1機300億円の「国産哨戒機P1」は飛行中にエンスト 半数は飛行不能状態
文谷数重 元3等海佐・軍事研究家
2023/07/12 日刊ゲンダイデジタル
政府は国産兵器の生産拡大に躍起である。
「防衛産業は防衛力そのものである」方針から産業支援し、国内兵器生産を強化しようとしている。
しかし、国産兵器は日本の防衛のためにはならない。
日本製兵器の実態からすれば逆に足を引っ張る存在である。
自衛隊からすればいい迷惑でしかない。
国産兵器は性能3流であり問題が多いからだ。
それでいて価格だけは世界一なので数が全く揃わない。
国民にとっても防衛費の無駄づかいである。
実例は無数にある。いくつか紹介しよう。
最も有名な国産ダメ兵器は62式機関銃である。
フシダラな出来であり褒める話は絶無である。
「引き金を引いても弾丸が出ない」だけではない。
発射しても連発が途中で止まる、逆に引き金を戻しても連発が止まらない問題がある。まったく信用できない兵器なのだ。
国産戦闘機F2では、わざわざ国産化の手間をかけた上で高額兵器を造る無駄をしている。
米国製F16のコピーだが最終価格は3倍の150億円となった。
アルミ製の機体を日本航空産業の都合でカーボン繊維で造り直したため購入価格は100億円となった。
さらにコピーに際しては再設計で1機あたり50億円もの開発費もかかっている。
現状の対中劣勢も、F2導入の影響が大きい。
価格3分の1のF16にしておけば3倍の数は買えた。
戦闘機の数の比率は今の対中2割ではなく、対中4割を維持できたはずである。
目下、大炎上中の案件は国産哨戒機P1である。
1機300億円の高価格に加えてそもそも飛ばない。
飛行場にあるP1の半数はステータス・ズールーという飛行不能状態にある。
肝心の国産エンジンがどうしようもない。
試験飛行の段階でエンストした素性の悪さがある。
また各部の故障が頻発する問題もあり、今では根本部品の強度不足の話も出ている。
不安を抱えているので海外には出せない。
実際に完成お披露目でパリのエアショーに出そうとしたが、機体トラブルでフランスにはたどり着かなかった。
それから6年経つがソマリア沖の海賊対処にも出せていない。
国産哨戒機P1は、性能も芳しくない。
肝心の潜水艦探知能力はいまひとつらしい。
また操縦操作にも難があるといわれている。
新型ミサイルの搭載対応でも先を行く米国製P8哨戒機に大きく遅れている。
自衛隊員に「P1のよかったところは」と聞いても「国産にしなければよかった」「石破大臣の意見どおりP8にすればよかった」と言われる始末である。