。
物事を見る視点を多く持たないといけませんね。
うつ発症時は あれこれ考えて 生きている価値がつかめませんでした。
今は 「老衰までいきている」に 淡々と時の流れに逆らわず生きていきたいと思います。
「自殺念慮」の歯止めになってくれると信じたい 言葉です。