“五輪開催”党首討論かみ合わず…尾身氏改めて警鐘
6/10(木) 配信 テレビ朝日
9日、国会で2年ぶりに党首討論が開かれましたが、新型コロナ対策や東京オリンピックの開催を巡って、議論がかみ合わない場面が目立ちました。
■菅総理“57年前の思い出話”語り…
立憲民主党・枝野幸男代表:
「3月に(宣言)解除が早すぎたのではないかと、私は思わざるを得ません。
私たちのような厳しい基準(一日の新規感染者50人程度)を明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか」
菅義偉総理大臣:
「まさにワクチン接種こそ切り札だというふうに思っております。きのうは100万回を超えてきました。
今年の10月から11月にかけては、必要な国民・希望する方すべてを終える。そういうことも実現したいというふうに思います」
宣言解除の基準は答えず、ワクチン接種をアピールしました。
そのうえで、今年の10月から11月には、希望する国民全員に接種を終えられるよう取り組む考えを明らかにしました。
最大の焦点となったのは、東京オリンピック・パラリンピック開催についてです。
枝野代表:
「『国民の命と健康を守る』とおっしゃるのは、開催を契機として国内で感染が広がる、それが国民の命と健康を脅かさない。こういうことも含むという意味でよろしいですね」
これに対し、菅総理は「来日する関係者を縮小する」などの対策を述べたうえで…。
菅総理:
「実は私自身、57年前の東京オリンピック大会。高校生でしたけれども、いまだに鮮明に記憶しています。
例えば、『東洋の魔女』と言われたバレーの選手。
回転レシーブというのがありました。
マラソンのアベベ選手も非常に影響に残っています。
そして何よりも、私の記憶に残っていますのは、オランダのヘーシンク選手です。
敗者である神永選手に対して敬意を払った。あの瞬間というのは私は忘れることができなかった。
こうしたすばらしい大会をぜひ、今の子どもや若者が見て希望や勇気を与えて、伝えたい。
そして、こうして様子をテレビで40億の人が見るということも言われています」
ヤジも飛ぶなか、自身の“57年前の思い出話”をとうとうと語りました。
これには、枝野代表も…。
枝野代表:
「命と暮らしを守れるのかどうか(国民から)注目されています。
総理の後段の話は、ここにはふさわしくない話だったのでは」
■五輪開催の“意義”も明言避ける
共産党の志位和夫委員長は、開催の“意義”をただしました。
共産党・志位和夫委員長:
「国民に長期間の我慢を強いながら、オリンピックを開催することで、新たに亡くなる方が増えるなんてことはあってはならない。
そうまでしてオリンピックを開催しなければならない理由をどう説明しますか」
菅総理:
「当然、尾身先生のご意見も参考にして、感染対策の詰めは行っていく」
志位委員長:
「私が聞いたのは、今、命をリスクにさらしてまで、オリンピックを開催しなければならない理由ですよ!」
菅総理:
「国民の命と安全を守るのが私の責務ですから。守れなくなったらやらないのは、これ当然だと思いますよ」
開催の意義については、明言を避けました。
■尾身会長「一般市民の理解が得られない」
一方、政府分科会の尾身茂会長は、改めて感染対策の徹底を求めました。
政府分科会・尾身茂会長:
「コロナの患者さんで手いっぱいなのに、オリンピックをやるのは、なかなか一般市民の理解が得られないので。
やるならば、そういうこと(医療逼迫(ひっぱく))が起こらないようなやり方をするのが、オリンピック委員会および日本政府の務めではないか」