マイナ保険証に尽きない国民の不安…自民裏金疑惑のドサクサに紛れ健康保険証「廃止」強行
12/14(木) 日刊ゲンダイ
「政治は言葉でつくられる」と言われるが、岸田首相が発する言葉のいかにいい加減なことか。
政府は12日、マイナンバー情報総点検本部の会合を開催。
マイナンバーのひも付け誤りなどのトラブルに関する点検結果を受け、岸田氏は来秋に予定している健康保険証の廃止に関して「予定通り実施」を表明した。
これまで散々、「(廃止は)国民の不安払拭が大前提」と繰り返してきたにもかかわらず、である。
岸田氏は今国会で「ひも付けの総点検と修正作業を見定め、さらなる期間が必要と判断された場合には必要な対応を行う」などと、廃止時期の見直しに思わせぶりな態度を示してきた。
点検結果の公表は12月上旬の方針だったが、まさかの国会閉会の前日。
国会審議ができないタイミングを狙いすまし、裏金疑惑のドサクサに紛れて公表するとは何とも悪辣だ。
総点検の結果、ひも付け誤りは解消されつつあるが、決してトラブルが消え去ったわけではない。
マイナ保険証に医療現場は振り回されている。
健康保険証廃止の撤回を求めている「全国保険医団体連合会」(保団連)は12日に緊急会見を開き、マイナ保険証のトラブルに関するアンケート調査(11月24日〜12月1日実施)の結果を報告。
保険証が廃止された場合の受付業務について、回答があった1000件の医療機関のうち59%が「今も混乱しており、廃止後は受付業務に忙殺されると思う」と回答。
「診察の待ち時間が長くなると思う」が44%だった。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
■河野大臣はただただ屁理屈
「総点検本部後に開かれた河野デジタル大臣の会見で、国民の不安払拭が果たされたのかを問いただしたところ、河野大臣は『不安を払拭するための措置を取るということで、措置を取りましたので、(健康保険証を)廃止いたします』と屁理屈をこねていました。
また、『イデオロギー的に反対される方はいつまで経っても、不安だ、不安だとおっしゃる』とも。
保険証廃止に不安を抱える医療現場の声に耳を貸さない河野大臣の本音でしょう。
総点検は『不安払拭のための措置を行った』というアリバイづくりに過ぎません」
マイナ保険証の利用率は、いまだ4.5%にとどまる。不安払拭とは程遠い現状では、廃止撤回の一択しかない。