2022年10月22日

【今さら遅い…】年齢を気にしてやる気がでない「アダルト挫折」を乗り越える方法

【今さら遅い…】年齢を気にしてやる気がでない「アダルト挫折」を乗り越える方法
『老いてきたけど、まぁ〜いっか。』著者・野沢直子 インタビュー
2022.10.21 ダイヤモンド社書籍編集局

仕事や子育てが一段落した50代、60代に訪れる無力感、虚無感……そんな「アダルト挫折」に、どう向き合えばいいのでしょうか。
人気絶頂の中、日本でのすべての芸能活動を休止し、渡米してから約30年。
その生き方と圧倒的な個性で注目を集めてきたタレント・野沢直子さんも、実は20、30代の頃、実は59歳で大きな壁にぶち当たったといいます。

還暦をまえにして「人生後半戦の生き方」について語ったエッセイ集『老いてきたけど、まぁ〜いっか。』も大きな話題を呼んでいる野沢さん。
今回は本書の発売を記念し、人生の苦境を乗り越えるためのヒントを、野沢さんにもらうことにしました。(取材・構成/川代紗生、撮影/榊智朗)

50代は、実は一番迷いが多い時期
──エッセイには、「きっと誰もがふと立ち止まって、人生を振り返ってしまう50代」と書かれていましたよね。
どんどん老いていくんだなあという実感が急に湧いてくる、と。

野沢直子(以下、野沢)
:いま、私59歳なんですけど、ちょうど28、29歳の頃と同じ感覚があるんですよ。

──同じ感覚?

野沢
:29歳、59歳って、がむしゃらにやってきたことが一段落するタイミングだと思うんです。
私の場合は、子どもが3人とも巣立ってしまって、ちょうど30代、40代でやってきた子育てに、区切りがついた。
子どもが巣立っていくのは喜ばしいことなのに、なんだか寂しい。
 おまけに、「人生100年時代」と言われてるじゃないですか。
ってことは、この野沢直子という人間と、あと30年くらいは付き合わなきゃいけない。
しかも、若い頃の自分じゃなくて、見た目も中身も劣化してきた、この先も劣化し続けるであろう自分との30年ですよ。
長いですよね(笑)。
 この状況って同世代のみんな、きついと思うんですよね。
子育てだけではなく、仕事も落ち着いて、第一線からちょっと外れたところにいる、という人も多いはずだから。

──なるほど。ちょっとした虚無感、と本にも書かれてましたよね。

野沢
:そうそう、そうなんです。
子育てに関してやることが何もないっていう状態で。
すごくバタバタしてたのに急にパっと立ち止まる瞬間がきちゃった。
あれ? いままで何してきたんだろう? 私、これからどうやって生きていけばいいんだろう?って、59歳のいまも、いろいろ考えちゃうんです。

お金や年齢を気にして何かを諦めることはあるか?
──実は、私の母がちょうど野沢さんと同じ歳なんです。
それで、仕事で新しい業界・新しい職種に挑戦したいという気持ちはあるけど、やっぱり「今さらチャレンジして失敗したら……」という不安もあるみたいで。
野沢さんは、お金や年齢を気にして何かを諦めることはありますか?

野沢
:そうですねえ。自分でも、おいおい大丈夫かよとよく思うんですけど、貯金が全然なくて(笑)。

──本当ですか。

野沢
:ほんとに、ほんとに(笑)。
ネットで「老後の貯金」と検索して焦ったりもするんだけど、父が亡くなったときにかかった費用と、あとは子どもたちのこととかで、結局いま、いちばんお金がない時期かもしれません。
もっと危機感を持たなきゃいけないとは思ってるんですけど、「どうにかなるんじゃない」ってずっと思ってて(笑)。
笑ってる場合じゃないんですけど。

──「貯金ないし、失敗したらどうやって生活しよう」とか、「この年齢でチャレンジしても今さら遅い」とか、考えることはありませんか。

野沢
:そうですね、あんまりいい加減なことは言いたくないんですけど、私は、やりたいと思ったことをやらないままにしておきたくないタイプなんです。
 もちろん、不安材料はあると思うんだけど、それはいくつになっても同じなんですよ。
絶対になくならないんです。不安材料って、20代でも50代でも、たぶんこれから先も、ずっと変わらずにある。

──たしかに。

野沢
:だから、私は、不安材料を理由にやらないことを決めてそのまま死んでいっちゃうパターンと、やってみて失敗して「あー、失敗しちゃった」ってなるパターンだとどっちがいいか、よく考えるようにしています。
 そのとき、いつも思うのは、「失敗した場合のリスクもある。『やっぱりチャレンジしなきゃよかった』みたいな後悔は、たしかに生まれるかもしれない。
でも、『成功するかもしれない』ってドキドキしながら過ごす数年も、すごく幸せな時間じゃないか。
だったら、やった方がいい」ってことなんですよ。
やっている「過程」の楽しさを加味すれば、 好きなことを選んだ方がトク

──そうか、成功するか・失敗するか、結果だけで幸せを判断してしまいがちだけれど、「チャレンジしている途中の期間」も総合して考えたら。

野沢
:そうなんです。人生で二択があったとき、どうしても「その道を選んでうまくいかなかった結果」のイメージにとらわれてしまいがちなんだけど、「チャレンジしている最中のワクワク感」も総合して考えると、案外、「もし失敗しても、こっちの方が幸せな時間長いじゃん」ってなることが多いんですよ。
 現状維持の道を選んだ場合、「結果」だけ見ればたしかにリスクはないかもしれないけど、「過程」に注目すると、「あれ、やっておけばよかったー」って常にモヤモヤし続けるわけじゃないですか。
人生後半戦の30年、モヤモヤすることに時間費やす方がずっとしんどいと思うんです。
 だから、私は失敗するかもしれなくても、やりたいことをやりたいって思っちゃう。
「どうにかなるよ」と無責任なことは言いたくないんですけど、私自身は、「どうにかなるよ」と思いながら生きていて。で、貯金してないんですけど(笑)。

──(笑)。

野沢
:だめかもしれないし、うまくいくかもしれない。それはもうフィフティ・フィフティだから、やってみないことにはわからない。でも「やってる過程のドキドキ感」は絶対に幸せをもたらしてくれるはずだから、それがだめだったとしても、総合的には「こっちを選んでよかった」と思えるんじゃないかなと。

──たしかに。いや、「達成した瞬間」にばかり注目していて、「目標に挑戦してる最中の時間」のことは考えてなかったです。

野沢
:それが、人間の醍醐味じゃないかと思うんです。
好きなことに挑戦している「過程」では、快感と小さな喜びを常に得られる。
ああ、今日はこれができるようになったとか、それにチャレンジしている自分自身のことを「好きだなあ」と思えるとか。  59歳、私達の年代になると、どうしても「死ぬのを待つ」みたいな感じになるんですよ。
でも、そういうドキドキ感がないまま過ごしてると、残りの人生全部が、本当に「死ぬのを待つための時間」になっちゃう気がして。
それなら、自分のことを好きになってから死ねるように準備しておきたいなあと、私は思うんですよね。

                                        【次回に続く】
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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