小だぬきのため息「地域は住みやすいか」
私の近所で消えていった店
・本屋 ・文房具店 ・小物屋 ・雑貨店 ・電気店 ・時計屋 ・たばこ店 ・和菓子屋 ・洋菓子屋 ・そば屋 ・魚屋 ・八百屋 等など。
大型スーパーやコンビニ・各種チェーン店、複合商業施設ができてから 普段サンダル履きで気軽に行けた 小型商店が姿を消しているのです。
高層住宅・アパートが増えて住民が増えているハズなのに 商店街の名は残っていても営業しているのは数店のみ。
何か段々と 温もりのない無機質な地域になってきているようで寂しい寂しいです。
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2022年は「値上げの年」、ダイナミック・プライシングは庶民の敵か味方か
2022.1.5 Diamondオンライン
松崎のり子:消費経済ジャーナリスト
2022年は「値上げの年」となりそうだ。
電気・ガス料金が上がり、身近な食品も価格改定や容量の見直し(値段は据え置きだが、中身を減らす実質値上げ)を、メーカーが次々と発表した。
こうした分かりやすい値上げ以外にも、我々の生活コストに影響を及ぼしそうなものがある。
変動価格制いわゆるダイナミック・プライシングだ。
(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
忍び寄る変動価格制、高速代も通勤の電車代も…?
ダイナミック・プライシングとは、同じサービス・商品でも、利用者の多い期間・時間帯は料金を高くし、そうでない時期は安くするという、価格戦略を言う。
価格差をつけることで利用者の集中を減らし、利益を平準化する狙いがある。
また、コロナ禍では、特定の時間帯の利用者を減らす目的で導入されることもある。
思い出すのは、東京オリンピック・パラリンピックの大会期間中の首都高速料金だ。
昼間など繁忙時間帯(6時〜22時)は1000円上乗せされ、深夜〜未明(0時〜4時)は5割引きとなった。
本来の目的は、競技を見に来る人たちの移動で道路が混雑しないための措置のはずだったが、無観客と決まったにもかかわらず、強引に実施されたのはご存じの通り。
そもそもいきなり1000円の上乗せとはずいぶん乱暴だが、当時の首都高はさすがにスムーズに流れた。
2000円を気にせず払えるお金持ちは高速を使えるが、庶民はその時間を避けるしかない。
こうした変動価格制の波が、ひたひたと忍び寄っている。
この変動料金を、都市部の鉄道料金にも導入しようという動きがある。
2021年5月にはコロナ時代の働き方も踏まえ、分散乗車・混雑緩和等の方策の一つとして、鉄道運賃のダイナミック・プライシングを検討するとの閣議決定がされた。
当時の赤羽一嘉国交相は、「ピーク時間帯とオフピーク時間帯の運賃に差をつけることにより、ピーク時間帯の利用者を分散させて混雑緩和を図ることを期待した」と語っている。
とはいえ、通勤にかかる交通費を負担しているのは企業なので、働く人よりもまず企業が青くなり、結果、「早い時間に通勤せよ」となって早朝時間帯が混雑するだけ――という気もするが…。
それならまだしも、企業が「オフピーク時の料金しか支給しない」とでも言い出せば、働く側の持ち出しとなってしまう。「十分な検討を行っていく必要がある」と大臣も答えているので、ぜひそうしてほしい。
さらに、新幹線料金も見直されるようだ。
もともと新幹線の指定席特急料金は、通常期、繁忙期、閑散期で価格が変動する。
通常期に比べて繁忙期は200円増し、逆に閑散期は200円引きとなる。
JR東日本・JR北海道・JR西日本各社は、それに加えて利用者が特に集中する年末年始・GW・お盆期間に通常期の400円増しの「最繁忙期」を新たに設定、4段階料金とすると発表した。
これは、2022年4月乗車分からの運用となる。
つまり、誰もが旅行やレジャーに出かけたい時期に新幹線を使うと、「今より高くなる」わけだ。
その代わり、同じ8月でもお盆以降なら通常期料金の対象日にするなど、オトク日もあるのだが…。
「今日は時間が空いたから、テーマパークへ行こうか」は禁句に?
