2023年03月07日

今49歳以下の人は年金が半分に…荻原博子「老後の不安をなくすために今から絶対にやっておくべきこと」

今49歳以下の人は年金が半分に…荻原博子「老後の不安をなくすために今から絶対にやっておくべきこと」
2023年03月06日 PRESIDENT Online

老後の不安をなくすために、今からやっておくべきことは何か。
経済ジャーナリストの荻原博子さんは「物価が上がっても、それほど年金額は上がらない。給料が下がれば、年金額も下がるようになっている。
49歳以下の年金額は、現在もらっている人の半分になる可能性もある」という――。
※本稿は、荻原博子『知らないと大損する老後の「お金」の裏ワザ』(SB新書)の一部を再編集したものです。

■高齢者の過半数は年金頼みの生活をしている
豊かな老後を迎えるためには、年金の範囲内で暮らせる家計にしておくということが大切です。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2019年)を見ると、年金などをもらっている高齢者世帯のうち48.4%が、公的年金や恩給だけで暮らしています。
つまり、高齢者の約半数は、支給される年金などの範囲内でなんとか生活をしているのです。
年金や恩給で8割以上の生活を賄っている世帯まで含めると、約6割の人は年金頼みの生活をしているということ。

ですから、年金の範囲内で生活するのは、そんなに珍しいことではないのです。
しかも、これからはパートで働いている妻も、厚生年金に加入して年金保険料を払うようになるかもしれません。
そうなると、家計全体でもらう年金額も増えます。
ですから、通信費や電気代など、家計の出費で削れそうなところは、どんどん削って、家計をスリムにしておけば、年金だけで暮らせないことはないのです。
家計をスリムにしておけば、夫の年金が多少目減りしても、なんとかやっていくことはできるでしょう。
それでも年金だけで暮らすのが難しそうなら、なるべく長く働くことを考えましょう。

■「借金減らして、現金増やせ」日本企業の危機管理を見習う
豊かな老後を迎えようと思ったら、今のうちにしっかりやっておかなくてはいけないのが、借金の返済です。
「借金」がローンという名称に置き換わり、「前借り」がクレジット、「寸借り」がキャッシングという呼び方に置き換わったことで、借金への抵抗感が希薄になってしまっているような気がします。
けれど、どんな呼び方をしようと、借金は借金。
どんなことがあろうとも、将来、必ず返さなくてはいけないお金です。

それも、利息を付けて! 金融広報中央委員会の調べ(2021年1月公表)では、借金がある世帯の平均値は1609万円。中央値は1200万円。年代別に見ると、40代が平均値で2058万円(中央値1700万円)、50代が1316万円(中央値1000万円)でした。
ですから、まず、しっかりと借金を減らすこと。そして、できるだけ現金の貯金を増やしておきましょう。
イザという時のために、収入1年分くらいの現金は確保しておきましょう。

実は、バブルが崩壊して以来、ひたすら「借金減らして、現金増やせ」を続けてきたのが、日本の企業です。
企業は、バブル崩壊で大打撃を受けたので、イザという時の危機管理に目覚め、ひたすら不良債権という借金を処理し、内部留保という現金を増やしてきました。
結果、日本の企業の財務体質は改善し、今回のようなコロナ禍でも、ビクともしない財務体質になったところが少なくありません。
家計も、こうした企業の危機管理方法を見習うべきでしょう。

■49歳以下の年金額が半分になる可能性
将来、みなさんは、どれくらいの年金を受け取れるのでしょう。
50歳になると、60歳まで加入した場合の年金額が書き込まれた「ねんきん定期便」が送られてきて、それを見れば、どのくらいの年金をもらえるのか見当がつきます。
ここで大切なのは、送られてきた「ねんきん定期便」で、自分の年金情報が正確かどうかを調べること。
実際に勤めて保険料を払っていたはずの時期が記載漏れになっていると、もらえる年金額が減ります。
特に、厚生年金から国民年金へ、国民年金から厚生年金へと替わった時に空白がないかはしっかりチェックし、間違いがあったら訂正しておきましょう。

ただ、49歳以下の方は、50歳以上に比べるともらえる年金額は流動的だと思ったほうがいいでしょう。
「ねんきんネット」に自分の情報を打ち込んで、ざっくりともらえそうな年金を調べることもできますが、49歳以下だと、そもそも年金をもらう前に、制度そのものが変わってしまう可能性があります。

たとえば年金の支給年齢ですが、今の65歳の支給から70歳に引き上げになっているということは、充分に考えられることです。
支給年齢が上がるだけでなく、もらえる年金額も下がる可能性があります。
物価が上がっても、それほど年金額が上がらないだけでなく、2016年の改正で、働く人の給料が下がれば、年金額も下がるようになっているからです。
ですから、実質的な年金額は、もしかしたら現在もらっている人の年金額の半分くらいになっている可能性もあります。

こう書くと、なんだか絶望的な気がしますが、この世代は、共働きが多いことが幸いしています。
特に奥さんがパートで働く人が多く、パートは、年収106万円を超えると、2024年10月以降は従業員51人以上の企業には、厚生年金への加入が義務付けられます。
ですから、2人で働いて厚生年金に加入する人がかなり出てくることが予想されるので、その分年金額も増えるでしょう。
2人で働けば、なんとかなるのです!

