松本穂香が目にした理不尽
「弱者は一方的に消費されてしまう現実」
9/2(土) 女子SPA
数々の映画やドラマに出演している、若手注目株の女優・松本穂香さん。
大の映画好きでもあるという松本さんが世界各国の映画界で活躍する女性監督と女優により制作されたアンソロジー映画『私たちの声』について語ります。
「弱者」は「消費」されてしまうという現実
今回、わたしがご紹介させていただく作品は映画『私たちの声』です。
この作品は、女性の社会問題をテーマにした7つの短編を集めたものになっています。
主人公の女性を演じるのは世界を代表する俳優陣。
日本からは、杏さんが出演されています。
7つの短編すべて見応えがあり、同時に同じ女性として考えさせられる作品ばかりでした。
作品を見終えたいま、わたしの中に浮かぶふたつの言葉があります。
それは、「弱者」は「消費」されてしまうということ。
前提として、私たち女性は絶対に弱者ではありません。
ただ、時として弱者にされてしまうことがある。理不尽に、一方的に。
私たち女性だけでなく、世間的に弱者とされる者たちがどうしようもなく傷つけられてしまうことがある、この世の中。
いつの間にか理不尽にも目を背けていた
大袈裟ではなく、そういったことが今も私たちのすぐ傍で起き続けていることを感じました。
それは身体的なことかもしれないし、何気なく言った一言かもしれない。
同じ女性でありながら、そのことからいつの間にか目を背けていた自分に気づきました。
私の周りにも、幼い頃に痴漢に遭った人や、夜中に後をつけられたりして怖い思いをした人がいます。
ただ、ファッションを楽しむためにミニスカートを履いただけで、盗撮された人もいます。
そういった被害をゼロにはできないのかもしれないけれど、ひとりひとりの意識を少しずつ変えていくことは、きっとできるはず。
幼い頃から植え付けられてきた「思想」
女性は痩せていてきれいでなければならない。
結婚して家庭を持つべき。男性は妻や子供を養うべき。強くいなければならない。
こうあるべきという、幼い頃からいつの間にか植え付けられてきた思想が、軽はずみな発言や行動につながって、誰かに深い傷をつけてしまうことがあるんじゃないかと思います。
今もどこかで起き続けている事実。この映画を通して、そんな事実と今一度向き合っていきたい、深くそう思いました。
●『私たちの声』 配給/ショウゲート 新宿ピカデリーほか全国ロードショー中 c2022 ILBE SpA. All Rights Reserved.
<文/松本穂香>
【松本穂香】
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。