2021年06月19日

うつの人が「小さいやる気」なのに大きく見せる技

うつの人が「小さいやる気」なのに大きく見せる技
できるだけ自動化し、すごい人のイメージを作る
2021/06/18 東洋経済オンライン
林 直人 : 「毎日学習会」代表

新型コロナウイルス感染症が流行する中、経済的に不安定な状況に追い込まれ、心身のバランスを崩す人も少なくない。
そのような人はどのように生きていけばよいのだろうか。
長年うつを患いながらも会社を経営してきた起業家の林直人氏は「起業もひとつの選択肢である」と説く。
著者『うつでも起業で生きていく』より一部抜粋してお届けします。

「小さいやる気」「波があるやる気」で生きていく
前回の記事「うつの人が苦しまずに仕事で力を発揮できる心得」(6月11日配信)では、「うつ病の人が実際に起業するにあたって、どのようなビジネスを選ぶべきか?」という話をしました。
今回は、うつの人はどのようにしてモチベーションを保てばいいのか?について、お話ししていきます。
私はそもそもモチベーションという言葉が嫌いです。
モチベーションがあるなしにかかわらず、危機感をベースとして、元気があるときはなにも考えずにどんどん仕事をするべきだと思います。

一方で、うつの人は体力に乏しく、なかなか膨大な量の仕事をすることが難しい側面もあります。
そこで、どのようにすれば、うつの人の「小さいやる気」「波があるやる気」でも仕事を成功させることができるかについて、ここでは考えていきたいと思います。

まず、うつの人が「小さいやる気」をどのようにして大きく見せるかという話をしたいと思います。
「小さいやる気」を大きく見せるために大切なのは、「限界費用ゼロ」という概念と、「錯覚資産」という概念です。
それぞれ重要なキーワードですので、順を追って解説したいと思います。

まず、「限界費用ゼロ」という概念ですが、そもそも「限界費用」とはなんのことでしょうか?
 「限界費用」とは「うつ病で限界」とかそういう意味の「限界」についての費用ではありません。
「限界」というのは経済学の概念で、「AとBのあいだ」ぐらいの概念です。
ここでの「限界費用」というのは「1単位増やすごとにかかるコスト」のことです。
もう少し具体的な例に落とし込んで説明していくと、たとえば、個別指導塾を経営している場合は、指導コマを1コマ1時間分増やしたら、1人の人間が1時間分余計に働かなければならなくなります。
ところが、YouTubeで授業を撮影しておいて「これを見ておいてね」という形で1時間分増やすとします。
YouTubeなんて、1人しか見なくても100人見ていたとしても、配信にかかるコストは変わりませんから、「限界費用」はゼロになります。
同じようにアプリを作っておいて、「これをやっといてね」という形で増やすのであれば、1人しか使わなくても100人が使っていても、かかるコストは変わりませんから、「限界費用」はゼロになります。

このように、うつの人は長く働くことはできないわけですから、なるべく「限界費用ゼロ」の世界で戦い、自分の「小さいやる気」を大きく見せることが非常に大事になってきます。

すごそうな雰囲気を見せることも大事
2つ目は、「錯覚資産」という概念が大切になります。
これは、人気ブロガーのふろむださんの言葉を一部借りますが、「錯覚資産」とはうまく自分に対する期待値をコントロールしたうえで、本を出したり、YouTubeに出たり、テレビに出たりしながら「すごい人」のイメージを作っていき、それによって仕事をやりやすくするという方法です。

うつの人でも手っ取り早くできる方法としては、名前をすごそうにするという方法があります。
私の塾は「毎日学習会」という名前です。
別に私が毎日長時間働いているわけではないのですが(体調が悪ければ10分だけシフト送信して、あとはスタッフに任せて寝ていることもあります)、なんだか毎日熱心に教えてくれる感じがする名前ですよね。
実際のところ、その日は元気なスタッフが誰かしら、代わる代わる熱心に指導することで、状態としては「毎日熱心に勉強を教えてくれる塾」になっているので看板に偽りはありません。
また、こういう状態を作ったうえで、本を大量に出したり、YouTubeに大量に投稿したり、サイトの記事を大量に出したりしていますし、今回はまたこうして本を書いて、この本がベストセラーになったらテレビにも出たいと思っていますので、そういう形でどんどん「錯覚資産」を増やしていくのです。
これも「小さいやる気」を大きく見せるうえで非常に大事な要素になります。

