2021年12月18日

政治家の失言2021、日本中を騒然とさせた5つの発言とは

政治家の失言2021、日本中を騒然とさせた5つの発言とは
2021.12.17 Diamondオンライン
鎌田和歌:フリーライター

「女性のいる会議は時間がかかる」
 後年から振り返っても大きな失言だったと報道されるに違いない2021年のナンバーワン失言はやはりこれだろう。
「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」(2月3日、森喜朗五輪オリンピック・パラリンピック大会組織委員会長=当時)  日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議会での発言。

翌日4日に「謝罪会見」を行って沈静化を図ったものの、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会会長の言葉として海外メディアでも大きく報じられ、12日に辞任表明となった。
集まったオンライン抗議署名は15万筆を超えた。
 五輪を控えた時期の大失言として印象深いが、時期が2月ということもあって今年の失言だということを忘れそうだ。
オリパラ自体、なんだかとても昔のことのように感じるのは筆者だけだろうか。
 この機会に、発言の詳細を今一度振り返っておこう。

スピーチの中にはこんな発言もあった。
「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手を挙げて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」
 これがツイッター上の一般人の発言ならば「主語が大きい」というリプライで淘汰されていくのだろうが、元首相によるお話だけに、その場では止める人がいなかったようだ。
「私どもの組織委員会にも女性は何人いたっけ? 7人くらいか。7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて」
 この発言をきっかけに、「#わきまえない女たち」のハッシュタグも盛り上がった。

 個人的にはこの時期に瞬間的に流行した音声SNS・Clubhouseで、多くの人がこの失言について議論を交わしていたのが思い出される。
 ちなみにあまりにもこの失言が大きく報じられたために影が薄いが、森氏はこれ以外にも「コロナがどういう形であろうと必ずやる」(2月2日)、「(コロナ感染対策で)人気のあるタレントはあまり人が集まらないところを走ったらいいんじゃないか。田んぼ(の沿道)で走ったらいいんじゃないか」(同)などと発言し、そのたびにひんしゅくを買った。
森氏の発言がきっかけで、お笑いタレントの田村淳さんは聖火ランナーを辞退した。

「旦那はいいか。恋愛禁止かね」
 五輪開催後に大炎上したのが、河村たかし名古屋市長の金メダルかじり事件。
ソフトボール代表チームの後藤希友選手の表敬訪問時(8月4日)に、テレビカメラの前で後藤選手の金メダルにかぶりつく姿が報道され、国民をドン引きさせた。
この後、謝罪会見を開いている。
 このとき、後藤選手に対する河村市長の発言も、セクハラではないかと批判を浴びた。
当時の詳報を見ると、以下のような発言の数々が確認できる。
「でかいな、やっぱり。テレビで見るのと大分違うな」
「体は割と小ぶりに見えるけど、こうやって見えるとでかいでね」
「女のソフトボールやっとるやつは、中学生でもみんななんとなく色が黒くて、結構、ポニーテールが多いでしょ」
「テレビのたくましい雰囲気と、えらいキュートな雰囲気で」
「ええ旦那もらって、旦那はいいか。恋愛禁止かね」

 全体を見ると、若い女性アスリートとの間で共通の話題に乏しく、間をもたせるために発せられた発言の数々にも見える。その後の平謝りぶりも鑑みて、高齢の河村市長に多少の同情はするのだが、しかしやはり市長という立場であれば、もう少しわきまえてほしかった。

「温暖化のおかげで北海道のコメがうまくなった」
 森氏と並ぶ失言王の麻生太郎自民党副総裁は、今年も失言している。
10月25日、衆院選の応援演説で訪れた北海道小樽市で、「温暖化と言うと悪いことしか書いていないが、いいことがある」「(北海道のコメについて)温度が上がり、うまくなった。それを輸出している。これが現実だ」などと話した。
 発言を受けて翌日夜のテレビ番組で岸田文雄首相が陳謝。
野党からも批判が相次いだが、麻生氏からの直接の釈明などは行われていない。

 日本では海外に比べて温暖化など環境問題への関心が薄いと言われる。
今年9月には世界1500カ所で気候変動デモが行われ、数十万人が参加した都市もあった。
麻生氏の発言は、温暖化についての知識不足や問題軽視を露呈するものだった。
 また、麻生氏の発言には「昔、北海道のお米は『厄介道米』と言われるほど売れない米だった。農家のおかげですか? 農協の力ですか? 違う。温度が上がったからだ」というものもあった
北海道農民連盟は「今までの北海道米を作る生産者の努力と技術をないがしろにするような発言は断じて許されない、強く抗議する」と談話を発表している。

「11倍の倍率を通ってくるんですから、もう皆きれいです」
 同じくコメに関して失言したのは、川勝平太静岡県知事。
10月23日に浜松市内で行われた選挙応援演説で、御殿場市と浜松市を比較して「あちらはコシヒカリしかない」と発言したことが批判を浴びた。
その後、自民党の議員らが抗議文を提出し、知事は謝罪。不信任案も提出されたが、可決には至らなかった。

 さらにこの後明らかになったのが、女性差別発言。
6月の選挙期間中に静岡県富士市で開かれた集会で、自らが学長を務めていた静岡文化芸術大学の学生について、こう話す音声データが残っていた。
「8割くらい女の子なんですね。11倍の倍率を通ってくるんですから、もう皆きれいです。めちゃくちゃ顔のきれいな子は、あまりこう、賢いこと言わないとですね、なんとなくもう、きれいじゃなくて、きれいに見えないでしょ。ところが全部きれいに見える」
 まず、外見についてことさらに取り上げることは、2021年現在ではルッキズムであるとして嫌われる。
また、「11倍の倍率」とは学力の話であって、その倍率を勝ち抜いたから「皆きれいです」は、意味が通らない。
 その後の「めちゃくちゃ顔のきれいな子は」からの発言は日本語として意味が取れないが、賢さと容貌を関連づけようとする意図はうっすらと読み取れる。
 この発言について記者に問われた知事本人も「ほとんど意味をなしていないと思いますね。ともかく正確ではなくてですね、これは恥ずかしい発言だと、申し訳なかったと思っております」と意味不明な発言であることを認め、謝罪している。

「50代の私と14歳の子とが恋愛した上での同意があった場合に罰せられるのはおかしい」
 立憲民主党の性犯罪刑法改正ワーキングチーム会合(非公開)で、この発言があったことが報じられたのが6月。ネット上ではどの議員の発言なのか特定が始まったが、その後、57歳の本多平直議員(当時)の発言だと判明した。
 性犯罪刑法については性交同意年齢(13歳)の引き上げや、暴行脅迫要件の撤廃を巡って議論が行われており、本多氏は同意年齢の引き上げに反対の立場から意見を言ったものと思われる。
その後、会合に出席していた外部の有識者に対して、本多氏が机をたたくなどしながら声を荒げていたことも報じられている。

 50代の議員のこのような発言が子どもを持つ保護者らに与えた衝撃は大きく、立憲民主党は7月に本多氏の党員資格を1年間停止とする方針を明らかにし、その発表の前に本多氏は議員辞職と離党を発表した。  
 これでこの騒動は終わると思いきや、本多氏の妻である西村智奈美議員は立候補した党首選の最中に「報道されているような発言を(本多氏は)していないと承知しています」と発言したと報道されている。
していない発言で辞職、離党したということなのだろうか。
不可解極まりなく、党内でこの件の余波が続いている様子がうかがい知れる。

 例年のごとく、政治家の失言は今年も枚挙にいとまがなかった。

来年はなるべく、良きことで国民の記憶に残る議員活動を期待したい。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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