2023年09月07日

日本では「6人に1人が貧困状態」 働けど働けど苦しい生活を強いられる人たちであふれている

日本では「6人に1人が貧困状態」 働けど働けど苦しい生活を強いられる人たちであふれている
9/7(木)  マネーポストWEB

 かつては『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という本がベストセラーになるほど、経済大国として世界に君臨していた日本。
だが、長きにわたって賃金も物価も上がらず、競争力も国際的地位も下がり、「安い日本」と揶揄されるまでになった。
いまや、貧困はあなたのすぐ足元まで忍び寄っている──。

栄養不足で持病が悪化
「この夏は、殺人的猛暑などといわれていますが、できるだけクーラーを使わずに過ごしました。
日中は図書館など公共機関やショッピングセンターなどで過ごし、夜は極力扇風機で。
熱中症になっても自業自得だとわかっているのですが、少しでも節約したいと思って……。
 親が残してくれた家はありますが、オンボロで処分するのにお金がかかるだけ。
この先どうやって暮らしていけばいいのか、考えると暗い気持ちになります」

 肩を落としてこう打ち明けるのは、新潟県に住む女性・Aさん(52才)。
30代半ばで離婚して以来、ひとり暮らしを続けているが、非正規で働く期間が長かったこともあり、貯金もわずか。
値上げや、電気代高騰などで生活は逼迫する一方だ。

いまこの国には、Aさんのように働けど働けど、苦しい生活を強いられる人たちがあふれている──。
“生活が苦しい中、子育てのために自分の食事を減らし、栄養不足による貧血を起こした”“食品の値上げで料理をしなくなり、冷凍食品に頼っていたら血糖値が上がり、持病の糖尿病が悪化”──こんな壮絶な暮らしぶりを伝えたのは、7月18日放送の『クローズアップ現代』(NHK)だ。
 番組のテーマは「値上げ時代と健康」。
食費節約のために低栄養状態に陥っている実態やその危険性が紹介され、大きな反響を呼んだ。
番組を見ていた60代の女性が声をつまらせる。
「自分の娘くらいの女性が食べるのをがまんして栄養失調なんて……しかも、彼女は看護師としてきちんと働いているのにそんなに生活が苦しいのかと驚きました。
働いていても、年金をもらっていても、こんなに貧しくなるなんて、私が若い頃には想像もできなかった」

リーマン・ショックが日本の“貧困元年”
『ルポ コロナ禍で追いつめられる女性たち 深まる孤立と貧困』(光文社新書)などの著者でノンフィクションライターの飯島裕子さんが貧困問題に関する取材を始めたのはリーマン・ショックの直前だ。
「80年代のバブル期には貧困が社会問題として認識されることはありませんでした。
ところがバブル崩壊後、非正規雇用で働く若者が増えてきた。
『あえてフリーターを選んでいる』といわれたけどそんなことはなかった。
“必死に仕事を探しても見つからない状況にある”ことがわかってきたのです。

 そんななか、2008年にリーマン・ショックが起こり、派遣切りに遭い家を失う人も出てきた。
貧困が見える形で人々の前に現れたこの年は“貧困元年”といってもいいでしょう」

 日本テレビのディレクター時代に「ネットカフェ難民」という言葉を世に送り出し、以来貧困問題に携わってきた上智大学文学部新聞学科教授の水島宏明さんが続ける。
「リーマン・ショックの後、非正規雇用者が一気に増え、ワーキングプア、年越し派遣村、ネットカフェ難民などの貧困問題がクローズアップされるようになりました。
規制緩和やアベノミクスで『給料が上がる』といわれ続けてきたのに、世界の中で日本だけ収入が増えなかった。
ウクライナ情勢や急激な円安で、賃金は上がらないのに物価が急上昇し、生活困窮者はますます増えています」

 いまや先進国の中でもっとも貧しい国の1つとなってしまった日本で、貧困は極めて身近な問題になった。
「貧困問題が顕在化し始めた20年前は、なぜそんな状況に追い込まれたのか、“自己責任”ではないか、と言う人も多かった。でもいまは、貧困はもはや他人事ではないと思う人が増えているのではないでしょうか」(飯島さん)

 実際、日本人の貧困率は高止まりを続けている。
厚生労働省が今年7月に発表した『国民生活基礎調査』の最新値によると、2021年の日本の相対的貧困率は15.4%にのぼる。
相対的貧困率とは、等価可処分所得が中央値の半分未満世帯員の割合をさす。
 6人に1人が貧困状態にある──これが今の日本の現実というわけだ。

      ※女性セブン2023年9月14日号
posted by 小だぬき at 09:28 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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