値上げ慣れで価格転嫁が加速…2023年に悪夢の狂乱物価高がいよいよ始まる
2022/12/04 日刊ゲンダイ
「ブラボー」──。世界に衝撃を与えた大金星に列島は大騒ぎだ。
サッカーW杯日本代表の「奇跡のグループリーグ突破」に浮かれていられるのも今のうち。
今年一年の値上げラッシュは“ウオーミングアップ”のようなものだ。
来年は一段落どころか、さらに過酷な値上げとの“戦い”になる恐れがある。
1日に公表された帝国データバンクの調査結果によると、来年値上げする食品は11月末時点で4425品目に上る。
ピークとなる2月は冷凍食品、調味料、菓子類など3269品目が予定されている。
2月以外は、1月514、3月384、4月258品目だ。
驚かされるのは、値上げ幅だ。来年の4425品目の平均値上げ幅は17%に達し、今年通年より3ポイント高い。
今年は散々値上げが実施されたにもかかわらず、それを上回る幅とはどういうわけなのか。
帝国データバンク情報統括課の飯島大介氏に聞いた。
「今年の値上げは消費者側も企業側も“耐性”がありませんでした。
『十数年ぶりの値上げ』というケースも少なくなかった。
エネルギーや原材料の上昇に見舞われた企業はどう対応してよいか、戸惑いながら数%程度という最小限の値上げを実施した印象です。
ただし、例えば北陸電力が45%の値上げを申請しましたが、本来、それぐらいでなければ、コスト上昇分に追いつかないのです」
■値上げ慣れで価格転嫁が本格化
今年の価格交渉を通じて、企業がノウハウを身につけた面もある。
「物価高が長期化する中、値上げにある程度慣れた企業が、今年の価格改定でも追いつかなかったコストアップ分をカバーすべく、来年の値上げに動いている。
その結果、今年よりも幅が拡大していると言えます」(飯島大介氏)
加えて、エネルギーや原材料以外のコストアップについても、価格転嫁が進むという。
「コロナ禍からの経済回復で人手不足が深刻な中、食品会社は賃上げにより人を集めざるを得ない。
1ドル=130円を超える円安水準を踏まえた値上げが本格化するのも来年です。
来年は今年以上に消費者が負担を実感する年になりそうです」(飯島大介氏)
来年の価格アップは食品にとどまらない。すでに家庭用紙製品や文具などが値上げを打ち出している。
さらに春からは鉄道運賃が10円上がり、電力料金は政府の電気代支援を上回る3〜4割超の値上げが申請されている。
W杯の熱狂が冷めた後は悪夢の狂乱物価高が待っているのか。