では、その次です。
まずそもそも本を出すにしてもYouTubeに動画をアップするにしても、それなりに働く必要があります。
では、うつの人はどのようにしてこれほど大量の仕事をこなせばいいのでしょうか。
その部分から考えていきましょう。

まず大前提として、元気がないときは仕事しないことだと私は思っています。
コロナウイルス対策と同じで、十分に収束していないときに、慌てて動くと余計ひどいことになります。
まずはそれなりに体調をよくすることが最優先です。
そのうえで、仕事をするわけですが、仕事をするときに考えてはならないことがあります。
それは「やる気」「モチベーション」です。

「今日はやる気があるのか?」「今日はモチベーションがあるのか?」を仕事する前に考えると「今日はやる気がないから明日からやろう」「今日はモチベーションがないから明日からやろう」という結論になります。
やれるならなにも考えずにどんどん仕事をこなす これが非常によくない。
大切なことは、やる気のことなど考えないことです。
それなりに元気で、少なくとも仕事ができないほど体調が悪くなければ、まずはやる。
1つ終わったら、なにも考えずに2つ3つ4つと連続でやっていくことが大事です。
休憩を挟むと、どうしても休憩がメインになってしまいますからね。
まずは連続して、なにも考えずにどんどん仕事をこなしていくことが大事です。

この「なにも考えずにどんどん仕事をこなしていく」という感覚はぜひ大事にしていただければと思います。
「メランコリー親和型」のうつの人であれば、仕事ができないほど体調が悪くなければ、できるはずです。
とにかくなにも考えずに、意識を飛ばして体力の限界まで仕事し続けるのです。
その結果として、また1日2日寝込むかもしれませんが、それでいいのです。
1日人一倍以上働いたら、次の日は寝込んでいても、トータルで見たら健常者とトントンか、健常者以上に仕事をしたことになります。
とにかく過剰労働と寝込むことを繰り返し、健常者に仕事の量と質で勝つことが大事です。

また、この量についても「限界費用ゼロ」と「錯覚資産」で盛り盛りに水増しすることが、極めて重要になります。
「うつの人の起業では、寝込みたいときはいくらでも寝込んでいい」という話をします。
いくらでも寝込んでいいのです。
寝込んでいるときは、元気になったら寝込んでいた分の仕事も取り戻そうとか、そういう真面目くんみたいなことは考えなくてもいいです。ただ寝ているだけでいい。
それがその人の仕事だと私は考えます。
事前に自動化さえできていればいい 多少元気が出てきたら、モチベーションとか難しいことは考えず、とにかく意識を飛ばして、仕事をどんどんノンストップにこなすことが大事となります。
そして疲れてきたら、また寝込めばいい。
そのときにまた、起きたら寝込んでいた分を取り戻そうとか、そういうことを考える必要はないです。
とにかく寝込んで寝込んで寝込んで、いつか元気になる日を待てばいいのです。
「こんなに寝込んでいて問題ないのか」と言う方もいるでしょう。
たしかに、AIとかARとかVRとか今流行りのビジネスだったり、トレンドブログのような芸能界のあれこれにすぐ反応しなければいけないブログを運営していたら、そんなに寝込んでいると潰れるでしょう。
ただ、世の中のたいていの商売、特にネットビジネスの場合は、事前に自動化さえできていれば、寝込みたいときは寝込んでいてもなんの問題もありません。

大事なのは「変化対応」していくことです。
ちょっとでも元気なときに勇気を出して行動することも「変化対応」です。
ただ、体調が悪いときにはちゃんと休むことも「変化対応」です。
寝込むことも、「うつ起業」することも「変化対応」として等しく価値があることです。
状況が悪いときはダンマリを決め込み、状況がいいときは徹底的に積極的に行動する、これはうつ病患者に限らず、起業全般に大切な起業の真理です。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | うつ病について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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