2022年06月14日

反ワクチン団体 神真都(やまと)Qとは何者か

反ワクチン団体「神真都Q」に潜入
ジャーナリストが突撃!その正体とは
2022.6.13 Diamondオンライン
横田増生:ジャーナリスト

ユニクロやアマゾン、ヤマト運輸に潜入したジャーナリストが、コロナ陰謀論を唱える反ワクチン団体「神真都(やまと)Q」に突撃取材を敢行!
一般人には理解不能な主張をする彼らの正体とは?(ジャーナリスト 横田増生)

「ワクチン接種反対」を掲げ押し入り
建造物侵入の現行犯で4人が逮捕
 私が「神真都(やまと)Q」を認識したのは2022年4月上旬のこと。
そのメンバーが、東京都渋谷区で小児用のワクチン接種が行われていたクリニックに、「ワクチン接種反対」を掲げ押し入り、建造物侵入の現行犯で4人が逮捕されたという新聞記事を読んだときだ。

神真都Qの「Q」とは、アメリカ発の陰謀論集団である「Qアノン」を意味している。
 神真都Qとは、「新型コロナウイルスは存在せず、ワクチンには毒性があり、日本の人口を削減するために悪用されている」との陰謀論を主張する反ワクチン団体だ。
 その基本となる考えとは、「大和民族は本来、いい宇宙人と龍神の遺伝子を受け継いでいるのだが、悪い遺伝子を持ったディープ・ステイト(闇の勢力)やイルミナティ(悪の秘密結社)による情報統制によってその能力が封印されている。
光の戦士である神真都Qのメンバーが、その眠ったDNAを覚醒することで、大和民族の真の力を目覚めさせる」――というもの。

 何を言っているのか見当もつかない人がほとんどかと思う。当然だろう。
 オカルト界隈ではスピリチュアル系の陰謀論とみなされているが、そうした分類以上に大切なのは、彼らが外部の人間には戯言(たわごと)にしか聞こえない言葉を信じている集団である、という点だ。
その神真都Qが、「“コロナのウソ”を暴く守護神」として奉るのがアメリカのドナルド・トランプ前大統領だった。
3月に東京都内で行われたデモ行進では、「We are Q(われわれは、Qアノンのメンバーである)」をしきりに連呼していた。

 現行犯逮捕の模様について、全国紙の社会部の記者はこう話す。
「当日は、ワクチン接種会場となった病院に約10人のメンバーが押しかけ、『治験が終わっていないワクチンを子どもに接種するのは犯罪だ』、『ワクチンの成分を開示せよ』、『院長と話をさせろ』などと騒ぎたて、ワクチン反対のビラを院内でまきました。
それが午前9時過ぎのこと。その後、警察が駆け付けたのが10時頃。それでも神真都Qのメンバーは病院から出ていかず、押し問答になり、11時前後に4人が現行犯で逮捕されました。
その後、神真都Qの本部や首謀者の自宅に家宅捜査が入り、関係書類やパソコン、スマホなどが押収されています」

 私は千葉県にある現行犯逮捕された60代の男の家を訪ねてみた。

首謀者は二世俳優
殺人未遂罪で有罪判決を受けたことも
 東京メトロ東西線の駅から歩いて10分ほどの2階建て建売住宅で、玄関には2台の自転車とカヌーボートが置いてあり、駐車場には日産自動車のミニバンが止めてあった。
チャイムを押すも、返答はなし。
その直後、自宅の電話番号に電話を入れると、女性の声が恐る恐るという感じで「はい?」とだけ返事があったので、取材で訪ねてきた旨を告げると、深いため息とともに、電話が切られた。

 現行犯逮捕の2週間後、首謀者である「イチベイ」も逮捕・起訴された。
その後、さらに3人の逮捕者を出し逮捕者は合計で8人となった。
 イチベイとは岡本一兵衛を名乗る人物で、本名は倉岡宏行(43歳)。10年以上前はVシネマに出演していた二世俳優で、父親は俳優の岡崎二朗。
イチベイは役者時代、映画製作会社の役員を刃物で刺し、殺人未遂罪で有罪判決を受けたこともある。

 現行犯逮捕劇の直後、まだ捕まっていなかったイチベイが、現場から逃走している場面をYouTubeに投稿していた。
「緊急ライブ配信 神真都Q 代表 岡本一兵衛」と題する映像で、坊主頭のイチベイが安っぽい青のスーツを着た上に赤のネクタイを締め、襟には「Q」のバッチを付け、襲撃したクリニックから足早に立ち去りながら、周囲を警戒して話している様子がうかがえる。
「現状を説明すると、クリニックに行って、治験も通っていないチクワン(ワクチン)を打っていることと、チクワンの中身を説明してくれということでお話をさせていただきました。
警察が来たので、一回ボクは外に出て、対応に回りました。
そこで警察が病院の中に踏み込み、4人を警察署に連れていきました。
警察は完全に違法なお縄(逮捕)を行いました。
ボクらは、逮捕された仲間を返してくださいと言って、今は警察の対応を待っているところです。
弁護士にも依頼して、警察に抗議をしてもらいました」

緊急ライブ配信は“敵前逃亡”?
神真都Qから離れるメンバーが続出
 この動画の一番の問題点は、クリニックに押し込んだ首謀者であるイチベイが、仲間が逮捕された現場から一目散に逃げているようにしか見えないこと。
首謀者の敵前逃亡だ。
神真都Qに詳しい人物は、「この映像が公開されると、神真都Qから離れていくメンバーが続出した」と話す。

 神真都Qが警察への抗議を依頼した弁護士とは、木原功仁哉(くにや)である。
木原はこう話す。
「メンバーの逮捕の実態は報道とは違っており、建物から出ていってくれとは言われていないのに、建造物侵入に問われている。
ワクチン接種阻止活動自体は“祖国防衛権”の行使なので正当防衛と考えられる。
さらには神真都Qが、反ワクチン運動のスケープゴートにされていると感じている」

 木原自身は神真都Qのメンバーではないが、国を相手取って新型コロナのワクチンの特例承認の取り消しなどを訴えている人物だ。
また、マスクをせずに飛行機に乗ろうとして搭乗拒否された広島県呉市市議の弁護も引き受けている。
反ワクチンと反マスク関連の訴訟を一手に引き受けている弁護士だ。

 神真都Qの連帯を呼びかける投稿が、ネット上で出回り始めたのが21年末。それが今年に入り東京や静岡、大阪、福岡などでも反ワクチンを掲げてデモを行うようになり、世間の注目を集めるようになった。
 神真都Qは逮捕される以前から、東京ドームや早稲田近辺のワクチン接種会場などでも同様の騒ぎを起こし、接種が一時中断に追い込まれる事態となっており、その頃から警視庁公安部がマークしていた。

静岡県焼津市では、複数の神真都Qのメンバーが接種会場に乗り込み、主催者が会場に入らないでくれと要望するも、「お前たちは殺人罪で逮捕されるからな」「われわれは世界で子どもを救う17億人の団体だ」などと大声で叫びながら、傍若無人に会場を歩き回る姿が映像に収められている。

>>6月14日(火)公開予定の(2)に続きます

posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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