インフルエンザと風邪の違いは? 医師が教える症状の特徴と対処法
eltha によるストーリー
今年の冬は寒暖差が大きく、体調を崩す人が増えています。
最近ではさらに寒さが本格化し、風邪やインフルエンザの患者数も増加してきました。
ただ、それらしい症状が出たとしても、それが風邪なのか、それともインフルエンザなのかを自分で見分けるのは難しいもの。
対処を間違えると、症状が長引く可能性もあります。
そこで、救急の最前線に日々立ち続ける新百合ヶ丘総合病院の伊藤敏孝センター長に、それぞれの症状の特徴や対処法を聞きました。
■インフルエンザと風邪の違い、引きはじめに注意
インフルエンザと風邪は、原因となるウイルスが異なるまったく別の感染症です。
風邪はアデノウイルス、ライノウイルスなどが原因で、インフルエンザはインフルエンザウイルス(A型・B型)です。
「一般的に大きな特徴とされるのが、インフルエンザは急激に進行し、風邪は比較的ゆっくりです。
症状も異なる傾向にありますので理解しておくことは大切ですが、誰もが典型的な経過をたどるわけではありませんので注意しましょう」(伊藤センター長/以下同)
【インフルエンザ】
●発症:急激に高熱や全身症状が現れることが多い
●熱:38度以上の高熱が出ることが多い 熱がでることがあるが高熱は比較的少ない
●主な症状:高熱(38度以上)、関節痛、筋肉痛、全身のだるさ、のどの痛み、せきなど
●症状の部位:全身
●流行する時期:季節性(12月〜3月)
【風邪】
●発症:比較的ゆっくりと進行
●熱:熱が出ることがあるが高熱は比較的少ない
●主な症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、せき、発熱など
●症状の部位:鼻、のどなど局所的なことが多い
●流行する時期:通年
■早めの対処が大切、救急の現場に立つ医師が教える3つのステップ
●STEP1 別室に隔離する
●STEP2 市販薬を使う
●STEP3 病院に行く
※37.5度以下の場合。平熱よりも高い、いつもと体調が違う場合は医療機関への受診を。
「風邪とインフルエンザをご家庭で区別することは難しいです。
感染法では37.5℃以上を発熱としていますが、平熱よりも高い、いつもと体調が違うと思ったら早めに対処してください。
ちょっと熱っぽい、平熱より少し熱があると感じたら感染症を疑い、まずは別室に隔離してもらうようにしてください。
その上で市販の風邪薬を飲んで、半日から一日様子をみましょう。
ただし一日様子をみて症状が悪化する場合は、医療機関をすぐに受診してください」
市販の風邪薬にも様々な種類があるが、とくに解熱鎮痛剤として覚えておきたいのは、「アセトアミノフェン」だという。
「発熱時、医療機関等でもらう解熱剤として聞き覚えがあるのは、“アセトアミノフェン”ではないでしょうか。
市販の風邪薬にも解熱成分として入っています。
アセトアミノフェンは穏やかな効き目で、お子様やお年寄りにも処方されます。
微熱や悪寒があるときには、上手に使って様子をみてください」
伊藤 敏孝(いとう としたか)先生
新百合ヶ丘総合病院 救急センター センター長。救急医 外科医。
防衛医科大学卒業後、横浜市みなと赤十字病院救急部 部長を経て現職。救急医療のスペシャリスト。
日本救急医学会専門医・指導医・評議員、日本集中治療医学会専門医、日本外傷学会評議員・専門医。