■70歳に繰り下げ受給で月4万2000円増える
年金は、基本的には65歳からもらえますが、希望すれば、60歳から75歳の間で、好きな時にもらいはじめることができるようになっています。
65歳より早くもらいはじめることを「繰り上げ受給」といい、65歳より後にもらいはじめることを「繰り下げ受給」といいます。
65歳より早くもらう「繰り上げ受給」では、支給時期が65歳よりも1カ月早まるごとに年金額が0.4%減額されます。 通常は65歳にもらう年金を、60歳からもらいはじめるので、65歳からもらいはじめるよりも24%(0.4%×12カ月×5年)支給額が減るということです。
65歳で月10万円の年金をもらう人なら、60歳でもらいはじめると、支給額が月7万6000円に減ってしまうということです。
逆に、65歳よりも遅くもらう「繰り下げ受給」では、支給時期が1カ月遅くなるごとに年金額が0.7%ずつ加算されます。
70歳からもらいはじめると、42%(0.7%×12カ月×5年)支給額が増えます。
65歳で月10万円もらう人なら、70歳まで支給を遅らせると、70歳から死ぬまで月14万2000円もらえるということ。
75歳から年金をもらうとすると、84%(0.7%×12カ月×10年)支給額が増えます。
65歳で月10万円もらう人なら、75歳まで支給を遅らせると、死ぬまで月18万4000円の年金をもらえるということです。

■「いつから年金をもらうか」の最終結論
では、実際には何歳からもらいはじめたらいいのでしょうか。
年金は、死ぬまでもらえるものなので、長生きすればするほどたくさんもらえるというのが基本です。
そして、いつまで生きられるかは、「神のみぞ知る」ですが、男性の平均寿命は81.64歳、女性は87.74歳。 ただ、たくさん年金をもらっても、それを楽しく使えないと意味がありません。
介護の必要がなく健康的に生活できる「健康寿命」というものがありますが、これは、男性が72.68歳、女性が75.38歳。 ですから、75歳から増えた年金をもらっても、もしかしたら楽しく使うことができないかもしれません。
こうしたことを念頭に、自分がいつから年金をもらうかを考えてみましょう。

■子供にはしっかり自立してもらう
政府の調査では、求職活動も家事の手伝いも通学もせずに自宅にいる満15歳から満39歳までの人が増えているのだそうです。
家から一歩も出ない人は約17.6万人。
普段は家にいるが、自分の趣味に関することだけ出歩く人は36.5万人で、合計すると54.1万人いるそうです。
病気やけがなら、治るまで親が面倒を見てあげなくてはなりませんが、そうでなければ、子供が自分で生きていく力を身に付けさせないと、将来は、親も子供の面倒を見きれず、共倒れになってしまう可能性があります。
そうはいっても、引きこもりの子供を、無理やり外に出すのは難しい。

だとしたら、せめて家にいてもいいからお金を家に入れさせてください。
3万円でも5万円でもいいので、最低限の稼ぐ力を身に付けさせましょう。
今は、インターネットの世界にも、稼げる仕事がたくさんあります。

たとえば、「クラウドソーシング(crowdsourcing)」。ネットを通して不特定多数の人(crowd)に業務委託(sourcing)するマッチングサイトで、仕事をやってほしい企業と仕事をやりたい人の出会いの場となっています。
世界最大の「クラウドソーシング」は「Upwork(アップワーク)」というサイトで、約1000万人の人が登録し、約400万社の企業が仕事の発注をしています。
日本にも、クラウドワークスやランサーズなど、たくさんのサービスがあります

コロナ禍でリモートワークが進む中、人と会うのが煩わしいという人にとって働く環境ができつつあるのです。
また、外に出て働くにしても、深夜のガードマンやトイレ掃除など、人に会わずに黙々とできる仕事はあります。
こうした仕事で少し生きる自信がついたら、ハローワークなどを通して、もう少し人と接する仕事を探すといいでしょう。 49歳以下の方であれば、厚生労働省の委託を受けたNPO法人や企業が、就職支援をしている「地域若者サポートステーション」という施設も利用できます。

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荻原 博子(おぎわら・ひろこ)
                    経済ジャーナリスト
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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