「えっ、うれしい!」人が本能的に喜んでしまう10のこと
2020.9.29 ダイヤモンドオンライン
イングリッド・フェテル・リー、 櫻井祐子
新型コロナウィルスの影響で外出時間が減った今年、なんとなく、日々重たいような気分を感じているという人も多いのではないだろうか。
そんな中、世界トップのデザインファームIDEOのフェローによる、きわめて画期的な本が上陸した。
『Joyful 感性を磨く本』(イングリッド・フェテル・リー著、櫻井祐子訳)だ。
著者によると、人の「喜び」の感情は、ふだん目にしているもの、手に触れているものによって大きく変わるという。
たとえば、人はものが大量にある「豊かな」環境を前にすると、原始的本能を刺激されてうっとりする。
大自然の「自由」な映像を見るだけで、暴力衝動が減る。
細かなものが整列している「調和」を目にするだけでうれしくなる。
つまり、そうした身のまわりの「もの」を調整するだけで、人は自在に自らやまわりの人の内面に影響を与えることができるのだ。
著者はそうして感性を刺激する、前代未聞の方法を「10の扉」として本書にまとめた。
本国アメリカでは、アリアナ・ハフィントン(ハフポスト創設者)が「全く新しいアイデアを、完全に斬新な方法で取り上げた」、スーザン・ケイン(全米200万部ベストセラー『QUIET』著書)が「この本には『何もかも』を変えてしまう力がある」と評した他、アダム・グラント(『GIVE & TAKE』著者)、デイヴィッド・ケリー(IDEO創設者)など、発売早々メディアで絶賛が続き、世界20ヵ国以上で刊行が決まるベストセラーとなっている。
その驚きの内容とはどのようなものか。
本書より、特別に一部を紹介したい。
具体的な「もの」が喜びを生み出す
私は教授団を前に、ドキドキしながら立っていた。
私のうしろに置いた作品──ヒトデ形のランプ、丸底のティーカップのセット、カラフルな発泡体でつくった3つのスツール──を見る教授たちの顔つきは険しく、前途有望なデザイナーのキャリアを離れてデザイン系の大学院に進むという私の選択はまちがっていたのではないかと考えてしまった。
すると長い沈黙を破って、教授の一人が言った。
「あなたの作品には『喜び』が感じられるね」 ほかの教授たちもうなずいた。
気がつくと、教授たちはみなほほえんでいた。
私はホッと胸をなで下ろした。
プラット・インスティテュート、インダストリアル・デザイン科の最初の審査に合格したのだ。
でも安堵はすぐに困惑に変わった。
喜びは、はかなくとらえどころのない感情で、見ることも触ることもできない。
なのに、なぜカップやランプ、スツールといった単純な物体が、喜びをかき立てることができるのだろう?
そう問いかけたが、教授たちはためらい、口ごもり、「ただそうとしか言えない」と答えただけだった。
私は礼を言って引き下がったが、夏休み前の荷造りをする間も、この疑問が頭を離れなかった。(中略)
「本能」に素直になる
最近では、環境と心の健康の間に明確な関係があることを示す研究報告が相次いでいる。
たとえば日当たりのよい職場で働く人は、薄暗い職場で働く人に比べてよく眠りよく笑うことや、花が人々の気分だけでなく記憶も向上させることが、研究で示されている。
こうした発見をくわしく調べるうちに、喜びはかたちのない抽象的なものではなく、より具体的で実体のあるものに思えるようになった。
長年の内省や規律正しい生活からしか手に入らない、得がたいものには思えなくなった。
世界にはいつでも好きなときに訪れることのできる、前向きな感情が湧き出る泉があるのだ。(中略)
うれしくなるものには「共通の法則」がある
私は、知人はもちろん、街角で出会った人たちにも片っ端から声をかけて、「どんなものや場所に喜びを感じますか」と聞いてみた。
答えはさまざまで、「おばあちゃんの台所」や「グレイトフル・デッドのサイン入りポスター」「ミシガン湖畔の別荘のカヌー」といった、具体的で個人的なものもあれば、好きな食べ物やスポーツチームといった、文化的伝統や育ちの影響を受けたものもあった。
だがそれ以外に、個人的でも文化的でもないものがあった。
ある友人は、夏の夕方、帰宅途中に突然大雨が降り出したときのことを話してくれた。
傘を忘れた見ず知らずの人たちと、いつ止むだろうと話しながら軒下で雨宿りをしていた。
嵐は数分で過ぎ去り、みんなで歩道を歩き始めると、一人が「見て!」と叫んだ。
