不安を煽るCMに騙されないで…健康寿命を過ぎても元気な老人は意外と多い
2023年01月24日 SPA!
人生100年時代。
50歳ですら道半ばという長い余生は、喜ばしいどころか、不安でしかないという読者諸兄も多いことだろう。
しかし、「お金」「健康」「孤独」といった世間に蔓延している老後不安は本当に正しいのだろうか?
ウソに隠された誰も教えてくれない真実を解き明かす。
「男性は女性よりも早く寝たきりになる」そんな不安を煽る報道を目にした方も少なくないだろう。
それは必ずしも正しくないと専門家は指摘する。
◆年配者の不安を煽るCMに騙されないで
厚生労働省によると’19年時点で自立した生活が送れる健康寿命は男性72.68歳で女性75.38歳。
平均寿命は男性81.41歳で女性は87.45歳なので、差はそれぞれ約9年と約12年となる。
年配者の不安をあおる保険のCMも多いが……。
NPO法人「老いの工学研究所」理事長の川口雅裕氏は、 「健康寿命を過ぎても元気な方は多く、それを裏づけるデータもあります」 と否定する。
◆日常生活を一人で送るのが難しい人はイメージよりも少ない
厚生労働省「介護保険事業状況報告」によると、日常生活を一人で送るのが難しい要介護2以上の人の割合は70〜74歳で2.8%、85〜89歳でも22.8%しかいない。
「健康寿命における健康な人とは『あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか』との問いに対して『ない』と答えた人を指します。
あくまで主観的なので、調査時に偶然風邪をひいていたり、ちょっとしたケガをしていたような人が『いいえ』と答えることも多い。
全世代調査なので、『65歳の人が何歳まで自立した生活ができそうか』を知るためにはそもそも向いていません」(川口氏)
◆ほぼ平均寿命まで健康に過ごせるという調査も
「現在は核家族化が進み、自分のことは自分で世話をする高齢者も増えています。
高齢者の体力は年々向上しているというデータもあるくらいです。
厚生労働省の出す65歳の人の『日常生活に制限のない期間の平均』という別のデータによれば、男性が82歳で女性は85歳。ほぼ平均寿命に近いということになります」(川口氏)
ピンピンコロリも難しい夢ではなさそうだ。
◆★真実!自立した生活が困難なのは80代でも2割だけ
【NPO法人「老いの工学研究所」理事長 川口雅裕氏】 高齢期の暮らしに関するさまざまな研究を行っている。
著書に『年寄りは集まって住め 〜健康長寿の新・方程式』(幻冬舎)など
取材・文/週刊SPA!編集部
―[間違いだらけの[老後不安]]―