自民・甘利明氏また放言大炎上!防衛増税「賢明な日本国民なら必ず理解」に透ける邪な思惑
2022/12/17 日刊ゲンダイ
「賢明な日本国民は必ず理解していただけると思います」──。
防衛費増額の財源をめぐり、自民党の甘利明前幹事長の放言が大ヒンシュクを買っている。
「防衛増税に反対する国民は賢明ではない」とでも言いたいのか。
それにしても、この男は何度炎上すれば気が済むのか。
◇ ◇ ◇
甘利氏の問題発言が飛び出したのは15日、自民党の税制調査会の会合後。
自民党内からも増税への反発が続出する中、甘利氏は「岸田首相は『決断できない』と言われるが、すごい決断をされた」「国際環境の変化と、われわれがなぜ対応しなきゃならないのかということはしっかり説明する」などと強調し、「賢明な日本国民」発言に至った。
案の定、ネット上は《賢明な国民ほど、今の時期に増税なんてアホな議論を理解できるわけがない》
《賢明な日本国民は選挙区で甘利を落とした》などと大荒れ。
もはや甘利氏は“炎上芸”が板についてきた感すらある。
「昨年10月の衆院選で、立憲民主党の新人に小選挙区で敗北して以降、甘利さんの影響力は、すっかり地に落ちています。
何しろ現職幹事長の小選挙区落選は自民党史上、初めてのことですからね。
安倍元首相や麻生副総裁とともに、頭文字を取って『3A』と呼ばれたのも今は昔。
数少ない子分である山際前経済再生担当相が、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着問題で更迭されたのも大きかった。
そもそも大臣ポストに山際さんをねじ込んだのも、甘利さんだと言われています。
岸田首相は、いまだに甘利さんに気を使っていますが、かつての勢いはありません」(永田町関係者)
“10増10減”のあおりで神奈川20区への国替え予定も苦戦必至
“上から目線”と場違いな言動でヒンシュクを買うのは、幹事長時代から変わらない。
今回の「賢明な日本国民」発言には、思惑もあるらしい。
「経産省内閣といわれた安倍内閣で、甘利さんは経産相や経済再生担当相を歴任した、いわば『商工族のドン』。
経産省に極めて近い立場で、法人税減税などを積極的に進めてきました。
一方、岸田内閣は財務省内閣とみられている。
岸田首相も財務省の意向に従って増税を推進している。
経産省に近い甘利さんが、岸田さんの防衛増税を“英断”と評価したのはある意味驚きです。
財務省寄りの主流派に舵を切ろうとしているのではないか」(自民党関係者)
甘利氏の地元・神奈川13区は、“10増10減”の影響を受けて区割りが改定され、分割される。
13区で敗北した甘利氏は、もはや13区の野党議員には勝てないと判断し、新設される20区へ国替えする予定だ。
しかし、馴染みの薄い新選挙区での戦いも苦しくなるのは間違いない。
「甘利さんは、岸田政権は解散を打たず、今後2年間存続すると考えているのではないか。
その間に、岸田首相にピタリと寄り添い、復権を果たそうとしているのでしょう」(前出の自民党関係者)
しかし、もし甘利氏を復権させたら、また岸田内閣の支持率は下落するのではないか。