とはいえ、こうした価格変動制は新しいものではない。
分かりやすい例で言うなら、ホテルの宿泊料金は平日より休日の方が高いし、ビジネスホテルだって予約の入り具合によって細かく値段を変えている。
プロ野球でも、巨人・阪神戦など人気カードでは高くなり、そうでもない球団同士だと“バリュー価格”で販売される。
中でも2021年に話題になったのが、東京ディズニーランド・ディズニーシーが変動価格制を導入したことだ。
2021年3月から時期や曜日ごとに異なるチケット価格が設定され、客が集中する週末や休日、長期の休み期間は、高めの金額となった。
1デーパスポート(大人料金)の直近の金額を見ると、最安日は7900円、その上が8400円、8900円、年末年始は最高値で9400円と、その差は1500円にもなる。
なお、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、すでにチケット価格変動制を導入済みで、同様のレジャー施設は増えていく可能性がある。
コロナ禍で傷んだ企業側としては、「来る人が減っている分、払える人にはしっかり払ってほしい」と言いたいのだろう。
2022年に再開される見込みの「Go Toトラベル」でも、平日と休日に価格差をつける予定だ。
まず、前回の割引率は旅行代金35%(1万4000円まで/1泊)+地域共通クーポン15%だった。
今後再開予定の計画では、割引率30%(交通付き宿泊1万円/1泊、宿泊のみ7000円まで)と縮小。受け取れるクーポンも平日と休日で差をつけ、平日なら3000円だが、休日は1000円と、3分の1しかもらえない。
黙っていても出かける人が多い休日よりも、平日に旅行に行った方がオトクですよとアナウンスすることで、まんべんなく観光客を呼ぼうという考えだろうが、そのもくろみはうまくいかないだろう。
その理由は後ほど述べる。
金持ちはさらにトクをし、そうでない庶民は損をする?
ダイナミック・プライシングを適正に実施するには、政府がお題目のように唱えるDX(デジタル・トランスフォーメーション)が必要になる。
ビッグデータやAIの活用により、企業は独自にデータ分析を行って、「もうけが確保できる」価格を割り出す必要があるからだ。
先のディズニーランドのような例では、「平日なんて簡単に休めない庶民が高い料金を払うのか」という論調が巻き起こりやすいが、ダイナミック・プライシングすべてがそうともいえない。
例えば、スーパーマーケットで「雨の日は客足が減るので値引きが早くなる」なんていうのも、いわば天候を基準にした変動価格制だ。
ビジネスホテルも、客が少なければ平日だろうが休日だろうが、価格を引き下げる。
家電量販店で、売れ行きや競合店の価格によって商品の価格を変動させるのは、もはやおなじみだ。
最近では、フードロス対策としても、コンビニやドラッグストアで賞味期限が迫った商品をアプリで通知し、値引きやポイント還元をするという実証実験も行われた。
フレキシブルかつオンタイムで変動するオトク価格を知ることができるなら、庶民にもメリットがある。
また、おトク価格には人を誘導できる引力もあるので、店がお客を呼びたいなら「この時間までに来店された方には、おつまみすべて100円に」という使い方も可能だ。
同じ商品、同じサービス、同じ店でも、定価は変動する。
それがスタンダードになってくると、購入する側は「どんな時が安くなるのか=モノが売れないのはどんな時か」といった、逆張り能力が必要になってくるかもしれない。
ダイナミック・プライシングは誰のためか
さて、利益の平準化のためと、人流を分散させるための変動価格は意味合いが違うだろうが、前述の「Go Toトラベル」の平日重視策はどうも中途半端だ。
そもそも、観光地は土日に客が押し寄せることを前提にビジネスを組んでいる。
うっかり平日に出かけたら、現地のレジャー施設の定休日に当たりかねない。
飲食店もそうだ。
365日休まず営業せよと言われても困るし、働き方改革の観点からもまずいだろう。
平日に出かける場合は、自分が行きたい観光施設やお目当ての飲食店の定休日を確認して、旅行プランを立てる必要がある。受け入れ側だって、客がたくさん集まる休日にクーポンを使ってくれる方がうれしいはずだ。
そもそも、家族旅行なら子どもの学校事情だってあるだろう。
だから、今回のGo Toの計画は誰も幸せにならない「変動制」に見えて仕方がない。
もし、国や企業が消費をもっと促したいなら、お金持ちの優遇に見える手法より、庶民がトクするような手法を取った方がいいのではないか。
高速道路には「休日割引」があるが、これはたくさん高速道路を使ってくださいという考え方だ。
もしGo Toトラベルが平日を優遇するなら、観光地側が「うちは独自に上乗せして、週末限定クーポンを出します」と言えば、さらにお客を増やせるだろう。
北風と太陽ではないが、人がその気になりやすい時にこそメリットを多く付与すれば、より財布が緩みやすくなるはずだ。こうした逆ダイナミック・プライシングもありではないか。
なお、JR東日本・西日本は2022年春から新幹線グリーン車・グランクラスの料金を値上げする。
お金に余裕がある人からしっかり払ってもらおうということのようで、こちらのほうが庶民も納得できると思うが、いかがだろう。