「沖縄戦の教訓を守って」 自衛隊増強、地上戦体験者が声明
2023/1/13 毎日新聞
政府が台湾有事などを念頭に沖縄県や鹿児島県の南西諸島で自衛隊の増強を進めていることに対し、太平洋戦争末期の沖縄戦に動員された沖縄県内21の旧制師範学校や中学校、高等女学校の元学徒らでつくる「元全学徒の会」(与座章健さんら共同代表)は「再び沖縄を戦場にすることに断固反対する」とした声明を発表した。
声明は12日付。78年前の沖縄戦では10代の学生たちが日本軍の陣地構築や負傷兵の看護などに駆り出され、米軍との激しい地上戦で多くの犠牲者が出た。
声明では「正義の戦争だと教え込まれ、知らないうちに戦争に加担させられた」とし、政府が反撃能力の保有や防衛費の増額、自衛隊と米軍の一体化を図っていることを「『中国脅威論』を盾に、国民の緊迫の度を高め、自ら戦争を引き起こそうとしているような状況と戦前が重なる。
軍拡ばかりが前面に押し出され、住民の被害に対する思いはみじんもない」と批判した。
さらに「戦争には悪しかない。爆弾で人間の命を奪うだけである。
命を何よりも大切にすること、平和が一番大切だという沖縄戦の教訓を守ってもらいたい」とし、「今、日本政府がすべきことは、侵略戦争への反省と教訓を踏まえ、非戦の日本国憲法を前面に、近隣の国々や地域と直接対話し、外交で平和を築く努力である」と訴えた。
【喜屋武真之介】