広島市長の平和宣言要旨
2021/8/6 毎日新聞
松井一実市長の平和宣言の要旨は次の通り。
76年前の今日、原子爆弾は罪のない多くの人々にむごたらしい死をもたらし、生き延びた人々にも放射線障害や健康不安、生活苦など心身に深い傷を残しました。
被爆者の願いや行動が国際社会を動かし、今年1月22日、核兵器禁止条約が発効しました。
各国為政者が条約を支持し、核の脅威のない持続可能な社会の実現を目指すべきではないでしょうか。
あの日、地獄を見たと語る被爆者は「たとえ小さなことからでも、一人一人が平和のためにできることを行い、かけがえのない平和を守り続けてもらいたい」と、若者に願いを託します。
若い人にお願いしたいのは、核兵器はあってはならないとの信念を持ち、それを発信し続けることです。
被爆から3年後の広島を訪れたヘレン・ケラーさんは「皆一緒にやれば多くのことを成し遂げられる」との言葉で、個々の力の結集が世界を動かす原動力となり得ることを示しています。
人間の暴力性を象徴する核兵器はいらないとの声が市民社会の総意となれば、核のない世界に向けた歩みは確実なものになっていきます。
世界中で平和への思いを共有するための文化を振興していきます。
各国の為政者に強く求めたいのは、核により相手を威嚇し自分を守る発想から、対話を通じた信頼関係を基に安全を保障し合う発想へと転換することです。
日本政府には、一刻も早く核兵器禁止条約の締約国となっていただきたい。
黒い雨体験者を早急に救済し、被爆者支援策のさらなる充実を強く求めます。
原爆犠牲者のみ霊に心から哀悼の誠をささげ、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け、被爆地長崎、思いを同じくする世界の人々と共に力を尽くすことを誓います。(共同)