2023年02月11日

「自衛隊かわいそう論」の大嘘 トイレットペーパーも足りない、を信じてはいけない

「自衛隊かわいそう論」の大嘘 トイレットペーパーも足りない、を信じてはいけない
文谷数重/元3等海佐・軍事研究家
2/10 日刊ゲンダイ

自衛隊員の待遇は、本当に悪いのだろうか。
「自衛隊かわいそう論」がある。
官舎はボロく、職場には冷暖房もない。コピー機やトイレットペーパーも足りない。
その改善のためにも、防衛費増額が必要だ、とする内容である。

はたして、この主張は正しいのだろうか。
結論からいえば信じてはいけない。
いずれも防衛側の怠慢か嘘である。

まず、官舎は他の国家公務員と同じレベルだ。
宿舎法の規定から横並びである。
古い官舎だとしても、海自と空自の官舎は、それほど悪くはない。
サッシを交換する、フローリングに張り替える、風呂釜を交換するとマメに手を入れているからだ。
ところが、陸自はマメな手入れをしない。
たまに官舎まるごとの大規模改修をするだけだ。
そこから漏れる官舎はボロいままだが、それは自業自得である。
亀裂だらけの官舎という風説もあるようだが、それもありえない。

産経系メディアでは「外壁にひび割れがある官舎」の写真が出てくる。
そして危険であると主張している。 フェイクである。
外壁補修中の写真を出しているだけだからだ。
幅1ミリもない亀裂について、雨水の通り道とならないように黒色のゴムで止水した状態だ。安全性には全く問題はない。
また仕上げに外壁塗装をするので亀裂跡も残らない。

他例も同様である。
冷暖房、コピー、トイレットペーパーが不足するのは陸自だけ。
海、空では使い放題である。
理由も、やはり陸自の自業自得だ。
まずは予算配分の問題がある。
これらは庁費や雑運営費ほかの予算で賄うが、陸自は中央が吸い上げる。
地方部隊に十分な額を渡していない。
その使い方も悪い。

トイレットペーパーでは、関東や北海道の地方単位で高値で一括調達する無駄があった。
その上、輸送費を使い倉庫から各地の部隊に渡していた。
しかも、現地部隊にはカツカツな量しか渡さない。だから品切れが起きるのである。

当然だが、一度でもなくなると隊員はため込む。
用心して自分用に1巻2巻を失敬する。
そうなると、部隊中から紙がなくなる悪循環に陥るのだ。

自衛隊かわいそう論は嘘でしかない。
人情を利用して防衛費増額を迫る悪質詐欺であり、だまされてはいけない。
      =つづく
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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