2024年01月13日

【理不尽】被災者を狙った「性犯罪と詐欺」、卑劣な手口から身を守る防犯対策

【理不尽】被災者を狙った「性犯罪と詐欺」、卑劣な手口から身を守る防犯対策
1/13(土) ダイヤモンドオンライン

 過去の大地震でも被災地では犯罪が頻発した。
すでに過酷な環境にある中で、犯罪の被害に合うことは何としても避けてほしい。
どのような犯罪が想定され、それらにどのように対処すればよいのか。防犯対策に詳しいセキュリティ・コンサルタントの松丸俊彦氏に「被災地における防犯対策」について話を聞いた。(防犯コンサルタント 松丸俊彦)

● 最強の防犯対策は「3人1組チーム」
 私は仕事で犯罪統計を追いかけているのですが、地震をはじめとする災害の被災地では、刑法犯全体は減る傾向があります。
しかし、ある犯罪だけが急増します。それは窃盗です。
 年初に発生した能登半島地震でも、すでに窃盗事件が発生しています。
人がいなくなった家屋や商店から金品を盗むものから、避難所で他人の金品を盗むものまで多発しているようです。

 また、過去の事例では災害の避難所で起こる犯罪は、窃盗罪だけではありません。
盗撮やのぞき、強制わいせつ、強姦といった性犯罪が起こることも想定されます。
 今回は、避難所での窃盗・性犯罪から貴重品や自分自身を守るためにできることをお伝えいたします。

 これは窃盗と性犯罪の両方への対処にも通じる点ですが、一人で行動することを避けましょう。
 窃盗対策では、トイレなどでどうしても貴重品のそばを離れないといけない場面があるはずです。
その際に、信頼できる人に代わりに見張ってもらうのです。
家族で避難した場合は、家族が最も望ましいでしょう。
 家族以外で見張りを任せる場合は、知らない人よりは知っている人、できれば復興後も生活圏を共にする人が望ましいでしょう。
関係が継続する人に対して、窃盗をはたらくことは考えにくいからです。
ただし、顔見知りやご近所さんが絶対に盗みをはたらかないわけではないので、注意が必要です。
 さらに、2人1組よりは3人1組のほうがより安全です。
1人がトイレに行くときにもう1人についてきてもらって、3人目の人が貴重品などを見守ることができるからです。
単独行動はなしで、可能であれば3人以上でチームを組むようにしてください。

● 防犯効果が大きい「見せる警戒」とは?
 避難所での生活は、人口密度が高く、密着した生活になります。
また、隣の人との間仕切りが簡易的なパーテーションしかないケースも多く、隙間が生じやすい環境でもあります。
そのため、盗撮やのぞき、強制わいせつといった性犯罪が発生しやすいのです。
 対策として、例えば、今のぞかれてるなと思ったときに防犯ブザーがあると効果があります。
暗がりで確証がないと言う場合は、音を鳴らさずに見せるだけでも犯人を威嚇する効果があります。
実際に手が伸びてきたり、確実にカメラを向けられていることがわかれば紐を引いて音を出してください。
防犯ブザーは、警戒心が強いことを象徴するアイテムでもありますので、日頃から目につきやすいところに置くといいでしょう。これを「見せる警戒」と呼びます。

 防犯ブザーと同じ考え方なんですが、「周りをよく警戒してる」様子を見せることも「見せる警戒」です。
先ほど紹介した「一人で行動しない」姿を見せることも同じ効果があります。
 大げさでも構いません。子どもに「一人で行動しない」と声に出して言い聞かせることで、潜在的な加害者の耳に届くことがあるかもしれません。
そうやって、周りの人に警戒していることを見せることが防犯につながります。
ときどき急に後ろを振り向いたり、あたりをキョロキョロと見回すことも「見せる警戒」につながります。

 逆にずっと携帯の画面を見ながら歩いていたり、荷物を残してその場を立ち去ったりする様子を見られると「警戒心が薄い」と判断されてターゲットにされてしまう可能性が高くなってしまいます。
 また、子どもや女性に対する強制わいせつや強姦といった事件も過去には発生しました。
先の熊本地震ではボランティアが10代の女性に対して性加害した事件がありましたが、実は、性犯罪の加害者は被害者と顔見知りとか近所の人が多くなる傾向にあります。

加害者はどこにいるか分かりませんので、避難中で大変だと思われますが、常に気を張ってください。
 知り合いから「子どもと遊んでくるから休んでて」などと言われても、絶対に子どもを親のそばから離してその人と2人きりにしてはいけません。
また、女性も一人で行動しないようにしてください。
先ほど説明した3人1組のチームをつくって、必ず2人で行動するようにするなど工夫するといいでしょう。少なくとも2人のペアになってください。

● 避難の長期化に伴って増える犯罪とは?
 窃盗や性犯罪は、震災直後から起こりやすい傾向があります。
一方で、避難生活が長期化してくると震災に絡めた詐欺行為が横行し始める傾向があります。
 過去には、急な出費が必要だからと、まるで闇金融のような法定金利を超えた融資を持ちかけてきたりする業者が現れたり、文化財や貴重品の鑑定士を名乗る者が来て所有物を買い叩かれたり、盗まれたりする事案もありました。
少し時間が経つと、被災者を狙った新しい犯罪が出てくるので注意が必要です。

 こうした何かの契約をする、あるいは融資の話を持ちかけられた場合、相手の顔写真付きの身分証を必ず見せてもらうということを欠かさないでください。
詐欺に遭ったケースを分析してみると、「相手と連絡取れなくなった」とか「相手が偽名を使っていた」ということが少なくありません。
偽の名刺を渡される可能性があるので、名刺では不十分です。
必ずパスポートや免許証といった公的な身分証を見るようにしてください。
「持っていない」などと言って本名を確認させてくれない場合は、怪しいと判断して契約や支払いは見送るようにしてください。
 詐欺師のやり口として、契約を急かしてくることが挙げられます。
今契約しないとキャンペーンが適用されないなどと言って、早く契約するように迫ってくるのです。
例えば、「リフォームなどの契約を今日して手付金を前払いしてもらえば安くします」というイメージです。
 あとはカードを読み込める決済端末が普及したことで、訪問したその場で前金の支払いを要求してくることもあります。
引き落とされた金額が高額だったというケースもありました。
 そのような場面に遭遇したときにすぐに支払いをするのではなく、誰か信頼できる人に一度相談するようにしましょう。
特に、老いた親など騙されやすい人が家族にいる場合は、事前に共有したほうが良いでしょう。

 また、避難生活が長期化すると、暴行事件が起こりやすくなります。
蓄積されたストレスが何かをきっかけとして、爆発してしまうことが原因だと考えられます。
暴行に巻き込まれないためには、常識的な生活をするということです。
例えば、大声で話さないとか、電話は外でするとか、ゴミの出し方のルールを守るとか、ペットが人に迷惑をかけないようにするとか、普段から社会生活を送るうえで必要とされる配慮のことです。
 平時であれば、こうした生活トラブルが暴行まで発展することは少ないですが、災害時という過酷な状況下では、些細なトラブルから暴力を誘発しかねません。
普段よりも意識してルールを守ることが求められます。

 被災者はただでさえ肉体的・精神的な負担が増しているのに、こうした犯罪にまで気を配らなくてはならないのは、理不尽としか言いようがありません。
しかし、人が弱っているタイミングを見計らってやってくる非道な人間がいることも事実です。
無事に避難生活を乗り切るためにこの記事を役立てて欲しい。被災者の皆さんが一日でも早く元の生活に戻ることを願ってやみません。
posted by 小だぬき at 14:10 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック