2021年11月13日

相続が決まったら絶対避けたい!税務署から怪しまれる「NG行動」

相続が決まったら絶対避けたい!税務署から怪しまれる「NG行動」
2021年11月12日 ダイヤモンドオンライン
奥田周年:税理士

税務調査で特に細かくチェックされるのが、「現金」の存在だ。
不動産と違って移動が容易な現金は、脱税の手段に用いられることも多く、税務当局もその行方には目を光らせている。
多額の現金をめぐるどういった動きが、税務署から怪しまれるのか。

年間1000件の相続税申告・相談に携わる筆者が、実例をもとに解説する。(税理士・OAG税理士法人資産トータルサービス部部長 奥田周年)

現金が多いと 税務調査に入られやすい
 相続税で税務調査に入られやすいケースには、決まったパターンがある。
 それは、相続財産の中で「現金」や「金融資産」の割合が多い人だ。
 だが現金は不動産と違い、どこにでも自由に持ち運ぶことができる。不動産は逃げられないが、現金は逃げられる――。
税務署はこのように見ているのだろう。

所有している財産で不動産が多い人と、現金や金融資産が多い人とでは、圧倒的に後者のほうが税務調査に入られる確率が高い。
 私が相続税申告を担当する際にも、相続財産に現金や金融資産が多い顧客には「お客様は税務調査のある可能性が高いので、ご自身の財産ができた理由を思い出したほうがよいですよ」と、事前に伝えるようにしている。

 また、相続財産の大小によっても税務調査に入られる確率が違う。
 これまでの経験からいっても、相続財産が3億円以上ある場合には、5割以上のかなり高い確率で税務調査に入られると覚悟しておいたほうがいいだろう。
 逆に、相続財産が1億円以下の場合であれば、税務調査に入られる可能性は今のところあまり高くないので、心配しなくてよいかもしれない。

税務署が目を付けた 「不自然な行動」とは?
 先述の通り、現金は移動が容易なため、その行方に税務署は神経を尖らせている。
 だからこそ、不自然な行動をとるとすぐにチェックされる。
「藪をつついて蛇を出す」のことわざのように、余計なことをすると税務調査で指摘を受ける羽目になる。

 例えばこんな人がいた。
 銀行のATMでは、「まずお金を出金して、そのお金をどこかに入金する」という流れが普通だと思う。
だがその人は逆に、「まずお金を入金してから、同じだけの金額を出金していた」のだ。
 なぜそんなおかしな行動をしていたのだろうか?
 実はこの人、ATMにまず「旧札」を入金し、その後に「新札」を出金していたのだった。
 おそらく、自宅や貸金庫に旧札で多額の現金を保管していたのだろう。
「旧札で持っていると、税務調査に入られたときに昔のお金だと分かってしまう」と考えたに違いない。
 そのためATMで旧札を入金し、新札で出金するという作業を、1日の限度額の範囲内で繰り返し行っていたようだ。
 税務調査では「先に入金して後から出金する」という不自然な行為の指摘を受け、被相続人が現金を旧札で保管していたことを認めざるを得なくなり、修正申告を余儀なくされた。  
 知恵が回りすぎて墓穴を掘ってしまった感じだが、不自然な行動は、当局が見逃さないだろう。

貸金庫にも要注意! あらぬ疑いをかけられることも…
 銀行にはATMコーナーをはじめ、ありとあらゆる所に防犯カメラが設置されているため、私たちの行動は全て記録されていると思ったほうがよい。
 金融機関は、税務署の依頼があると、防犯カメラの映像はもちろん、口座の入出金記録などさまざまな情報を提供しなければならない。
税務調査の際にはそのことを頭に入れ、金融機関を介した行為は全て知られていると思っておくほうがよいだろう。
 また、現金や貴重品の安全な保管場所としては、銀行の貸金庫を利用している人もいるかもしれない。
私は貸金庫を利用している顧客に対しては、「貸金庫の中に何が入っているかを、いつも正確に把握しておいたほうがいいですよ」とアドバイスしている。
 銀行の貸金庫にはカメラによる映像はもちろん、開閉記録もきちんと残っている。
例えば、税務調査の連絡を受けた相続人が、「そういえば貸金庫には何があっただろうか?」と思って確認のために貸金庫を開けたとしよう。
 すると税務署は、銀行から取り寄せた貸金庫の開閉記録を見てある疑問を持つ。
「なぜ税務調査の連絡を受けた後に貸金庫を開けたのか?」 「貸金庫の中にあった現金などをどこかに移動したのではないか?」
 このように勘繰られ、痛くもない腹を探られる羽目になってしまう。

