2023年08月09日

冷えすぎに要注意...夏バテの原因「自律神経の疲れ」が和らぐ8つの習慣

冷えすぎに要注意...夏バテの原因「自律神経の疲れ」が和らぐ8つの習慣
8/8(火)  PHPオンライン衆知

暑さで食欲がわかず、取れない疲れにグッタリ...。
そんな夏バテの原因には「自律神経の乱れ」が潜んでいます。
正しい対策をとって夏の不調を予防・改善しましょう!
医師の川嶋朗さんが見直すべき習慣について解説します。

【川嶋朗(かわしま・あきら)】
医学博士。1957年生まれ。
北海道大学医学部医学科卒業。
2022年より統合医療SDMクリニック院長。人の自然治癒力を高めることを重視し、近代西洋医学と補完・代替医療を統合した医療の教育を日本の医療系大学で実践中。
『毎日の冷えとり漢方』(河出書房新社)など著書多数。
※本稿は、月刊誌『PHP』2023年8月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。

夏バテに共通する原因 だるい、食欲がない、胃腸の調子が悪い、疲れがとれない...。
夏バテの症状は人それぞれですが、これらに共通する原因として「自律神経の疲れ」が考えられます。
ヒトには外界の変化にかかわらず、体内環境を一定に保つ恒常性(ホメオスタシス)という機能があります。
たとえば暑いときは、血管を拡張させて血液量を増やし、体の表面から熱を逃がして体温を下げようとします。
逆に寒いときは、血管を収縮させて血液量を減らして、熱が外に逃げないようにします。
そのように自律神経は血管を拡張したり、収縮したりして、体温調節をしてくれているのです。

そのおかげで、私たちは体温を一定に保つことができます。

激しい寒暖差が負担をかける
ところが、夏は冷房を使うために室内外の温度差が大きくなります。
私たちが暑い場所と涼しい場所を行ったり来たりすると、自律神経は体温を一定に保つために一生懸命働かなければなりません。
夏のあいだずっと、このような体温調節を繰り返していると、自律神経は疲弊してしまい、機能が低下してくるのです。
自律神経は体温だけでなく、全身の血管や内臓の働きなど、体中の器官をコントロールしているため、自律神経の働きが乱れると、さまざまな不調が起こります。

夏を元気に乗り切り、秋に不調を持ち越こさないためには、自律神経を疲れさせないこと、また多少の温度変化があっても自律神経が乱れない体づくりが大切です。

交感神経と副交感神経
夏バテ予防と改善のかなめとなる自律神経の働きを確認しておきましょう。
自律神経は呼吸や心臓の働き、体温などを意思とは関係なく調整し、さまざまな生命活動をコントロールしています。
自律神経には心臓の動きを速くしたり、血圧を上げたりすることで積極的な活動を支える「交感神経」と、心臓の動きをゆっくりにするなど体をリラックスさせる「副交感神経」の二種類があります。

基本的には、体を動かす日中は交感神経が活発に働き、体を休める夜には副交感神経が優位になりますが、この2つの神経がシーソーのようにバランスをとりながら、すべての臓器をコントロールしているのです。
私たちが健康でいるためには、交感神経と副交感神経がバランスよく働いていることが重要です。

夏も「冷え」にはご用心
体を冷やしすぎると自律神経を酷使してしまいます。
暑い日が続いて、冷房で冷えきった部屋でずっと過ごす、入浴せずにシャワーですませる、冷たい食べ物や飲み物をとりすぎる、肌の露出が増える...などが重なると、体は内臓まで冷えてしまいがちです。

体が冷えると体温を上げるために交感神経が優位な状態が続き、血管が収縮します。
すると全身の血流が悪くなり、ますます冷えるという悪循環におちいります。
自律神経は乱れるいっぽうになるのです。
副交感神経の働きを高め、自律神経を整えるために必要なのが、夏でも体を冷やさないことと体温を上げることです。
そうすれば好循環が生じて、夏バテ知らずの体になります。
下記で紹介する自律神経を整える生活習慣をぜひ実践してみましょう。
2週間ほど続ければ、効果が実感できるはずです。