エンパイアステートビルの真上の空に、美しい虹が架かっていたのだ。みんな足を止め、雨に濡れた服が体にまとわりつくのも気にせず、満面に笑みを浮かべて虹を見上げた。
この物語のありとあらゆるバリエーションを聞いた。
人々は凍えるような日や蒸し暑い日に、友人や見知らぬ人たちと一緒に、コンサートや山頂やヨットで、虹を見ていた。
虹はどんなところにも喜びを運ぶように思われる。
私はこういった、多くの人からくり返し聞くものをリストアップし始めた。
ビーチボールや花火、プール、ツリーハウス、気球、それにアイスクリームサンデーのカラフルなトッピング。
これらの喜びは、年齢や性別、民族の垣根を越えているように思えた。
そこでそういったものの写真を集めて、スタジオの壁に貼っていった。
毎日少しずつ時間をかけて写真を追加し、種類ごとに並べ替えてはパターンを探そうとした。
ものの「見た目」が感情に大きな影響を与える
ある日写真を見ながらひらめいた。
棒付きキャンディとポンポン、水玉は、どれも丸い。
色鮮やかなキルトとマティスの絵画、虹色のキャンディは、どれも純色に満ちている。
大聖堂のバラ窓には、最初首をひねったが、雪の結晶とヒマワリの隣に並べるとわかった。
どれも放射状に対称なかたちをしている。
シャボン玉と風船、ハチドリにも共通点があった。
どれもふわふわと宙に浮かぶものだ。
こうしてすべてのものを並べて一覧することによって、喜びの感情は謎めいていてとらえどころがないが、その感情は実体的な物質的属性を通して呼び覚ますことができるのだと知った。
具体的にいえば、喜びの感情を引き起こすのは、デザイナーが「エステティクス(美学、美的特性)」と呼ぶ、物体の外観や質感を定義する特性である。
私はこのときまでずっと、美学を装飾的で、やや軽薄なものとさえみなしていた。
私がデザインスクールで学ぼうと決めたのは、人々の生活をよりよくするものをつくりたかったからだ。
人間工学的で機能的で環境に優しいプロダクトをつくる方法を探すことが、私の関心事だった。
色や質感、造形、動きの扱い方の授業を楽しんではいたが、こうした要素を必要不可欠なものではなく、おまけのようなものとして扱っていた。
これは私たちの文化に一般的な姿勢だ。
誰もが美学には少なからず注意を払っているが、気を使いすぎたり、外見に力を入れすぎたりするのは見苦しいと考えられていて、へたをすると「浅い」とか「中身がない」などと思われかねない。
だがスタジオの壁に貼った美学の集まりは、たんなる装飾をはるかに超えて、深い感情的反応を引き起こす何かを持っていた。
人が喜んでしまう「10のこと」
私が特定した「喜びの美学」は10に上る。
その一つひとつが、喜びの感情と、身のまわりのものの実体的な性質との結びつきを明らかにしている。
・エネルギー:鮮やかな色と光
・豊かさ:みずみずしさ、数の多さ、多様さ
・自由:自然、野生、広々とした空間
・調和:均衡、シンメトリー、流れ
・遊び:円、球、泡のかたち
・驚き:コントラスト、斬新
・超越:上昇、軽やかさ
・魔法:見えない力、幻想
・祝い:同期性、
きらめき、はじけるようなかたち
・新生:開花、拡大、曲線
これらの美学は、私たちの感情とどのように関係しているのだろう?
またこれらの美学が喜びの感情を促すのはなぜだろう?
こうした疑問に触発された私は、世界中のとくに喜びにあふれる場所をめぐった。
これからの章で、ツリーハウスのB&B(民宿)や、色によってつくりかえられた都市、老化を防ぐ住宅、球だけでできた海辺の邸宅に旅しよう。
日本の桜の開花のような自然の驚異や、アルバカーキの砂漠上空に一斉に飛び立つ数百機の気球のような人工の驚異を見ていこう。
またそうした旅をしながら、なぜこれらの場所や経験に、喜びを解き放つとてつもない力があるのかを説明する、心理学や神経科学の分野の新しい研究の知見を紹介しよう。
(本稿は、イングリッド・フェテル・リー著『Joyful 感性を磨く本』からの抜粋です)
重複している部分があるので正確には 9になるけどね
「シンメトリー」 と 「円」
💛 と 〇
しかし・・
■【これを守ると良い事があるたった一つの事「ベスト10」】 ← 1つなのに10あるの?よりは説得力がある本みたいですけどね(* _ω_)...アヒョ
普段 無意識にしていることを文章にしただけの本のように思えます。
あくまで 頭の体操の本のようにまわりくどい訳だとかんじます。すみません。