2023年04月09日

"朝風呂"に3つの健康リスク

"朝風呂"に3つの健康リスク
池谷 敏郎 : 医学博士/池谷医院院長
2023年04月08日 東洋経済オンライン

生活習慣病、血管、心臓など内科・循環器系のエキスパートで「血管の名医」として知られ、日々多くの患者と接する医学博士の池谷敏郎氏。
テレビ番組『あさイチ』(NHK)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)やラジオ番組などに多数出演し、楽しくわかりやすい解説が好評を博している。

過去15キロ以上の減量に成功し、その減量メソッドを全公開した15万部のベストセラー『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』に続き、『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える 「100年心臓」のつくり方』を上梓した。

「人生100年時代」を最期まで元気に満喫できるかどうか健康長寿のカギを握る「『心臓の健康』にいい生活」を、運動、食事、メンタルなどなどあらゆる観点から解説し、「100年もつ心臓」を作るための秘訣を全公開した1冊だ。
同書は発売わずか6日で3刷2万部を突破するなど、大きな話題を呼んでいる。

その池谷氏が「シャワーも危険『朝、風呂に入る人』が知らない3つの健康リスク」について解説する。

実は「健康リスク」が潜んでいる「朝風呂」
「起きてすぐシャワーを浴びる」「お風呂は夜ではなく朝に入る」など、「朝風呂」をしている人は少なくありません。
私は長年、血管、血液、心臓などの循環器系のエキスパートとして数多くの患者さんたちと接してきましたが、そのなかにも同じように実践している人もいます。

お風呂やシャワーで体を温めるから、「体によさそう」と思われがちですが、実はその「朝風呂」で、かえって心臓に負担をかけてしまっていることがあるのです。
では、シャワーも含めた「朝、風呂に入る人」が知らずにいる「健康リスク」とはどのようなことでしょうか。
多くのリスクが考えられますが、ここではそのなかの3つを紹介します。

ひとつめは、「油断すると『脱水』『立ちくらみ』を起こす」ということです。
「入浴前」と「入浴後」は「水分補給」が必要
【リスク1】油断すると「脱水」「立ちくらみ」を起こす 入浴前と入浴後で注意が必要なのが「水分補給」です。
入浴中はかなりの汗をかくので、きちんと水分補給をしないと「脱水症状」を起こしてしまうからです。
外出するときなど、普段の生活では注意する人も多いですが、入浴時は意外と見落としがちです。
また、お風呂から上がった瞬間、ふっと「立ちくらみ」がしたという経験をされた方も少なくないと思います。
熱いお風呂に入ったり長時間湯船につかったりして、血圧が下がった状態で急に立ち上がると、脳に十分な血液が行きわたらず、立ちくらみのような状態になるのです。
とくに夏場のお風呂では、「脱水」と「立ちくらみ」になりやすいので、注意が必要です。
これらは「朝風呂」に限ったことではありませんが、これから1日の活動を始めるという朝に、体に不調をきたさないよう十分気をつける必要があります。

【リスク2】「空腹時」は「めまい」も起こしやすい 「空腹時」にお風呂に入ることも「めまい」を引き起こしやすいのでNGな行為です。「空腹時」にお風呂に入ると、血圧が下がりやすくなるからです。
「空腹時」は「脱水状態」にもなりやすくなります。血管内を流れる血液の水分量が少なくなることで、血管内圧である血圧が低下します。
血圧の低下は、体の上に位置する脳への血流不足を招きます。
この状態は「めまい」だけでなく「失神」も起こしやすいので注意が必要です。

朝から飲酒する人はほとんどいないと思いますが、これに関連して付け加えると、血圧が下がってしまうということでは「飲酒直後」もNGです。
アルコールには「血管拡張作用」があるからです。
「空腹時」や「飲酒直後」の入浴は、季節に関係なく注意しなければいけません。1年中の注意事項です。

3つめは、「実は『朝風呂』は『ストレス』をかけている」ことです。
【リスク3】実は「朝風呂」は「ストレス」をかけている これまで「血圧を下げてしまう」ということで「朝風呂の入り方」の注意点を紹介してきましたが、「血圧の急上昇」も要注意です。
そして、これは「ストレス」にもつながるので、心臓に負担がかかります。
たとえば、とくに冬場は、朝の脱衣所や洗い場は寒く、「血圧が上昇」します。
続いて熱い湯船に入れば、力みと湯の熱さの刺激で「血圧が急上昇」してしまいます。
冬は寒い脱衣所から急に熱い湯船に入れば、力みと湯の熱さの刺激で「血圧が急上昇」し、心臓に大きな負担がかかる。
夏の冷たいシャワーも寒冷刺激で「血圧を急上昇」させやすいので要注意。

「朝風呂」は入り方ひとつで、心臓に「やさしく」もなり「ストレス」にもなる(イラスト『「100年心臓」のつくり方』より)
また、夏は暑いからと冷たいシャワーを浴びがちですが、寒冷刺激は「血圧を急上昇」させやすいので注意が必要です。
つまり、「朝風呂」の入り方ひとつで、心臓に「やさしく」もなり「大きな負担」にもなるということです。

「朝風呂」の入り方には、行動一つひとつを気をつける必要があります。

では、心臓に負担の少ない、「心臓にやさしい入浴法」とは、どのようなものでしょうか。

【おすすめの入浴法】
2つの「池谷式入浴法」で健康リスクを回避
私がおすすめしている方法は、「オヤジっぽく入る」「年寄りっぽく出る」というものです。

「オヤジっぽく入る」とは、湯船につかるときは「あ゛〜〜〜〜♪」と言いながら、脱力して入ることです。
よく温泉などでおじさんが言いながら入っていますよね。あんなイメージです。
勢いよくドボンと入ると、血圧が急に上がってしまいます。ゆっくり入ることで、血圧の急上昇を防ぎます。

「年寄りっぽく出る」とは、お湯から上がるとき「どっこいしょ」と言いながら、ゆっくり出ることです。
膝に片手を当て、他方の手で浴槽のふちか手すりをつかみ、軽く腰を曲げ、頭を下げ、「どっこいしょ」と言いながらゆっくり立ち上がって、お風呂から出ます。

湯船から立ち上がるときに、「立ちくらみ」の症状を起こす人もいます。
お湯で温まって血管が拡張し、血圧が下がった状態でいきなり立ち上がると、頭に血液が行かずに「脳の血流不足」を起こしてしまうのです。
魅力的ではない方法かもしれませんが、「心臓にやさしい入浴法」として、ぜひ試してみてください。

「心臓にやさしい入浴法」で「心臓の健康」を保とう
「血圧の急上昇」は、血管と心臓に負荷をかけ、「血圧の過度の低下」は、血管内を流れる血液を停滞させ、血栓のリスクを高めてしまいます。
このような「リスクを回避する方法」を知り、心がけていけば、「心臓の健康」も維持できます。
みなさんも「心臓にやさしい入浴法」を実践して、人生100年時代を最期まで満喫できる「100年心臓」を、ぜひ手に入れてくださいね。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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