自宅の固定電話「いる、いらない論争」ついに終止符!3年間悩んだ末に「解約」してわかった、意外な「おとしあな」のヤバすぎる中身
鈴木 貴博 経営戦略コンサルタント
2023.01.25 現代ビジネス
自宅の固定電話には、セールス電話か迷惑電話くらいしかかかってこない。
重要なビジネス通話や家族や友達との電話はいまやスマホにかぎっている。
そこで経済評論家の鈴木貴博氏は3年前に固定電話の解約を決断した。
しかし、実際に解約する前になにか困ったことがおこりはしなかと検証する期間をもうけていた。
その結果、解約にふみきった鈴木氏は意外な「おとしあな」に気が付いた!
前編につづき、「固定電話いる、いらない論争」に終止符を打つ、3年間の検証結果をここに大公開する!」
固定電話の「解約」に3年かけました 今回の記事でどうしても皆さんにお話ししたいことは、「なぜ経済評論家が固定電話を解約するのに3年かけたのか?」という話です。
これから解約しようと考える方もいらっしゃると思うので、その理由と顛末を、ぜひお読みいただければと思います。
今、20代の方は固定電話を持たない方が大多数だといいます。
最初からスマホだけで固定電話を持たない方はそれで構わない。世の中はそういう仕組みになっていますから。
ところが私のような世代では生まれたときから家の中の重要インフラとして固定電話が存在してきました。
それがいきなりなくなったらどのような不具合があるのかまったく想像できなかったのです。
それで家族と話し合って、一年間、どんな使い方をするのかを記録してみて大丈夫だったら固定電話を解約しようと決めました。今から3年前の話です。
ふだん漠然と「セールスの電話しかかかってこない」と思っていたのですが、記録をしてみると想定外に重要なポイントがいくつか発見されるようになります。
固定電話が担っていた「意外な役割」
まず大きかったのが訃報です。
親戚の誰々が亡くなったといった遠い親戚からの重大な連絡はまず間違いなく固定電話にかかってきます。
固定電話をなくしてしまうと不具合がおきそうです。
そこで年賀状にひとこと「電話が変わりました。固定電話はかからないのでお手元の情報を書き換えてください」と添えて携帯番号を伝えるように変更しました。
まだ、解約する前ですが、先に告知をしてまわったわけです。
実はこの告知について念には念をということで2年目も固定電話を契約したまま年賀状で再度告知をしました。
直前に訃報が固定電話にかかってきたからです。
それでも2年目以降は重要な電話連絡はすべて携帯に入るようになってきました。
次に地味に困ったことがコールセンターへの問い合わせです。
一般の企業ではお問い合わせのフリーダイヤルは固定電話からしかかかりません。
携帯の場合は別の番号にかける必要があります。
まあ私の場合はスマホでかけ放題プランを契約しているのでその点は困らないのですが、本当に困るのはナビダイヤルです。 ナビダイヤルというのはお客様からのお問い合わせを本当は受けたくないと考える企業が好んで採用するサービスで、電話をかけるとお金がかかります。 それが例えば固定電話だと3分8.5円のところを携帯電話だと90円といった具合に値段が10倍以上に跳ね上がるのです。
ナビダイヤルに電話をするときは私の側はどうしても困ったときなので仕方がない。
それでも相手側はのんきなもので、「〇〇のご用件は2を、〇〇は3を押してください」みたいなアナウンスが延々と続いたうえでようやく目的の場所に到達すると、「ただいまお問い合わせの電話が大変混みあっています。順番におつなぎしますのでこのままでお待ちください」みたいにさらに待たされます。
そんなことでも割と重大な不具合が起きているときは仕方なく電話がつながるまで待つわけです。
用件が終わるまでに20分もかかれば、もしこれがスマホからなら電話料金は一回の問い合わせで600円を超えるところです。
年間3万円、解約したほうがぜったい「お得」
まだ固定電話の契約をしている時期ですからナビダイヤルへの長電話に関わる支払いも実際は50円ぐらいで済んでいるのですが、電話をかけるたびにどれだけ時間がかかったか記録はきちんと残しておきました。
わかったことは、多い時でナビダイヤルを使うのは年間3〜4回。スマホからかけたと仮定した場合でも通話料が4000円を超える年はありませんでした。
なんとなくものすごく損をする気分ではありますが、年間3万円の固定電話を解約するかしないかを判断する際の判断基準としては、解約したほうが安いというのが結論です。
