2020年11月16日

「SNS暴力根絶したい」 啓発プロジェクト「#この指とめよう」始まる

「SNS暴力根絶したい」 啓発プロジェクト「#この指とめよう」始まる
11/14(土) 毎日新聞

 SNSでの誹謗(ひぼう)中傷がいまだにやまない。
この被害を少しでも減らそうと、人を傷つける発信をする前に、一度立ち止まって考えてもらおうというプロジェクトが始まった。
その名は「#この指とめよう」。
企画したのは広告・事業代理業「GO」(東京都港区)のプランナー兼コピーライターの小竹海広(おだけ・みひろ)さん(30)。
今後、多くの若者が行き交う東京・渋谷駅周辺に啓発広告を出すことを目指している。
すでに広告用の画像例が制作・公表され、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんら著名人がツイッターでリツイートするなど関心が次第に高まりつつある。

小竹さんに企画を始めた思いを聞いた。
    【和田浩明/統合デジタル取材センター】  

◇コロナ禍で「ネガティブな発信をしたい心理」懸念
 スマートフォンの上にかざされた人さし指の画像。
そこには「送信ボタンを押すなら、だれかの背中を押す言葉にしたい」「一人が数万人に刺された壮絶な事件があった。凶器は『後ろ指』だった」との言葉が添えられている。
「#この指とめよう」プロジェクトの広告画像例だ。
 これらを屋外広告として掲示する費用など250万円を集めるため、クラウドファンディングサイト「キャンプファイア」上で10月28日に募金を開始した(11月末まで。https://camp-fire.jp/projects/view/306609#menu)。

今回の試みは「AD FOR GOOD(アド・フォー・グッド)」と呼ばれ、社会の課題解決を広告で働きかける取り組みの第1弾だ。
 SNSでの中傷は、恋愛リアリティー番組に出演していた女子プロレス選手、木村花さん(22)が5月23日に急死した背景のひとつとして指摘されるなど、被害の拡大が懸念されている。
「SNSでは悲しい事件が立て続けに起きています。
一過性でなく根深い問題だと思っており、広告クリエーターとして、できることはないかという気持ちで始めました」。
小竹さんは動機をそう説明する。

新型コロナウイルス禍が続く中、「暗い心理になって発信する負のスパイラルが生じているのではないか」とも懸念する。  

小竹さんは学生時代からツイッターが好きで積極的に発信しており、フォロワーは1万6000人を超える。
SNSは「誰でも使える楽しい公園のような場所と思ってきた」。
社会人になって広告業界などで働き、SNS上のコミュニケーションが重視される仕事の経験もある。
「今までSNSにはお世話になり仕事もさせてもらってきたので、その場所に恩返ししたいという気持ちです」という。
 渋谷への屋外広告は近日中を目指しているという。

「GO」のビジネスプロデューサー、大長(だいちょう)敬典さん(36)は「今回のプロジェクトは完全な非営利で、会社としてはお金を受け取りません。
渋谷を選んだのは、注目を集める場所だからです」と話した。

◇ロンブーの淳さんらも関心  
小竹さんが広告画像に「#この指とめよう」のハッシュタグをつけ、ツイッターで10月28日に発信したところ、1500件以上リツイートされ、3400件を超える「いいね」がついた。
引用ツイートも240件あり、書き込みには「自分の投稿が相手の人を傷つけるかもしれないという想像力が自然と育まれるような社会にしていきたい」
「自分にとっては一瞬の出来事でも、相手にとっては一生の出来事になることだってある」といったものも。

 複数の著名人やインフルエンサーの反応もある。
ロンブーの淳さんが「このツイートを見た全ての人にグッとラック」などと書き添えて画像を広めると、1100回以上リツイートされ、「いいね」は1万1000回を超えた。
また、ジャーナリストの堀潤さんも小竹さんの書き込みをリツイートしている。
 小竹さんは「SNS上の誹謗中傷について、ユーザーに考えてもらえるようになってきていると思う」と手応えを語った。  

◇深刻化するオンラインでの中傷
 内閣府政府広報室が2018年9月に行った世論調査では、インターネットの利用に関するトラブルへの不安のうち、「SNSやブログなどで誹謗中傷を受けること」との回答が36・6%に達し、上位4項目に入った。
また、インターネットのトラブルに関連した言葉で見聞きしたものとして、「ネットいじめ」を挙げた人は7割を超えた。  

総務省によると、インターネット上での名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害など人権侵犯事件の数は近年増加傾向にあり、19年に1985件と、01年に現行の統計を取り始めて以来、2番目に多かった。
 ツイッターやフェイスブックなどでつくる「ソーシャルメディア利用環境整備機構」は今年5月、特別委員会を設置し中傷の投稿の禁止や禁止事項の啓発を進めると発表。
ヤフーやアマゾンなど大手ネット企業で構成する「セーファーインターネット協会」は「誹謗中傷ホットライン」を6月末に設置。
2カ月間で277人から498件の相談が寄せられ、2割の102件が誹謗中傷を受けたと判断された。
また、90件の削除要請があり、うち34件が削除されている。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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