知らず知らずのうちにストレスが蓄積。多忙な年末年始を乗り切る、驚くほど簡単なスキル
12/21(月) HARBOR BUSINESS Online<取材・文/山口博>
年末を迎えて、輪をかけて忙しさが増している人が多いに違いない。
忙しさだけでなく、四半期に1度、年に1度のやり慣れていない仕事や、ほかのメンバーの仕事をカバーするなど、日常の定例業務ではない仕事が多くなる時期だ。
ストレス発生の原因は「ギャップ」
休暇を楽しみになんとか乗り越えようとモチベーションが上がっていることもあるので、取り組んでいる最中はあまり気にならないものだが、年末年始は知らず知らずのうちにストレスが蓄積されていることが多い。
ストレスは人間関係、職場環境、業務内容から発生することが多い。
いずれも、それらと自分とのマッチング度合で捉えることができる。
ほかのメンバー、自分と環境、自分と業務が合っていればストレスはあまり感じないし、合っていないと、それがストレスの元になる。
このように申し上げると、自分とほかのメンバーの何が合っているか、合っていないか考えればよいのだろうかという疑問を持つだろう。
私はそれを、自分のモチベーションファクターとほかのメンバーのモチベーションファクターが合っているか、合っていないかというように捉えている。
同じように、自分と職場環境、自分と業務内容のモチベーションファクターのマッチング度合で考えれば、ストレスが発生しやすいかどうか把握しやすい。
動機づけすることでギャップを埋める
モチベーションファクターとは自分の意欲を高める要素で、何によって意欲が高まるかを示すものだ。
日本のビジネスパーソンのそれは、
「目標達成」「自律裁量」「地位権限」「他者協調」「安定保障」「公私調和」の6つにだいたい均等にわかれる。
自分はチャレンジする目標達成のモチベーションファクターだが、相手は現状維持の安定保障のモチベーションファクターの持ち主で、お互いにそのことを把握していないと、話がすれ違ったり対立が生じやすく、ストレスが発生する。
ほかのメンバーと交流しながら仕事を進めることを好む、他者協調のモチベーションファクターの持ち主にとっては、ほかの人とコミュニケーションができない在宅勤務の職場環境は、ストレスを生んでしまう。
やり慣れてない仕事を急に振られると、ストレスを感じることが多いものだ。
自分はユニークな発想で仕事をしたい自律裁量のモチベーションファクターの持ち主だが、指示された仕事は、ひとつひとつエラーをつぶしていく安定保障の仕事だった場合、そこにストレスが生まれるわけだ。
こうした状況の際に、「上司は選り好みできない」
「仕事だから、自分が好きなことばかりできるわけがない」と自分自身に動機づけすることはひとつの解決方法だが、こうして我慢すること自体がストレスをため続けることになるので、根本的な解決にならない。
ストレスを発生させないために有効なのは、自分のモチベーションファクターと、相手や環境や仕事のモチベーションファクターの両方を満たすように、動機づけすることだ。
自分と仕事、それぞれの要素をすり合わせる方法
たとえば、目標達成の人が安定保障の人と取り組む場合は、「リスク回避の方法を考えて(安定保障)、それが実行できるかどうかチャレンジする(目標達成)」というように、両方の人のモチベーションファクターをセットする。
他者協調の人が在宅勤務で連携が取れない場合は、「在宅で個別に実施して(他者協調が満たされない状態)、その結果を共有フォルダに各自保存して、チーム全員で確認できるようにする(他者協調が満たされる状態)」というように、他者協調が満たされない状態と、満たされる状態の両方を適える状態をつくる。
自律裁量の人が安定保障の仕事をする場合に、「コツコツとエラーを発見して解消することを実施しながら(安定保障)、エラー解消のための独自の方法を生み出す(自律裁量)」というように、自分と仕事のそれぞれのモチベーションファクターをプロセスに組み込む。
このように、自分と相手、自分と環境、自分と仕事のモチベーションファクターを組み込むと、驚くほどストレスが軽減する。
ストレスを溜めやすいこの時期に、是非試してみていただきたい。
意識的にモチベーションファクターを合致させよう
質問:モチベーションファクターが合っていない場合の切り替え方法
自分のモチベーションファクターに合っていない仕事をする際の気持ちの切り替えは、具体的にはどのように行えばよいのでしょうか?
回答:意識を切り替えて、それらに動機づけをする
たとえば、「ひとつひとつエラーを見つけていく」という安定保障の人に合った仕事をほかのモチベーションファクターの人がする場合に、自分自身で次のように意識を切り替えるとパフォーマンスが上がりやすくなります。
上司が部下に業務の指示をする場合にも、相手のモチベーションファクターに合わせて指示の仕方を変えていけば、パフォーマンスが上がりやすくなるのです。