もうひとつ、固定電話がなくなると困るのがファックスの送信です。
取引先にはいまだにファックスでの送信を要求してくる会社があります。
私の会社は10年前にいち早く固定電話を廃止したのでファックスの送信は帰宅後に自宅から送っていたのですが、自宅まで解約すれば、コンビニの「一枚50円」の送信のサービスに切り替わることになります。
さて、2年かけてだいたいそんなことがわかったのですが、私の場合、固定電話を廃止すると困ったことがおきる例外的なことがひとつあることが2年目の終わりごろになってわかりました。
海外の金融機関からの確認連絡が固定電話で登録されていたのです。
海外銀行に登録していた「電話番号」 これは私の特殊事情ですが、以前からグリーンカードを取得しようと海外に子会社を作ってアメリカの銀行と取引をしていました。
その際、たとえばビジネスで依頼した送金額が大きいなどの確認は折り返し先方から固定電話にかかってくるのです。
2年目の終盤にそのことがわかりました。
コロナ禍でずっと海外出張できなかったのでその落とし穴があることに初めて気づいたのですが、結論から言えば固定電話を契約しているうちにそのことに気づきスマホに取引先番号を変更することで問題は回避できました。
「ああ、いつもの詐欺メールかな」 と思い、余裕で携帯電話会社の公式サイトからログインしてみたところ、本当に電話代が支払えていないのです。
調べてみたところ支払いに用いていたクレジットカードが止まっていました。
これも実はクレジットカードが使えない旨のメールが来ていたのですが、同じような詐欺メールが大量に届くので気づきませんでした。
なぜカードが止められたかというと、その直前、キャンペーンがあって一般カードからゴールドカードにアップグレードしたのです。
ゴールドカードも手元に届いてその日から使えるという形ではあったはずですが、何らかの事情でカード会社が私に電話をかけてきた様子です。
そうしたら「この電話番号は現在つかわれてません」というアナウンスが流れたためにカード会社が安全のためにカードの利用を停止したというわけです。
そこで結局カード会社のサイトにログインして会員情報の欄を携帯電話に書き換えてカードも無事使えるようになったのですが、わかったことは昔から使っているカード会社、証券会社、銀行などすべての取引先について同じ手続きをしておかないと同じようなトラブルが起きかねないということです。
実は銀行については固定電話解約を検討している3年間に手続きは行っていたのですが、カード会社は想定から抜けていました。
高まる「携帯電話番号」の流出リスク
もうひとつ、固定電話を廃止して困ったことは携帯電話番号をそこらじゅうで書かなければならなくなるということです。
ネットで新しいサービスに新規登録するとか、何かのキャンペーンに応募するとか、何かのアプリ会員になるとか、どこかに宅急便を送るとか、日本人として生活していて何かのフォーマットに記入するときは必ず電話番号の記入欄があります。
これまでそんなときは固定電話の番号を記入していました。
それで思うのですが、個人情報保護法でそういった情報を目的外に利用するのは禁止されています。
しかしこれまで固定電話にセールスの電話が頻繁にかかってきていたというのはそこには何らかの関係があるはずです。
合法的な場合としては「そのサービスに合意します」として書いた申込書のどこかに「いただいた個人情報はコレコレしかじかの弊社グループの営業に使うことがあります」と銘記されていたのかもしれません。
ないしはそんな法律は守る気がないひとたちの手に電話番号が渡ったのかもしれません。
なぜ・・・?
携帯電話に「セールスの電話」 実は最近、私の携帯にセールスの電話がかかってきたのです。
なぜ電話がかかってきたのかは心当たりのある先からのセールスの電話でした。
キャンペーンで応募したことで、同じ会社の新製品を売り込んできたのです。
それはいいとして、これからはそういったことが増えるのでしょうか。
そして冒頭にお話ししたように、この先は、まったく見知らぬ会社からセールスが、携帯電話にかかってくるようになるのでしょうか。
このあたり、何が起きるのかはわからないなと正直思いました。
まじめな話ですがこういった申込書に記入するためだけの目的でもう一台、月額980円の楽天携帯あたりをもう一回線契約するか?と真剣に検討しています。