預貯金より投資優先は大間違い! まずは家計を見直し貯める仕組みを作る【カンタン貯蓄 目標3年で300万円!】
2023年05月 23日 日刊ゲンダイ
【カンタン貯蓄 目標3年で300万円!】
金融庁が「貯蓄から投資へ」を掲げたのは2003年。
以来、証券税制をはじめさまざまな改革が行われ、岸田政権下では「資産所得倍増プラン」も発表された。
投資をしないといけない風潮は、より高まっている。
金融機関にお金を預けてもほとんど増えず、無料時間外にATMからお金を引き出せば、利息を大きく上回る手数料が差し引かれる。
やはり預貯金よりも投資を優先すべきと考えたくもなる。
では、預貯金がない、少ない状態でも投資をしたほうがいいのか。 答えはNOだ。
「急にまとまったお金が必要になったときを考えればわかります。
預貯金があれば、すぐに対応できます。
しかし、株式や投資信託、つみたてNISAなどで運用していては、即日現金化はできません。
売り注文を出した当日に約定しても、売却代金が自分の証券口座に入るのは、約定当日を含めて3営業日後。
しかも、証券口座から自分の銀行口座に出金させなければ、現金化はできません」(金融機関関係者)
預貯金でお金を貯めるのが最優先なのだ。
その目安は、最低でも生活費の半年分。収入が途絶えても生活できる最低限の金額が目標だ。
「預貯金がないのであれば、真っ先に家計を見直す。
お金を貯める仕組みをつくることです。
投資はその仕組みの延長線上にあります。
これがない状態で投資をはじめるのは非常に危険です」
自分に最善のお金を貯める仕組みをつくり、無収入でも半年程度は生活できる金額を蓄える。
投資は、その後に考えればいい。
「その際に大切なことは、預貯金も投資も、ライフプランに基づいたものであることです。
どんなプランを持つかで、預け先や投資先の選択と金額が決まるのです」
投資にはリスクがあり、簡単にはお金は増やせないことを自覚する必要もある。
それは、巷に横行する投資詐欺からの防御にもなる。
「投資は長期が基本。経済は好不況を繰り返して、緩やかに成長します。
長期投資で、その果実を確実に収穫するのです」
ライフプランをベースに、まずは預貯金で着実に貯める。これが何よりも大事なのだ。
(経済ジャーナリスト・山下知志)