 貸金庫を使用している人は、常日頃から中に入っているものを頭の中でリスト化するなどして正確に把握しておくことが望ましい。
少なくとも、税務調査が決まってから貸金庫を開けるといった「税務署から怪しまれる行為」はしないほうが無難である。

 もっとも、税務署から貸金庫を開けた理由を聞かれても、例えば、「名義変更のために中にあった実印が必要だった」などと説明できれば、大きな問題にはならないであろう。

税理士も驚いた! 調査官が見つけた「金」の意外な隠し場所
 現金と並んで、持ち運びやすい形状の財産として「金」がある。
 金は、その希少性から世界共通で資産価値が認められており、インフレリスクにも強く、さらに株式や債券と違って現物が存在するという信頼性がある。
「有事の金」という言葉があるぐらいだ。
さらに金は、他の貴金属に比べて加工が容易という利点もある。
 こうした理由から、財産を金の形で保有しておこうとする富裕層も一定数存在する。

 私が相続税申告を担当した中にも、こんな人がいた。
 その人は自宅に金庫を置いていた。金庫の中には、現金や宝石、そして金などといった、他人に盗まれたくない大切なものを保管しておくというのが普通の感覚だろう。
 ところが税務調査で自宅を訪れた調査官が、驚くべきものを発見した。
 その金庫は台座に置かれていたのだが、扉を開けても古い契約書が入っていただけだった。
ところが調査官が何気なく台座をのぞいたところ、金庫の底に何かがあった。
なんと、金が見つかったのである。
 まさか金庫の底の裏側に貼り付けてあるとは予想もしなかったが、それを発見した税務調査官もさすがというより他ない。亡くなった被相続人がその場所に置いたようで、相続人もびっくり。
新しく出てきた金は、相続財産として修正申告することになった。
「金の置き場所はいろいろあるものだ」と、私も驚いた一件であった。

税務調査では「うそをつかない」ことが 一番「得」である
 また、前述の通り、税務署は過去の銀行口座の入出金記録を確認することができる。
 そのため、多額の現金を引き出したはずなのに、その行き先がはっきりしなければ「どこに移したのか?」と疑問を持つ。「タンス預金」という言葉があるように、現金を家の中のどこかにしまってあるのではないかと疑われ、自宅の全ての部屋を見せることになる。
 税務調査官はその道のプロである。素人である相続人が生半可な知恵でお金を隠そうとしても、ほとんどの場合はバレてしまうということを覚悟しておくべきだ。
 税務調査での質問では、被相続人や相続人自身の財産がどうやってつくられたのかを根掘り葉掘り聞かれることになる。  亡くなった人の財産については、知っていることは事実をありのままに、そして知らないことは「知らない」と伝えればよい。
 大事なのは、自分自身の財産について、あるいは自分がやった行為については、絶対にうそをついてはいけないということだ。

 事実と違うことを話すと、後で必ずつじつまが合わなくなってくる。
適当な言い逃れをしようとしても、「前に聞いたときは、お金をもらってないと言っていましたよね?」などと後から突っ込まれてしまい、全てバレてしまうのが常なのだ。
 下手にうそをついてしまうと、故意のる。隠蔽(いんぺい)と判断されて重加算税が課せられてしまう。
税務調査といっても、うそをつかず正直に応じるのが金銭的にも時間的にも結果的に一番「得」なのであ
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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