2021年11月25日

平均給与436万円だが…「中間層の拡大」で露呈する、日本人の「恐ろしい経済格差」

平均給与436万円だが…「中間層の拡大」で露呈する、日本人の「恐ろしい経済格差」
11/24(水) 幻冬舎online

国税庁『民間給与実態統計調査』(令和2年)より、「平均」からは見えてこない、日本人のリアルなお金事情について見ていきます。

「中間層の拡大」…眼前に現れるのは「恐ろしい格差」
昨今、「中間層の拡大」が世界各国で急速に広まっています。
たとえば中国。習近平国家主席は「過度な所得の規制」を明示し、共同富裕に向けた政策実現を急いでいます。
さらに米国では、バイデン大統領が「この国は、ウォール街によってつくられたのではない。アメリカの中間層がつくったのだ。(This country wasn’t built by Wall Street bankers, CEOs, or hedge fund managers. It was built by the American middle class.)」と発言したことも話題になりました。

日本は言わずもがな、岸田文雄首相が10月の所信表明演説で「中間層の拡大、そして少子化対策です。中間層の拡大に向け、成長の恩恵を受けられていない方々に対して、国による分配機能を強化します」と発言、金融課税所得や現金給付など、格差是正に向けた政策実現を進めています。

そのほか保育士や介護士といった業種の方々の賃上げも目玉政策として掲げられていますが、その効果には疑問の声も。

「中間層の拡大」は実現するのでしょうか。現状を見ていきましょう。
まずは業種別の平均給与。国税庁『民間給与実態統計調査』(令和2年)によると、平均給与(給与・賞与・諸手当含む)について、最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の824万円。
「金融業,保険業」の627万円、「情報通信業」599万円と続きます。
最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の260万円。
諸手当を含んだ金額であることを踏まえると、かなり厳しい現状が見て取れます。
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電気・ガス・熱供給・水道業……824万円
金融業,保険業……627万円
情報通信業……599万円
学術研究,専門・技術サービス業・教育,学習支援業……518万円
製造業……513万円
建設業……491万円
運輸業,郵便業……436万円
不動産業,物品賃貸業……424万円
複合サービス事業……411万円
医療,福祉……401万円
卸売業,小売業……376万円
サービス業……359万円
農林水産・鉱業……297万円
宿泊業,飲食サービス業……260万円
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   全体平均 436万円
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業種間格差が鮮明になっていますが、それぞれの業種について「年収の最多の層」はどこか。
また違った様相が見えてきます

「電気・ガス・熱供給・水道業」「飲食業」の壮絶な差
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電気・ガス・熱供給・水道業……1,001万円〜1,500万円(4万人/平均年齢29.3歳、平均勤続年数29.3年)
金融業,保険業……401万円〜500万円(22万人/平均年齢37.5歳、平均勤続年数10.4年)
情報通信業……401万円〜500万円(33万人/平均年齢37.3歳、平均勤続年数8.4年)
学術研究,専門・技術サービス業・教育,学習支援業……301万円〜400万円(40万人/平均年齢39.4歳、平均勤続年数8.2年)
製造業……401万円〜500万円(166万人/平均年齢41.2歳、平均勤続年数12.5年)
建設業……301万円〜400万円(71万人/平均年齢46.8歳、平均勤続年数12.3年)
運輸業,郵便業……301万円〜400万円(74万人/平均年齢48.5歳、平均勤続年数8.8年)
不動産業,物品賃貸業……101万円〜200万円(26万人/平均年齢59.6歳、平均勤続年数13.7年)
複合サービス事業……301万円〜400万円(9万人/平均年齢38.7歳、平均勤続年数8.6年)
医療,福祉……301万円〜400万円(174万人/平均年齢42.0歳、平均勤続年数7.3年)
卸売業,小売業……101万円〜200万円(161万人/平均年齢51.1歳、平均勤続年数10.6年)
サービス業……201万円〜300万円(162万人/平均年齢46.9歳、平均勤続年数8.1年)
農林水産・鉱業……101万円〜200万円(17万人/平均年齢57.7歳、平均勤続年数18.8年)
宿泊業,飲食サービス業……100万円以下(57万人/平均年齢40.9歳、平均勤続年数5.4年) *********************
「電気・ガス・熱供給・水道業」の高額っぷりに驚いた方も少なくないでしょう。
また、「金融業,保険業」「情報通信業」は比較的年齢が若い傾向にあることが見て取れます。
厳しい数字を記録しているのが、やはり「宿泊業,飲食サービス業」。

本調査、「1年を通じて勤務した給与所得者」を対象に集計しており、正規・非正規の垣根はありません。
飲食業に関しては、パートタイムで働く方々が多いのも関係してはいるものの、それでもなお、業種間格差をあまりに痛感してしまう数値です。

上記データは「給与」、つまり働く日本人に限った「お金」ですが、そのほか公的年金や私的年金、資産運用によってそのほかの収入を得ている方々も少なくありません。

「所得」を見ていくと…「悲しい現実」が明らかに
そこで厚生労働省『国民生活基礎調査』(2019年)より、広く平均所得について見てみると、1世帯あたり平均所得金額は、「全世帯」が552万3,000円。
「高齢者世帯」が312万6,000円、「高齢者世帯以外の世帯」が659万3,000円、「児童のいる世帯」が745万9,000円となっています。

やはり気になるのは分布図。同調査によると、「200〜300万円未満」が13.6%、「300〜400万円未満」が12.8%、「100〜200万円未満」が12.6%と、所得300万円未満の世帯が最も多くなっています。

中央値は437万円。
平均所得金額(552万3千円)以下の割合は61.1%と過半数を超えています。
所得倍増も一時は話題になったものの、「2倍ではない」とされた現在、報道は沈下傾向にあります。
「中間層」の指し示す数字は何でしょうか。
コロナ感染拡大が落ち着いた今、国民の「お金への視線」は、より一層鋭くなっています。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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