厚労省で「現代の奴隷制度」の議論が再浮上…
“労働者いじめ策”に驚きと怒りの声が広がる
11/30 日刊ゲンダイDIGITAL
厚労省の諮問機関「労働政策審議会」の分科会をめぐり、SNS上で驚きと怒りの声が広がっている。
29日の分科会で、2018年に成立した「働き方改革関連法」から削除された「裁量労働制」の対象拡大に関する議論が大詰めを迎えている、と報じられたためだ。
「裁量労働制」は、実際に働いた時間ではなく、労使で決めた時間を労働時間とみなす制度だ。
労働者が自由に働き方を決められる制度などとされるが、実際には、みなし労働時間を上回る長時間労働が課せられた上、給料はみなし労働時間分しか払われないというケースが少なくない。
また、本来であれば会社が指示してはいけないにもかかわらず、業務ノルマや残業を命じるといった不適切な運用も後を絶たない。
2018年には、「裁量労働制」を適用されていた三菱電機の技術系男性社員3人が長時間労働のため労災認定を受け、うち1人が過労自殺していたことが発覚。
「定額働かせ放題の制度」「残業代ゼロの制度」「社畜生産制度」といった批判の声が相次いだ。
安倍政権下でも「裁量労働制の対象拡大」が議論されていたが、「一般の労働者よりも裁量労働制の労働者の方が、残業時間が少ない」という厚労省のデータが「改ざん」されていた疑いが問題視され、国会審議が紛糾。
この時は取り下げざるを得ない状況となったのだが、そんな愚策が再び現実味を帯びてきたのだから、SNSで怒りの声が上がるのも当然だろう。
《実質賃金が減り続ける中で「定額働かせ放題」の議論とは正気じゃない》
《ただでさえ残業代が減らされているのに、まだ絞るの?》
《制度を悪用した会社を厳しく罰する仕組みをきちんと作れよ》
裁量労働制ユニオンの担当者はこう言う。
「労政審の議論がどこまで進んでいるのか分からない部分もありますが、裁量労働制の実態とは長時間労働の低賃金。私たちの調査では適正に運用されていないケースが少なくありません。
体調不良や過労死につながりかねず、制度の対象拡大は絶対反対です」
この国はなぜ、いつも労働者いじめの策ばかり出てくるのか。