お盆過ぎも油断できない『熱中症』 命を守るためには「涼しい場所に避難」「体は水平に」
8/27(日) マネーポストWEB
連日の酷暑が続いているが、「熱中症はお盆を過ぎてからも危険」と、気象予報士で防災士の広瀬駿さんは警告する。
「体が暑さに慣れる暑熱順化という言葉があるのですが、お盆を過ぎると朝夕は涼しくなり、気温も少し落ち着いてくるので、それに体が慣れてしまいます。
そのため、8月下旬に真夏のような暑さがぶり返すと体がついていかず体調を崩し、熱中症にもかかりやすいんです。
お盆を過ぎても熱中症対策を継続しましょう」(広瀬さん・以下同)
屋外では日陰を選び、室内では扇風機やエアコンを使用する、通気性のある衣類を着用し、帽子や日傘で暑さを回避する、こまめに水分を補給するなど、よくいわれている熱中症対策も継続しよう。
「朝や夕方など、比較的涼しい時間にウオーキングなどの適度な運動をする、湯船に10分程度つかって汗をかくなど、日頃から汗をかく習慣を身につけておくことも、熱中症予防に効果的です」
秋以降も、真夏並みに気温が高い日は注意しよう。
涼しい場所に避難させ体位は水平にする
家族や身近な人が熱中症になったら、できるだけ風通しのいい日陰や冷房が効いている室内に避難させる。
「その場合、体位は原則として水平にしますが、意識がある場合は、本人が楽な体位で寝かせましょう」と言うのは、日本赤十字社事業局救護・福祉部健康安全課の武藤裕美さん。
「厚い衣服を脱がすことで、体からの熱の放散を助けられます。意識があり、吐き気や嘔吐がなければ水分補給を行い、経口補水液、スポーツ飲料、薄い食塩水を飲ませるとよいでしょう」(武藤さん・以下同)
首や両わきなどを冷やすのが効果的
熱中症の重症者を救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げられるかにかかっている。
手のひらやほお、足の裏には体温を調節する血管があり、ここを冷やすことで、体の中心部の体温が下がる効果が期待できる。
冷えたペットボトルを手に握らせることも有効だ。
「胸や腹など体の表面に水をかけたり、濡れたタオルで体を覆うのも体を冷やすのに有効です。
さらに、うちわであおぐ、扇風機で風を送るのもいいですね。
市販のアイスパックなどがあれば、それを首や両わき、足の付け根の股関節部分に当て、皮膚の直下を流れている血液を冷やしましょう」
また、冷たい水は胃の表面から熱を奪うので、意識がはっきりしているなら冷たい水を飲ませよう。
判断が難しい場合は すぐに119番に通報を
水などを飲ませても改善が見られない、水分補給ができない、呼びかけても反応がない、または反応が明らかにおかしい、ふだんどおりの呼吸ができない、意識障害、全身のけいれんがある場合など手当ての判断に迷うときは、ただちに119番に通報すること。
「119番通報した後も、救急隊が到着するまで、濡れたタオルで体を覆ったり、市販のアイスパックなどで体を冷やしてください」
搬送先の医療機関には、発症時の状況を詳しく説明できる人が付き添うこと。
※女性セブン2023年9月7日号