自律神経を整える8つの習慣
日常生活にひと工夫プラスするだけ。自律神経が整って体も心も健康になる方法を紹介します。

1. 常温以上のものをとる
夏は冷たい食べ物がほしくなりますが、冷たいものは体内の温度を下げ、内臓の冷えを招きます。
どうしても食べたければ、冷たいものの前後に温かいものをとるようにしましょう。
こまめに水分をとって脱水を予防することも大切です。
1日1〜1.5Lを目安に。水分のとりすぎは体を冷やすので注意しましょう。

2. よく嚙んで食べる
一口30回を目安によく噛かみましょう。
嚙むことによって、口のまわりの咬筋から脳に刺激が伝わり、コルチゾールやノルアドレナリンなどのストレス系のホルモンの分泌が抑えられ、リラックスできます。
また、熱をつくり出すヒスタミンが産生されて体温が上昇。
満腹中枢が刺激されて過食を防止する効果もあります。

3. 日常生活に軽い運動を取り入れる
体の熱の多くは筋肉によってつくられています。
筋肉を鍛えて体を温める力を強化しましょう。
激しい運動は活性酸素を増やして細胞を傷つけるのでむしろ逆効果。
洗濯物を1枚干すたびに1回しゃがむ、かかとを上げ下げしながら食器を洗う、電車やバスでは座らない、できるだけ階段を使うなど、生活の中で"少々面倒できつい"と思う動きを習慣にするのがおすすめです。

4. 普段より速いスピードで歩く
いつもの1.5倍程度のスピードで歩きましょう。
夏は汗をかきすぎないように、比較的気温が低い朝や夕方以降に歩くとよいでしょう。
忙しくてウォーキングの時間がとれない人は、通勤時に1駅分歩く、少し遠い場所にあるスーパーに歩いて買い物に行く、店内をぐるぐる歩きまわるなどでもOKです。
楽をするのはやめて、なるべく歩くようにしましょう。

5. 衣類で温度差を防ぐ工夫を
温度差をできるだけ少なくするためには、服装によるコントロールが必須です。
ショールや薄手のカーディガンなどを手元に置いて、電車の中など冷房がきいている場所での冷えすぎを予防しましょう。
夏だからといってノースリーブや素足はNGです。
必ず袖のあるものを着用するほか、靴下をはく、レッグウォーマーをつけるなど、意識して足元を温めましょう。

6. 冷房の温度設定は28℃を目安に
外気温と室温の差が大きいと自律神経が疲弊します。
しかし、熱中症対策として冷房は必要です。
自律神経を休ませるため、冷房の設定温度は少し汗ばむくらいの28℃を目安にしましょう。
暑く感じたら、直接風に当たらない位置に扇風機を置いて、冷気を循環させると効果的。
寝不足も自律神経を乱します。
夜間寝苦しいときは、我慢せずに冷房を使いましょう。

7. ぬるめのお湯に10分つかる
シャワーだけだと体が温まりません。
とはいえ、42℃くらいの熱いお湯につかると、交感神経が刺激されて寝つきが悪くなります。
おすすめは39〜40℃くらいのお湯に10分程度、首までつかること。副交感神経が優位になってリラックスできます。
入浴後はそのまま寝てしまいましょう。
微温浴で血流がよくなり、寝つきもよくなっているはずです。

8. いつもの2倍の時間をかけて息を吐く
意識的にコントロールできる呼吸を整えて自律神経の乱れを改善しましょう。
体が冷えているときや緊張が続いているときは、おなかをふくらませて鼻から深く息を吸い込み、吐くときはおなかをへこませながら、いつもの2 倍の時間をかけてゆっくりと吐きましょう。
10回繰り返すと、副交感神経が作動してリラックスでき、体が温かくなってきます。

  川嶋朗(医学博士)
posted by 小だぬき at 02:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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