2023年07月23日

「もしかして認知症かも?」初期症状のサインとなるたった1つの口癖とは

「もしかして認知症かも?」初期症状のサインとなるたった1つの口癖とは
7/22(土) ダイヤモンドオンライン

 老いてきた親とのコミュニケーションは非常に複雑で繊細です。
相手のことを思って言った一言が引き金となり「年寄り扱いするな!」「死ねってことか!」とかえって揉め事になってしまうケースは少なくありません。
免許返納や認知症検査、デイケアサービスの提案など、親の自尊心を傷つけずに自分の意見を伝えて話し合いに持っていくのには時間がかかるものです。
こういったコミュニケーションが上手くいかず親は子どもに対し「年寄り扱いされた」、子どもは親に「意地になって話も聞いてくれない」と親子の関係が拗れてしまうことも少なくありません。
今回はこういった悩みを少しでも解決すべく、これまでのべ50万人を支援してきた行列ができる介護・リハビリ施設の創業者である萩原礼紀氏の記事をお届けします。

認知症初期症状のサインとなる口癖
 認知症初期症状のサインとなる言葉があります。
それは「知らない・していない」です。
単純な否定形の反応は初期の認知症の特徴として認められます。
 必要以上に敏感になる必要はありませんが、「知らない・していない」は何気ない日常に潜んでおり、つい見落としてしまいがちです。
たとえば、次のような会話はどうでしょうか?

あなた:テーブルの上のケーキ食べたのお母さん?
親 :知らない。

あなた:トイレ使ったら水流しておいてよ!
親 :使ってない。  

あなた:テーブルの上のケーキ食べたのお母さん?
親 :違うわよ。

あなた:トイレ使ったら水流しておいてよ!
親 :流さないなんてことあるわけないでしょ。

 ピンと来る人ももしかしたらいるかもしれません。
 何かの問いかけに対して回答を出す際に、自分の頭の中の記憶を思い返して判断するというプロセスを踏んでいる場合は、ただの「記憶違い」であって認知症ではありません。
その場合の返答はほとんどの場合、「違う・そんなことない」です。

 しかし、このように実際の行動を思い返さずに返答をしている場合は「記憶違い」ではない可能性があります。

では、「知らない・してない」と「違う・そんなことない」はどう違うのでしょうか?

● 「知らない」と「違う」の差
 私は「知らない」私は「していない」はどちらも「私(親自身)」中心のメッセージです
ここでは「自分メッセージ」と呼びます。
 「自分メッセージ」は私が「そう思ったら、そう」という自己完結型の思考から生まれます。

一方、「違う」と「そんなことない」は何かと比較しての言葉です。
何か(例えばAとB)を想起し、それらは同じでない。だから違うという言葉となります。
自分なりに違うという根拠を持っています。

 つまり、「知らない、してない」も同じような意味として受け取ってしまいがちですが、実はメカニズムがまったく違うのです。

 まとめると、サインを見極めるポイントは「私(親自身)」が中心で発している「自分メッセージ」なのか、周囲や前後の状況を想起した返答なのかというのが認知症の初期症状を疑うポイントです。

● 認知症とは、「自分の世界で生きている状態」
 認知症になると、一般的にものを見てわかるはずが、わからない。
状況的に見て行動したはずが、やってない。と答えるようになります。
 たとえば、失禁した下着をタンスの裏に隠すケースでは、下着の中で漏らすのは良くないことだと理解しています。
しかし、粗相をしてしまった。
そんな「都合の悪いこと」は「私(自分の世界)」では認められないのです。
悪臭で下着が発見され、下着の名前や状況から誰がやったのか明らかになってしまいますが、自分を取り巻く環境、背景までは考えられないのが認知症です。

 複雑な、あるいは論理立った段階的な思考プロセスは踏めずに、短絡的、直線的な思考と判断がされてしまいます。
決して善悪の判断がつかないわけではありません。
 しかし、認知症で社会性が乏しくなると、他の誰かにとって不都合であっても「私」が優先されます。
 もし、親から「知らない・していない」という発言を聞く機会が増えてきたら、反射的な回答をさせる前に、親に対して質問の意図を説明し、前後の記憶や状況について考えてもらうように優しく誘導してみてください。

親には悪気などありません。
 認知症が進行していくと感じたら、早めに受診して認知症検査を受けるか、最寄りの地域包括支援センターに、今後どうすべきかの相談をしてみると良いかもしれません。
一人で悩むよりも、まわりの人に相談しながら対応していくのがいいでしょう。

       萩原礼紀
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック