2022年03月20日

「いくら休んでも疲れが取れない人」が無意識にやっているNG習慣

「いくら休んでも疲れが取れない人」が無意識にやっているNG習慣
2022.3.19 Diamondオンライン

パワハラ上司のもとで倒れるまで働いた1年半

──今回は、「疲れ」との向き合い方について聞かせてください。
わびさんも、メンタルダウンしてしばらく休職されたご経験がありますよね。
疲れ切って、ポッキリと心が折れた瞬間のことは覚えていらっしゃいますか?

わび:
「まだ大丈夫」と言い聞かせて働いていましたが、ある日突然、動けなくなりました。
 月約200時間の残業と、パワハラが原因で。
今考えると、「まだ大丈夫」と思っている時点で、無理しすぎだったんだろうなと思います。
 自衛隊で幹部自衛官として働いていたのですが、当時、同期の中で成績がトップクラスだったこともあって、「周りの期待を裏切れない」というプレッシャーが強かったんです。
 ちょうどプライベートでは双子が生まれた時期で、もちろん子どもが生まれたことは喜ばしいことではあったんですが、職場でも家でも気が休まる暇がなくて。
 結局、職場で倒れて病院に運ばれてようやく立ち止まることができました。
パワハラ上司のもとで働くようになってから、約1年半後のことでした。
 ただ、メンタルダウンの経験をしてから、働き方や生き方をガラッと変えたんです。
自分のことを自分で守る強さを手に入れようと決意し、自分らしく生きるための方法を身につけました。
以降、自分のペースを保ち、楽しく生きることができています。

「食べる」「寝る」「筋トレ」は回復ではなく予防手段

──疲労困憊してエネルギー切れになることなく、自分らしく働くためには、どんなことをされてきたのでしょう。
「いくら休んでも疲れが取れない」原因は何だと思いますか?

わび:
仕事に対して休みが追いついていないのだと思います。
 どんなにラクそうに見えても、何かしらストレスがあるのが仕事というもの。
普通に仕事をしているだけでも気力、体力はガリガリ減ってしまうし、上司の厳しい指導や友だちの何気ない一言で普通の状態でいられなくなることもあります。
 心身を限界まで使い果たすと、今まで平気でできていた仕事も少しずつ困難になっていきます。
 だから、心身を回復させるタイミングは超重要なのですが、倒れた当時の私は、パワハラのストレスで睡眠も浅くなってしまっていて、ほとんど休みがない状態でした。
 ただでさえ、平日5日間の仕事の疲れを土日2日間だけで回復させる、というサイクルはけっこうきついのに、さらに残業もして、休日出勤もして……と働き詰めになってしまったら、疲労が蓄積するに決まっていますよね。
 よく、SNSやネットニュースなどで「メンタルをやられたときは、ご飯を食べて寝て、筋トレしたら回復する」という言葉を目にしますが、それは回復手段ではなく、予防手段なんです。
 まだある程度余裕がある人にこそ機能するやり方で、本当に疲れ切った人は、筋トレも食事もできません。
 なので、そういう状態にならないように、環境を整えること。
 そして、もしすでにそうなってしまっているのであれば、自分がゲームでいうところの「ステータス異常」になっていることを自覚して、早めに病院に行ったりして、専門家に相談するようにしましょう。

自衛隊で教わった、小さなミスでイライラしないための合言葉

──ストレス対策として、わびさんが日常的にやっていることや、考え方のコツがあれば教えてください。

わび:
「大まかな方向が合っていればOK」と考えるようにしています。
 自分の経験からもつくづく思うのですが、小さなことでもストレスを感じる人は、すごく細かい矢印で将来の道筋を決めてしまっているんですよね。
 細かい矢印ばかり追いかけていると、ちょっとでもずれるとそれがいちいちストレスになってしまう。
「ああ、また回り道してしまった」「本当はこっちに行くはずじゃなかったのに!」と、人生に起きる全ての出来事が思い通りにならないと満足できない。
 だから、小さな矢印ではなく、大きな矢印で将来を見るのが大事で。
「この幅に入っておけばOK」くらいの心構えにするようになってから、私はかなりストレスが減りました。

──たしかに、毎回細かい計画を立てて、その通りにいかなくて焦ってしまう……という人は多そうですね。

わび:
私も社会人前半の頃は、うまくいかなくてストレスが溜まったり、小さなミスでいちいち落ち込んだりしてばかりでした。
今でももちろん、ミスをして焦ることはあります。
けれど、そんなときは、自衛隊時代の先輩に聞いた、「それって大勢(たいせい)に影響あるの?」という言葉を思い出すようにしています。

──「大勢」?

わび:
自衛隊ではよく使う言葉なんです。
要するに、そのミスは、全体の重要な方針に影響があるのか、確認しているわけですね。
 大勢に影響がないのならそれ以上追及しない。
影響があるのなら、速やかに是正、対処する。
 先ほどお話しした、「大きな矢印」の幅におさまっているならばOK、という考え方ですね。
 だから、パワハラに苦しんでいた7年前の私のように、今何か辛い出来事がある人、ストレスを抱えている人、疲労困憊している人がいるのなら、「人生の悩みのほとんどは、大勢には影響ないんだよ」と伝えたいです。
 仕事だって、「自分らしい人生を送る」という目的を達成するための手段の一つでしかない。
「今の仕事がダメだったら人生終わり」なんてことはありません。
 大きな目的に向かっていくためには、ときに戦略的撤退も必要なんです。
 私はメンタルダウンしてから復帰するまで、かなりの時間がかかりました。
「みんなから置いていかれる」と思い、無理して復帰してはまた体調を崩す、ということを繰り返していました。
 でも、そんなこと、「置いていかれるかどうか」なんて、気にしなくていいんです。
 人生の究極の目標は「本来の自分であり続けること」です。
今回の本が、少しでも多くの人の助けになることを願っています。

*『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』(わび著)

posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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